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    世田谷文学館で開催中の「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」が大盛況だ。岡崎京子さんは1980~90年代にかけての日本のカルチャー史を代表するマンガ家。『pink』『リバーズ・エッジ』『ヘルタースケルター』などで知られ、少女たちの時代への閉塞感やそれと向き合う姿を鋭いまなざしでリアルに描いた。活動の舞台はマンガ誌にとどまらず、週刊誌やファッション誌等でも多くの作品やイラストを発表。1996年の不慮の事故により現在活動休止中ながら、今なお、多くのファンから熱狂的に支持されている。

     岡崎さんが下北沢(世田谷区)出身ということで実現した本展は、岡崎さん初の大規模個展だ。世田谷文学館のスタッフの中にも愛読者が多く、ずっと企画をあたためてきたというその想いがダイレクトに伝わってくる。300点を超える原画や岡崎さんが寄稿した雑誌など、展示は見ごたえ十分。

    読みだしてしまうと原画の前から離れがたくなる

    読みだしてしまうと原画の前から離れがたくなる

    また本展ではワークショップやトークショーなどの関連企画も豊富に用意されており、いずれも大盛況。3月7日に行われた、マンガ家・今日マチ子さんによるギャラリートークにも朝から整理券を求める長蛇の列ができた。整理券を手にした幸運な30名と共に、筆者もギャラリートークに参加してきた。

    ギャラリートークに出演したのは、多方面で活躍中のマンガ家・今日マチ子さん。マンガだけにとどまらず、多彩な表現で様々な領域に活動の場を広げていく姿は岡崎さんのそれとも重なる。

    ギャラリートークは参加者全員で会場の作品を見て回りながら、展示のテーマごとに、世田谷文学館の庭山貴裕さんが今日さんに質問をする形で進行した。

    熱心に耳を傾ける参加者たち。男性参加者も多い

    熱心に耳を傾ける参加者たち。男性参加者も多い

    今日さんが、最初に出会った岡崎作品は『リバーズ・エッジ』。一番好きな作品でもあるらしく、今日さんは本展のために『リバーズ・エッジ2015』というタイトルでトリビュート作品も描き下ろしている。(展覧会公式カタログに収録)

    「当時中高生だった私は川のそばに住んでいて、川のそばに住んでいるということは別段本人にとっては意味がなかったのだけれど、これを読んでから川のそばに住んでいるということにものすごく意味を感じるようになりました。」と、今日さん。

    以来、引っ越しをするときに必ず川に近い場所を選ぶほど、今日さんにとって川は特別な場所となったようだ。

    「川って半分公共で半分プライベートの場というすごく不思議な空間」と今日さんがいうように、確かに今日さんの作品には川の情景が頻繁に登場する。

    きっと、その場のいた参加者の中にも同じように、川の風景を思い描いた人がいたはずだ。『リバーズ・エッジ』に出てくる川と、わたしたちそれぞれの原風景としての川は繋がっているのかもしれない。『リバーズ・エッジ』の展示は、黒を基調とした小部屋風の空間で構成されているので、ぜひ、暗い川岸に立っている気分で、作品と向き合ってみてほしい。

    空間全体で世界を表現している『リバーズ・エッジ』の展示

    空間全体で世界を表現している『リバーズ・エッジ』の展示

    次にご紹介するのが、バブルまっただ中の1980年代末が舞台の『くちびるから散弾銃』。内容は東京在住の女の子3人が恋やファッションをはじめとするあれこれをひたすらとりとめなく散弾銃のようにおしゃべりし続けるというもの。ドラマチックな展開があるわけでも、ハッキリ、ここ!と分かる盛り上がりやオチがあるわけでもない。それなのに、読者は登場人物と同じ会話の輪の中にいる感覚を持ち、「わかるわかる」とうなずきながらどんどん読み進めていける。日常を描くマンガ作品は多いが、他に似た作品が思い浮かばないような独特な作品だ。この作品はなぜこれほどに唯一無二なのだろうか?

    「こういう何気ない女子同士の会話を毎回面白く読み切れるものに収めるのは実はとても高度な技。真似しようとすると、だらっとしたつまらないものになってしまう。」(今日さん)

    これは同じ描き手ならではのコメントだろう。鋭い観察眼ですくいとられた時代の片鱗を、テンポのいいコマ割りと厳選された言葉で表現したこの作品。読み手が安心しておしゃべりの内容にだけに集中し、すいすい読み進めることができるのは、岡崎さんの高度な技ゆえのものだったのだ。

    この作品を筆者が初めて読んだのは作品が発表されてしばらく経った、90年代末頃だった。その時は、過ぎた時代の風俗や文化を懐かしみつつも、ちょっぴり恥ずかしいような気持で読んでいた。つまり、この作品には発表された当時の「わかるわかる」が、恥ずかしくなるくらい、ぎゅうぎゅうに詰まっていたのだ。

    そして、時がたち2015年の今、この作品を読むとこれまでとはまた違った「わかるわかる」を体験できることにお気づきの方もいるだろう。80年代末~90年代のファッションやカルチャーが再注目され、「おしゃれ」なものとして盛り上がりを見せている昨今、「あの時代」が詰まったこの作品は「最新の」ファッション・カルチャーカタログとしても、新鮮な気持ちでワクワクしながら読めるのだ。

