レビューしてくれた方

ペンネーム:FT1990Nさん

レビュー作品詳細

・タイトル:所得倍増伝説!疾風の勇人
・作者:大和田秀樹
・出版社:講談社/週刊モーニング
・発売巻数:1−7巻 <完結済>

マンガのストーリー展開のサマリー&感想

1960年~1964年の内閣総理大臣、池田勇人を題材にした漫画です。物語は終戦から2年後の1947年に、当時大蔵事務次官の池田が自ら現場へ出て闇市の摘発と課税を行う場面から始まります。

このあと池田は選挙で負けて一度目の首相を退任していた当時の吉田茂と出会い、吉田からの引きで池田は官僚から政治家に転身し、後に吉田が再度首相になった際に1年生議員でいきなり大蔵大臣に任命されます。池田はその後も吉田政権で吉田の一番弟子として政権の中枢にあり続けますが、吉田が政争で政敵である鳩山一郎に破れ、吉田が首相の座を鳩山に奪われ、吉田と池田をはじめとする吉田の弟子たちが下野したところで、物語は終わります。

この間池田は悪性のインフレ解消のための緊縮財政、GHQの目を盗んでアメリカと直接行った日本の独立のための予備交渉、吉田とともに全権団に参加したサンフランシスコ講和条約、警察予備隊創設の際の「軍備を値切る」交渉など、戦後の日本の方向性を決定する重要な役割を果たします。

豪華な登場人物は本作品の特色の一つです。後に首相となる佐藤栄作は物語の始まった時点では池田の友人の官僚(運輸事務次官)で、岸信介は佐藤の実の兄、且つ吉田の政敵として物語中盤で登場。後の首相であり、財政家としての池田の師である石橋湛山も、鳩山や岸と同じく吉田の政敵として登場し、積極財政を主張して池田を圧倒します。池田の後に首相になる大平正芳と宮澤喜一は池田の秘書官としての登場です。電力王で筋金入りの自由主義者と呼ばれた松永安左衛門も登場し、池田とともに戦後の日本の電力事業の発展に活躍します。
マッカーサー元帥をはじめとするGHQの面々も実名で登場します。

本作は「大人向けの少年漫画」であり、面白くなくて地味な印象の戦後日本の政治史を一般の人にも親しみやすい形で紹介する一種の歴史漫画でもあると思います。

このマンガのおすすめポイント

池田は政治家になってからとんとん拍子で出世を続けて総理大臣になり、池田政権では主要な公約をすべて実現させるという今日では考えられない実績を残し、人生の絶頂で病気のため首相の座を友人に譲って病死するという、少年漫画の主人公みたいな経歴の持ち主です。漫画ですが基本的には事実に基づいて描かれており、戦後の政治史の知識も得られます。

このマンガの気になる点

せっかく首相として比類なき実績を残した池田の漫画なのに、池田が首相になる前に物語が終わってしまっています。

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