寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。表紙

レビュー作品:『寿命を買い取ってもらった。1年につき、1万円で。』

三秋 縋の累計部数12万部を超えるヒット作「三日間の幸福(メディアワークス文庫)」が原作となるコミックで、2016年10月から少年ジャンプ+で連載された「寿命を買い取ってもらった。1年につき、1万円で。」。毎日を無気力に過ごしていた青年クスノキが寿命を買い取ってくれるという不思議な店の噂を耳にし、お金に困り、店を訪れてしまう・・・。詳細レビューをご確認ください。
 

レビューしてくれた方

ペンネーム:FT1990N

レビュー作品詳細

・作者:三秋 縋 (原作)、田口 囁一 (漫画)
・出版社:集英社/少年ジャンプ+
・発売巻数:1−3巻 (完結済)

 

マンガのストーリー展開のサマリー&感想

主人公の【クスノキ】は寿命を買い取ってくれる店を訪ねて、買取価格を査定してもらった結果、「残りの寿命30年と3か月、1年あたりの買い取り価格は最低価格の30万円/年」と知らされ、買取価格が残りの人生の充実度合いで決まることも教えてもらいます。
 

寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。

 
「どうせ生きていてもなにも良いことはない」と考えた【クスノキ】は、残りの寿命を3か月だけ残してすべて売却します。翌日主人公の家を店の受付にいた若い女性が訪ねてきます。残りの寿命が1年を切ると、監視がついて常時監視される決まりになっていて、自分はその監視員であるというのです。

ミヤギ】と名のるその監視員は、3か月の間クスノキと生活を共にします。【ミヤギ】は【クスノキ】の状況を本人より正確に把握しており、【クスノキ】が何かしようとするたびに「いまさらそんなことをしても無駄だ」と身もふたもない解説をしてくれます。
 
当初は【ミヤギ】をうっとおしく思っていた【クスノキ】ですが、行動を共にするうちに【ミヤギ】と【クスノキ】の間には深い絆が芽生えます。【ミヤギ】が死んだ母親の借金を返済するために監視員の仕事をしていて、借金を返し終わるまで危険な監視員の仕事を続けなければならないことを知った【クスノキ】は、自分が生きているうちに【ミヤギ】の借金を肩代わりして完済することを画策します。
 
私は昔から「それから王子様とお姫様は末永く幸せに暮らしました」的な終わり方をするハッピーエンドの物語はあまり面白いと感じませんでした。悲しみや不条理や人間の醜さのような主題を持つ物語が好みです。
 
しかし私の探し方が悪いのか、なかなかこの手の物語は見つからず。そんなときにネット検索で出会ったのが、この「寿命を買い取ってもらった。1年につき、1万円で。」というマンガでした。
 
この物語はたぶん、”人生バラ色”な人や、人生の喜劇的な面だけを見ていたい人が読んでも面白くありません。あと、若い主人公が確実に死ぬので、長生きすることが幸福の絶対条件と認識している人にも向きません。
 
逆に、この世の残酷さとか不幸の中にあるわずかな救いのような描写が好きな人にとっては、この物語は面白いのではないでしょうか。

 

このマンガのおすすめポイント

ヒロインの【ミヤギ】は、色白、黒髪ロングでやせ型 ・薄幸 ・ツンデレ という少年マンガのヒロインの定番的な属性を持っています。
救いようのない事実が連続して突き付けられる物語の前半。
【ミヤギ】と【クスノキ】に絆が芽生え始める物語中盤。
【クスノキ】の死の直前になって現れる二人のささやかな幸せ。
という、不幸が基調の物語の中にあるからこそ引き立つわずかな幸福がポイントです。

 

このマンガの気になる点

主人公の死で終わる物語なので、迫ってくる死の描写が苦手な人、ハッピーエンドを求める人には向かないと思います。