    会場では原画が数多く展示されているので、「わかるわかる」とうなずきながら、作中のガールズトークに参加してみてはいかがだろうか。

    展示全体を見渡すことで、岡崎京子の作風の変遷が良く分かる

    展示全体を見渡すことで、岡崎京子の作風の変遷が良く分かる

    ギャラリートーク全体を通じて、今日さんの言葉の中で特に印象的だったのが、「(岡崎さんは)きちんとわたしたちの事を描いてくれている」という言葉だ。このほかにも何度か「わたしたち」という言葉を耳にした。

    岡崎さんの作品について語るとき、「わたし」ではなく「わたしたち」のほうがしっくりくる。「わたしたち」という言葉の中にはわたしと誰かの関係が含まれているのだと思う。その関係を含めたまるごと全部を、岡崎さんは「描く」ことで肯定してくれているのかもしれない。そして、「わたしたち」が主語となって、岡崎さんの作品の力は伝播していく。

    去る2月に本展の関連企画として「“90年代”ZINEをつくろう」というワークショップが開催された。参加者は思い思いの90年代グッズ(雑誌やCD、マンガなど)を持ち寄り、そのグッズにまつわる思い出を語り合いながら、そのグッズのカタログ風小冊子(ZINE)をその場で作成し完成品をそれぞれが持ちかえるというものだった。

    ZINEは1Fロビーで閲覧可能

    ZINEは1Fロビーで閲覧可能

    完成したZINEはまさしく「わたしたちの」ZINEだ。「わたしたちの」ZINEは、わたし「たち」になったことで、不思議と「わたしたち」に含まれない、他の人が介入する余地を生んでいる。ワークショップに参加していなくても、完成したZINEを見た人は「私だったら何をグッズとして持っていったかな?」と思っているかもしれない。

    このように岡崎さんの作品がつなぐものはこれからも拡張し続けていくのだと思うと、胸が熱くなる。

    原画を見ていると、いつの間にか作品の展開に心を奪われ、続きが気になってついついじっくり読み込んでしまう。岡崎さんがイラストやコラムを寄せている懐かしい雑誌の数々も隅々まで読みたくなってしまうものばかりなので、これから行かれる方は時間に余裕を持って行くことをおすすめする。

    展覧会の公式カタログは会場だけでなく、書店でも購入可能だ。ちなみに筆者は2冊購入し、1冊を遠方に住む大切な友人にプレゼントした。「わたしたち」の「あの頃」を起点にして、楽しいおしゃべりは今後もきっと、ずっと続いていく。

    [構成・執筆=岩崎由美(マンガナイト) ]

    今日マチ子

    漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」が書籍化され注目を浴びる。4度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。戦争を描いた『cocoon』は劇団「マームとジプシー」によって舞台化。2014年には第18回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。2015年4月に最新刊『ニンフ』『吉野北高校図書委員会(1)』を刊行。

    juicyfruit.exblog.jp/


    ▼公式カタログ

    『岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ』

    [価格]2,300円+税

    http://www.heibonsha.co.jp/book/b193085.html

    ※売り切れの場合もございます

    ▼展覧会概要

    「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」

    http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

    [期間] 3月31日(火)まで

    [開館時間] 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)

    [会場] 世田谷文学館2階展示室

    [休館日]月曜日

    [料金] 一般=800(640)円 高校・大学生、65歳以上=600(480)円 小・中学生=300(240)円 障害者手帳をお持ちの方=400(320)円
    ※( )内は20名以上の団体料金

    「せたがやアーツカード」割引あり
    ※障害者手帳をお持ちの方の介添者(1名まで)は無料

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    「“愛”って… すごく不気味だね どこにでもゴロゴロしてて… それだけで何でも出来てしまえるなんて とても…気持ち悪くない?」

     なんとも胸に引っかかるセリフ。1970~80年代に活躍したマンガ家・三原順の作品「Sons」で、主人公の少年が放つ一言だ。5月31日まで米沢嘉博記念図書館で開催中の展覧会「没後20年展 三原順復活祭」のメインビジュアルには、このセリフが大きく描かれている。

     同展は1995年に三原順が亡くなってから20年の節目に、代表作の原画や遺品を通して彼女の才能を再確認しようという展覧会だ。1988年生まれの筆者は、恥ずかしながら同展が企画されるまで三原順という作家を知らなかった。それでも告知のメインビジュアルを見て、素晴らしいと謳われがちな“愛”の暗い一面を言い当てた冒頭のセリフに、強い共感を覚えた。

     三原順とはどのような作家なのだろう。そして、今どうして三原順に触れるべきなのか。展示会場に足を運んで展示担当者に話をうかがいながら、その魅力に迫ってきた。

    米沢嘉博記念図書館外観

    米沢嘉博記念図書館外観

    会場内

    会場内

     

    同展では三原順のプロフィールや全著作物、没後のファンたちによる復興活動の年表、全会期あわせて原画約250点を展示。それぞれに添えられた解説を通して、三原順という人物や作品の特徴を深く知ることができる。会期は4つに分かれており、第1期(2月6日~3月2日)では出世作「はみだしっ子」シリーズとその主人公のひとり、グレアムについて、第2期(3月6日~4月6日)では同作のほかの主人公・アンジーと初期短編集について、というように、一部展示を入れ替えて異なるテーマを展開する。筆者が行ったときは第1期だった。

    三原順の代表作の1つ「はみだしっ子」

    三原順の代表作の1つ「はみだしっ子」

     

    「はみだしっ子」シリーズは1975~1981年にマンガ誌「花とゆめ」で連載。それぞれ親元を離れた4人の少年グレアム、アンジー、サーニン、マックスが、親ではなく本当の愛をくれる人をもとめて一緒に放浪生活を続け、成長していく物語だ。少女マンガ誌らしいコミカルな描写を交えながら、「人は肉親のように本来親しいはずの人間とであっても、どうしても相容れないことがある」という世界観が描かれ、熱狂的な読者を獲得した。

    「別冊花とゆめ」創刊号のカラー口絵

    はみだしっ子の主人公の1人・グレアム。こちらは「別冊花とゆめ」創刊号のカラー口絵

     

    会場に置かれたトランク(三原順の私物)には「はみだしっ子」の付録やプレゼントなど関連グッズがぎっしり詰まっていて、当時の読者たちから大きな人気を得ていたことがわかる。原画の中には「別冊花とゆめ」の創刊号(1977年)で飾ったというカラー口絵が。同誌では「グレアム大特集」のようにキャラ単独の特集が何度も組まれていたそうだ。

    三原順私物のトランクに詰め込まれた、「はみだしっ子」や「ルーとソロモン」グッズ

    三原順私物のトランクに詰め込まれた、「はみだしっ子」や「ルーとソロモン」グッズ

    壁に掲げられた原画と、「三原順・復活の流れ」をまとめた年表

    壁に掲げられた原画と、「三原順・復活の流れ」をまとめた年表

     

    三原作品がどれだけ人の心を掴むものなのかは、年表「三原順・復活の流れ」で知ることができる。彼女は「はみだしっ子」以降も数々の名作を生み出したが、亡くなる直前はほとんどの単行本が入手困難という状況。1995年に42歳で病没した直後は出版界でさほど大きく取り上げられることもなく、世の中から忘れ去られるかのような存在にあった。

     しかしファンが訃報を知るや、三原順の同人誌を作るなどして追悼し、20年にわたって「三原順・復活」とも言うべき活動を続けてきた。公式サイトの開設、全集の発売や復刊を求める署名運動、展示会の実施など。2000年代には「復刊ドットコム」(当時「ブッキング」)の復刊第1号「かくれちゃったの だぁれだ」を皮切りに続々と単行本が復刊され、2002年にはとうとう未収録作品などをまとめた新刊まで出版。2011年には既刊の単行本がすべて文庫化された。年表を通し、作品を世に遺そうとするファンの意志と、それが今回の展示会まで結びついているのを確認すると、三原順という作家の影響力に感嘆せずにはいられない。

    没後に刊行された三原順の関連書籍の数々。三原順特集を行った雑誌や追悼同人誌、新刊の豪華版など

    没後に刊行された三原順の関連書籍の数々。三原順特集を行った雑誌や追悼同人誌、新刊の豪華版など

     

    2015年には次々と電子書籍化も行われて気軽に読めるようになった三原作品には、今の社会問題に通じるような題材が度々登場する。その先鋭性について主催の米沢嘉博記念図書館のスタッフ・ヤマダトモコさんは、「どの作品を読んでも“今”を考えさせられる」と舌を巻く。

     例えば「はみだしっ子」の4人の少年は、現代でこそよく扱われるような家庭問題をそれぞれ抱えている。グレアムは父から高圧的な教育を受け、アンジーは母から育児放棄され、サーニンは母を亡くして失語症になり、マックスは酒乱の父親から虐待のうえ殺されかけたという過去を持つ。彼らを外からの目線ではなく、内側から描きながら、深刻な問題と向き合っている。

    「大人になった今読み返すとびっくりする発見がいっぱいあります。また子どものころは子どもたちの目線で読んでいたけど、今は登場人物の大人たちの立場もわかる。大人でも悪人でも、それぞれの価値観がしっかりと描かれていて驚きます」(ヤマダ)

    「はみだしっ子」後半で4人は裁判に挑むことになるが、そこでは当時まだ日本になかった陪審員制(裁判員制)が描かれる

    「はみだしっ子」後半で4人は裁判に挑むことになるが、そこでは当時まだ日本になかった陪審員制(裁判員制)が描かれる

     

    ほかにも「Die Energie 5.2☆11.8」(1982年)は原子力発電所の幹部職員が主人公。「原発問題というのは、原発に勤める人と反対する人、どちらの立場も考えた上で、折り合いを付けなくてはならないことを教えてくれる」(ヤマダ)とのこと。「ムーン・ライティング」(1984年)は、狼男の祖父に憧れていた美しい少年が、なぜか豚男になってしまう悲喜劇を描いた作品だが、「今見ると、ストーリーの伏線に、技術の進化に着いていけなくなるプログラマーの苦悩を描いていて驚いた」(ヤマダ)とも。IT社会の現代において共感する人は多そうだ。

    「こうした問題は、描こうとすると紋切り型な結末になりそう。なのに、三原さんは早くから扱っている上、折れずにまじめに向きあい、作品に落としこんでいます。三原作品を読んでいると、考えなければならない社会問題について三原さんと一緒に考えることができるはずです」(ヤマダ)

    作中に登場する「愚者の祭り」について、2ページにわたってびっしり研究メモがと書かれている三原順のノート。思慮の深さがうかがえる

    作中に登場する「愚者の祭り」について、2ページにわたってびっしり研究メモがと書かれている三原順のノート。思慮の深さがうかがえる

     

     今年3月13日には白泉社から20冊目となる文庫「三原作品集 LAST PIECE」、4月には河出書房新社から総特集本も発売される予定で、三原順の世界はますます復活しつつある。全作品に触れられる状況を作るまで20年尽力してきたファンの方々へ敬意を払いつつ、三原作品を通してあらゆる現代の問題について考えたい。会場の米沢嘉博記念図書館の閲覧室(1日300円)には、文庫版全巻を始め三原順の関連書籍が設置されている。展示と一緒に観るのもオススメだ。

    会場の感想ノート

    会場の感想ノート。平成生まれだという人が、母が持っている三原作品を子どものころから読んでいてファンであると、グレアムの似顔絵付きで感想を書き込んでいた

    [執筆=黒木貴啓(マンガナイト)]


    ▼展覧会情報
    「~没後20年展~ 三原順 復活祭」公式サイト
    http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-miharajun.html

    ■会期 2015年2月6日(金)~5月31日(日)

    ◎第一期:2月6日(金)~3月2日(月)
     グレアムと「はみだしっ子」特集
    ◎第二期:3月6日(金)~4月6日(月)
     アンジーと初期短編特集
    ◎第三期:4月10日(金)~4月29日(水・祝)
     サーニンと「ルーとソロモン」「ムーン・ライティング」「Sons」
    ◎第四期:5月1日(金)~5月31日(日)
     マックスと「X Day」ほか後期作品特集

    ■ 営業時間 平日(月・金のみ)14:00~20:00、土・日・祝12:00~18:00
     休館日 火・水・木、年末年始、特別整理期間

    ■ 会場 米沢嘉博記念図書館 東京都千代田区猿楽町1-7-1

    ■ 入場料 無料

  • 麦わらの一味の世界を体験してみよう!

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    3月13日、東京タワー フットタウン内に大人気コミック『ONE PIECE』史上初となる大型テーマパーク、「東京ワンピースタワー」がオープンしました。『ONE PIECE』の世界がそのまま飛び出したかのような同施設では、ライブエンタテイメントやアトラクション、ゲーム、限定グッズが手に入るショップ、オリジナルメニューを楽しめるレストランなどさまざまなアミューズメントが用意されています。

    舞台は新世界に浮かぶ断崖絶壁の島「トンガリ島」。海賊に憧れる島民たちは麦わらの一味がこの島に向かっていることを知り、盛大に彼らを迎えた。感激したルフィらはこの島をナワバリにすると宣言し、島民と一緒になって遊び場を作った。麦わらの一味が去ったあともその功績を伝えるため、彼らの冒険を追体験できるアソビ装置を作ったのだった――。

    来場者はトンガリ島の島民になりきって、アソビ装置で存分に遊べるのです。
    さあ、麦わらの一味の世界を体験してみましょう!

    ルフィとチョッパー

    エントランスではルフィとチョッパーがお出迎え

    トンガリ港(ポート)へ続く洞窟

    3 Fいりぐちフロアの「出会いの洞窟」では、トンガリ港(ポート)へ続く洞窟を進みながら名シーンを振り返れます。近づくと音や光のギミックが動き出す

    好きなキャラ

    好きなキャラに触れるとフキダシが飛び出してきます

    トンガリ港では島民が迎えてくれるぞ〜! クルーのコスチュームは尾田栄一郎先生のデザイン

    トンガリ港では島民が迎えてくれるぞ〜! クルーのコスチュームは尾田栄一郎先生のデザイン

    酒場では全員集合

    酒場では全員集合。宴会中みたいです

    盛り上がってるゥ!!

    盛り上がってるゥ!!

    なりきりコーナー

    「なりきりコーナー」ではキャラクターになりきるグッズを販売。身につければテンションが上がること間違い無し

    4Fまんなかフロアへまいりま〜す

    4Fまんなかフロアへまいりま〜す

    ロビンの古代文字の謎を終え

    4Fでは「ロビンの古代文字の謎を終え」「ゾロの一刀両断」「ブルックのホラーハウス」など麦わらの一味のアソビ装置を楽しめます

    ナミのカジノハウス

    こちらは「ナミのカジノハウス」

    フランキーのコーラバー

    「フランキーのコーラバー」ではフランキーが大好きなコーラと、コーラにぴったりなスナックを用意しています。お姉さんたちもノリノリ!!

    フランキーのヘ・ン・タ・イボールコースター

    1回500円の「フランキーのヘ・ン・タ・イボールコースター」。ハズレなしでグッズが必ず手に入ります

    ウソップの目指せ狙撃王(そげキング)

    「ウソップの目指せ狙撃王(そげキング)」をバックに、島民の挨拶である「トンガリ〜!」をしてくれるお姉さん。こちらも元気良く「トンガリ〜!」で返しましょう

    チョッパーのサウザンド・サニー号体験

    「チョッパーのサウザンド・サニー号体験」は絶対に、絶対に見てくださいよ! サウザンド・サニー号の中に入れちゃうんですよ!

    キッチン

    キッチンへやってきた

    何かありそうな雰囲気……

    何かありそうな雰囲気……



     

    繧ッ繝ャ繧キ繧吶ャ繝育畑_縲三NE PIECE縲上Ο繧ウ繧吶・繝シ繧ッ
    (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
    (C)Amusequest Tokyo Tower LLP

    => ナミとロビン、女子2人のお部屋

  • 2 3月6日に発刊される小学館の新コミック誌「ヒバナ」の公式サイトがついに公開となりました。この公開に先駆けて、まんがStyle編集部はヒバナ編集部にお邪魔してきました!

    公式サイトでは、ただ今5作品の先行試し読みを公開中です。

    東村アキコ『雪花の虎』
    野田彩子『いかづち遠く海が鳴る』
    高木ユーナ『ドルメンX』
    柴本翔『コマさん?ハナビとキセキの時間?』
    長田亜弓『椿と罪ほろぼしのドア』

    「ヒバナ」公式サイト
    hi-bana.com

    コミック誌「ヒバナ」の魅力、そして5作品の見どころとは!? ヒバナ編集部さん、教えてください!

    ――「ヒバナ」のコンセプトは?
    まず、「ヒバナ」ではなによりもキャラクターが読者の心に残って欲しいと考えています。あらすじを読まなくても、絵をパッと見ただけで「いいな」と思えるキャッチーさ。そして、とにかくわくわくするような即効性のある楽しさ。「ヒバナ」ではそういうものをやりたいと思いました。

    ――創刊号の表紙は東村アキコ先生、と思ったら表4の裏表紙も表紙!? 東村先生と西尾雄太先生によるダブル表紙なんですね。
    カラーでたくさんのキャラクターを見せたいと、両面表紙にしてみました。「こんな作品が載っているんだ」と絵で伝える狙いがあります。豪華な作家陣が多彩な作品を描いているので、読めば必ずお気に入り作品&作家さんを見つけられると思います。

    「ヒバナ」公式サイトで今すぐチェックできる先行試し読み作品はこちら!

    『雪花の虎』東村アキコ

    越後の武将・上杉謙信は女だった!?

    3 東村さんはいつも楽しく明るくパワフルで、ぐんぐん頭に入ってくる作品を描く方。雑誌全体のコンセプトを引っ張ってくれるような存在です。そんな東村さんが上杉謙信の話を描くということで、これまで見たことのない東村さんの作家性も見られると思います。男の武将が実は女だった、けれど女だからヒロインなのではなく、女かつヒーローなんです。試し読みだけでも十分わくわくしてもらえるはず。(ヒバナ編集部)

    『いかづち遠く海が鳴る』野田彩子

    実力派作家が描く王道恋愛漫画

    5 黒髪の美女が出てきて、サラリーマンらしい男をナンパ……いや、あからさまに捕食するところから始まるという、ヒバナ第1号においては、エロチック度数ナンバーワン。で、さらにこの黒髪美女の正体がまた大変!という、ラブでエロスでかつ壮大な物語です!(ヒバナ編集部)

    『ドルメンX』高木ユーナ

    スポ根系アイドル男子(ドルメン)コメディ!!

    6 男4人に女1人という若者たち。実は彼らは宇宙人で、実は地球をふんわりと征服するという使命を果たすため、アイドルになることを目指すという物語。作者の高木ユーナさんと担当編集者(♀)の「アイドル愛」が炸裂していて、熱量とスピード感がすごい!!(ヒバナ編集部)

    『コマさん?ハナビとキセキの時間?』柴本翔

    コマさんが私の部屋にキタ!

    1 1号目に2話掲載される予定ですが、試し読みでは1話分をドンと公開しています! コマさんがハナビさんという女の子と出会うところから始まり、人々と交流するほのぼのした面もあればぐっと泣かせる要素も。雑誌ではモノクロで掲載されますが単行本はカラーになる予定で、大人も子供も楽しめます。(ヒバナ編集部)

    『椿と罪ほろぼしのドア』長田亜弓

    魔法使いと俺! とんだ組み合わせのおとぎ話

    4 椿くんという高校生男子がいまして、顔がいいのに性格がひねくれているという残念さ。そこに、言動がすこーしもっさりしている魔法使い青年(こちらも見た目よし)が、ある頼みごとをもって現れる。このコンビ、いったいどうなるの?という、新機軸のおとぎ話です!(ヒバナ編集部)

    東村アキコ先生が新境地!? 青年誌にコマさん!? ……など色々な「!?」が頭をぐるぐると駆け巡った人も多いのではないでしょうか。どの作品も向いている方向はバラバラなれど、読めばすぐに楽しめる作品ばかり。発売日である3月6日は「ヒバナ」第1号をチェックです!

    [構成・執筆=川俣綾加(マンガナイト)]]

    「ヒバナ」連載作家陣(敬称略)
    東村アキコ、鎌谷悠希、武富智、秀良子、高木ユーナ、永井三郎、有永イネ、トウテムポール、西尾雄太、細川貂々、漆原ミナ、たなと、野田彩子、長田亜弓、田中ててて、柴本翔、井田克一&吉田恵里香、伊藤静、とよ田みのる、荒井ママレ&渡辺俊美、林田球、オノ・ナツメ、青野春秋、松本剛ほか

    「ヒバナ」公式サイトhi-bana.com
    「ヒバナ」Twitter公式アカウント@hibanaofficial
  • 大今良時原画展


    東京・青山のギャラリー「GoFa」で、2月7日、「-聲の形-完結記念展 大今良時原画展」が始まった。大今良時氏の『聲の形』(講談社)の完結を記念したもので、3月8日の終了までに累計約130の原画が展示される。

    会期は2つに分かれ、『聲の形』の原画が入れ替わる予定だ。大今氏が作画を担当した『マルドゥック・スクランブル』(原作:冲方丁)の原画と合わせてみることで、マンガ表現の可能性を実感できる空間になっている。

    原画展には多くの人が詰めかけている

    原画展には多くの人が詰めかけている


    『聲の形』は聴覚の障害によっていじめを受けるようになった少女・西宮硝子と、そのいじめの中心にいた事で周囲に切り捨てられ孤独になってしまう少年・石田将也、2人の関係を中心に、人間の抱える孤独感や生きづらさを描く物語。読み切り作品として「別冊少年マガジン」などに掲載されて反響を呼び、連載が決まった。
    大今良時原画展

    冒頭エピソードなど印象的なシーンの原画が並ぶ

    読者に深く考えさせる重いテーマだが、全体的にやわらかく、描き直しの少ない迷いが見られない線で描かれていることで、うまく作品世界全体のバランスが取れているように感じられる。

    当初はそのテーマや物語展開が注目されたものの、原画展で改めて絵に注目すると、絵とその表現方法の完成度も高いことがわかる。絵と文字だけで構成され、音のないマンガというメディアは、音のない世界に住むろう者を描くのに向いているのではないか、とすら思わされた。

    大今良時原画展

    主人公、石田将也の意識外にあることを示すバツ印が外れたシーン。トーンと黒塗りを組み合わせて髪の毛を表現していることがわかりやすいのも原画ならでは。


    例えば、途中から石田以外のキャラクターの顔の上に貼り付けられることになるバツ印。物語のほとんどは石田の視点で進むため、彼の意識に入っているのかそうでないかはこのバツ印で表現される。

    ちょっとしたことがきっかけでこのバツ印がはがれたり、また貼り付けられたりするときの、擬音語も含めた表現は、読者が石田に感情移入しやすくしているように思える。(そして一度も顔にバツ印がつくことのない、ヒロイン、西宮硝子は常に石田の世界にいたことになるのだろうか?)

    また、モノクロの雑誌掲載を想定し、黒一色で描かれた原画。しかしその黒も、ボールペンやサインペンを使い分けているようで、同じ黒でも少し色味が違うのだ。このテクニックを具体的に知りたい方は、会場で上映している動画が参考になる。入場特典のイラストペーパーを描くところを撮影したもので、ペンを持ち替えて線を描いたり色を塗ったりしていることがわかる。

    大今氏の描き方をじっくり見ることのできる映像は貴重な機会_R

    大今氏の描き方をじっくり見ることのできる映像は貴重な機会_R


    =>「マルドゥック・スクランブル」の原画から見る魅力
  • 「御堂筋ぃ!」「真波くん!」「巻ちゃん」「青八木ー!」「今泉くんー!」  会場に集まった131人の『弱虫ペダル』ファンが、作者の渡辺航先生に生で描いて欲しいキャラクターを次々と叫んでいく。どのファンの声にも応えたくて苦悩する渡辺先生。意を決して「じゃあ御堂筋描きます!」と発表、会場全体から上がる黄色い声。熱気がインターハイ会場のゴール地点レベルだ。

    手嶋の名セリフ「ティーブレイク!」で乾杯する会場

    手嶋の名セリフ「ティーブレイク!」で乾杯する会場

    『弱虫ペダル』の渡辺先生の公式トークイベント「渡辺航のペダルナイト2~ザ・ペダル新年会!」が、1月19日に東京カルチャーカルチャー(東京都江東区)で開催された。渡辺先生のファンサービス精神の高さから“神イベント”と称された「ペダルナイト」が、熱望に応えて約1年ぶりに復活。前売りチケットは即完売、来場者131人(うち女性129人)には台湾からやって来たファンもいたことからも、イベントへの期待値の大きさがうがかえる。

    右から渡辺先生、司会のカルチャーカルチャー店長・横山シンスケさん

    右から渡辺先生、司会のカルチャーカルチャー店長・横山シンスケさん

    ファンの弱ペダ愛もさることながら、参加してみてわかったのは渡辺先生自身が非常に愛にあふれたマンガ家であるということ。自転車への愛、作品への愛、ファンへの愛……これらが先生のトーク、ライブペインティングなどあらゆる企画を通してひしひしと伝わってくる2時間半だった。明かされた作品の裏話の数々とともに、イベントの様子を紹介しよう。アニメでまだ登場していないシーンにも触れるので、コミックスを読んでいない方々はご注意を。

    会場に集まった131人の弱ペダファン

    会場に集まった131人の弱ペダファン

    トーク中はイベント限定メニューも食べられる。右は巻島の異名「ビークスパイダー」にちなんだ「スパイダートースト」

    トーク中はイベント限定メニューも食べられる。右は巻島の異名「ビークスパイダー」にちなんだ「スパイダートースト」

    ■「練習時間がなくなったらヤバイ」 並々ならぬ自転車愛

     イベントが始まると、渡辺先生は自前のロードバイク・コルナゴC60に乗って笑顔で登場。服装も総北高校の黄色いジャージを着ているなど、のっけから弱ペダワールド全開の先生にお客さんから歓声とフラッシュが浴びせられる。

    先生、チャリで来たー!!!

    先生、チャリで来たー!!!

    渡辺先生は週刊連載を抱えた多忙な日々を送りながらも、サイクリングの練習は決して欠かさないほど自転車好きだという。

    「編集さんにいつも言っているのが、ぼくは自転車を練習する時間が無くなったらもうやばいんで、そこだけは確保してくれといっているんです。毎週カラー描いてくれとも言われるんですけど、ちょっとセーブして……! って話をしてますね」(渡辺)

     その自転車熱の高さはプライベート写真の公開でますます明らかに。サングラスの先生が日本各地でサイクリングしている写真が20~30枚ほど大画面に映し出されていく。先生の地元・長崎のメガネ橋、御嶽山の麓のゴツゴツした山道、愛媛と広島を結ぶサイクリング専用ロード「しまなみ海道」。夏に長崎へ帰省したときは神戸から5日間かけて680キロ走ったそうだ。とにかく走ることへの情熱がはんぱない。

    自転車のプライベート写真を公開する先生。自撮りするときはこの角度が多い

    自転車のプライベート写真を公開する先生。自撮りするときはこの角度が多い

    あるロードレースの写真。奥に見える山に小さな茶色い線が走っていて、「あれもコースなんです」と先生が説明すると会場がどよめく。レースで走りながらあんな遠くまでコースが続いていることがわかっていたら、普通ならば気が滅入りそうだ。

    「走りながらずっと遠くの道を見て、今からあそこへ向かうのかぁって気持ちになるのが好きなんです。あの尾根が終われば下り道になると思っていたら、実はまだ上り道が続いていた、とか。行く前は無理なんじゃないかと思うけど、いざ終わってしまえば『行けば行けるんだな』って達成感に変わる。『オレ生きている』と感じるんです」(渡辺)

     まるで箱根学園のクライマー・真波山岳のような発言。弱虫ペダルのどんな逆境でもキャラクターたちが勝利をあきらめない熱い展開は、渡辺先生の自転車への愛にも直結しているようだ。

    渡辺先生。イベント後半は、箱根学園のジャージに衣装をチェンジ

    渡辺先生。イベント後半は、箱根学園のジャージに衣装をチェンジ

    ■「古賀が勝手に拳を突き上げた」 作家としてのキャラクターへの愛

     総北高校で部員のサポート役に徹していた古賀公貴が、実はかなりの実力者だったことが明らかになる合宿編(坂道2年生時)。1年生のころインターハイのレギュラーだったことを古賀が証明するため、ジャージを脱いで、あらかじめ着ていたインターハイ時のジャージをバッと披露するシーンがかっこよすぎると会場は盛り上がる。司会の横山シンスケさん(東京カルチャーカルチャー店長)にとっては「弱ペダ史上一番」の場面とのこと。

    古賀のジャージ披露シーン

    古賀のジャージ披露シーン

    「こんなシーン誰も想定してなかったですよ。ジャージ on ジャージですからね! そしてみんなに見せつけたあとに『これが一番わかりやすいだろうと思ってな……』とか言うんですよ! 新開の『バキューン』は新開のキャラに書かされたって前のイベントで言っていたように、この古賀のセリフも書かされた感じですか?」(横山)

    「キャラクターに書かされた感じがありますね。古賀はすごくビュンビュン走ってくれるんですよ。肩で風切ったり、手嶋とのスプリント勝負で勝手に拳突き上げたり」(渡辺)

     合宿編でインターハイ出場をかけた戦いに敗れてしまう古賀。しかし「キャラが立ちすぎてたので、描いててインターハイで走らせたいと思ってしまった」と渡辺先生はいう。作家の意向にゆさぶりをかけてくる古賀もすごいが、それほどキャラクターというものと客観的に向き合っている渡辺先生の作家性にも驚かされる。

    葦木場のホクロについても「だんだんハート型になってますよね(苦笑)」と自覚があったことを暴露

    葦木場のホクロについても「だんだんハート型になってますよね(苦笑)」と自覚があったことを暴露

      『弱虫ペダル』のキャラは設定も非常に深い。イベントでは作中で言及されていない裏設定が先生の口から次々と飛び出した。

      「箱根学園の荒北靖友が乗っているBianchiの自転車は、高校1年生のとき福富寿一が乗っていたのをもらい受けたものだった」「最初の合宿で手嶋と青八木が着けている“必勝グローブ”は、2人で1組のグローブを買って片一方ずつはめている」などなど。キャラ同士の絆を深めるエピソードが飛び出すたび、参加者たちも大いに盛り上がる。

      作品の難問を解く企画「ペダル検定」の答え合わせで、総北のインターハイ出場メンバー(坂道2年生時)が並んでいるカラー見開きがスクリーンに映し出された。みんな同じ黄色いジャージを着ているように見える。

    総北のインターハイ出場メンバーのカラー見開き

    総北のインターハイ出場メンバーのカラー見開き

    「実は鏑木くんだけジャージの色を明るく塗っているんですよ。(1年生だから)新しいジャージなんで、同じ黄色でもわざわざ塗り替えてあります」と渡辺先生は告白。細かすぎる……! このように読者が気づかないような細部でもこだわってしまう情熱が、対話できてしまえるほどキャラ1人1人を活き活きさせるのかもしれない。読者が弱ペダキャラに熱狂してしまうのも大きくうなずける。

     弱ペダのスピンオフシリーズ『SPARE BIKE』に次は誰を出すかという話になった。「巻数が行けば荒北をやる可能性もあると思います。田所とか、金城さんとか……」と言う先生に、「必ず金城は『金城さん』って敬語になりますよね(笑)」と横山さんがツッコむ。「年上感半端ないんです。敬語になります」と照れ笑いする先生。自ら生み出したキャラに謙遜してしまう作家性、すごすぎる。

    ■全員への握手からキモッキモッポーズまで 旺盛すぎるファン愛

     極めつけはファンサービスだ。  渡辺先生がその場でリクエストを受けてライブペインティングした色紙の数は8枚。手嶋を描いたら空けておいたスペースに青八木を添え、巻島を描いたら東堂を加えてと、リクエストキャラの隣に関係の深いキャラを、何の前フリもなしに描き足していく。黒田&泉田、古賀&杉本など、ペアが作られるたびに歓声と拍手が起こる会場――先生、熟知しすぎです。

    御堂筋をライブペインティングする先生。どのキャラも50秒くらいと、描くのがめちゃくちゃ速い

    御堂筋をライブペインティングする先生。どのキャラも50秒くらいと、描くのがめちゃくちゃ速い

    黒田の隣に泉田を描き始めた先生。泉田は目から、手嶋は前髪からと、描き始めるところがキャラによって違うのも見どころだった

    黒田の隣に泉田を描き始めた先生。泉田は目から、手嶋は前髪からと、描き始めるところがキャラによって違うのも見どころだった

    一番歓声が起こった古賀&杉元、補給チーム

    一番歓声が起こった古賀&杉元、補給チーム 

    帰りにも参加者131人へ、自筆サイン入りポストカードを1枚1枚手渡し。笑顔で握手して一二言交わす。19歳女性も「イベントに参加して先生の人柄が好きになりました」、30代女性も「すごく気さくで笑顔も素敵でさらにファンになりました」と語るなど、イベント初参加だったお客さんは先生にますます惹かれていた。

    参加者一人一人に握手する先生

    参加者一人一人に握手する先生

    さらには「バキューン」や「キモッキモッ」ポーズを披露するファンサービスも!

    さらには「バキューン」や「キモッキモッ」ポーズを披露するファンサービスも!

     最後はカメラを向けるファンたちに対し、人差し指を突き出して新開の「バキューン」、さらには両腕をL字に構えて御堂筋の「キモッキモッ」と、作中の名ポーズを連発。こちらの期待をいい意味で裏切り続けた挙句、「今日はありがとうございました!」と丁寧におじぎしてくれる先生に、参加者たちも惜しみない拍手を捧げた。退場の際もみんなに笑ってハイタッチをしていく。畏敬の念や親しみを感じられずにはいられない。

     自転車への愛、作品への愛、ファンへの愛、いずれも並々ならぬものがあった渡辺先生。『弱虫ペダル』の熱量の高さにうなずき、そして先生ごと作品を一層好きになってしまうファンイベントだった。早くも第3回目の開催が待ち遠しい……!

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    [執筆=黒木貴啓(マンガナイト)]

  • P1132572[2]

    1月13日、世界の新人漫画家を発掘する「サイレントマンガオーディション」の授賞式が行われた。新年会も兼ねたこのイベントには『月刊コミックゼノン』の関係者や漫画家などが集い受賞者に大きなエールを贈った。

    「サイレントマンガオーディション」はセリフを一切使わずに、漫画表現における演出力を競うオーディション(コンテスト)だ。2012年の第1回から世界に応募を呼びかけたところ53の国と地域から514編が集まり、第2回のサイレントマンガオーディションでは65の国から609編の応募があった。第3回の募集もすでにスタートしており、前回を上回る数の作品が集まるのではないかと期待が寄せられている。

    このオーディションの注目すべきポイントの1つは、応募した作品だけで判断するのではなく描き手の「総合力」が問われる独自の評価システム。描き手に同賞の受賞歴やサイトでの読者の反応に応じてポイントが付与されるという「クラス制度」を導入しているのだ。

    クラスは3つに分かれている。SNSなどを通じ創作活動を支援する「ライジングクラス」、より上位を目指す応募者たちのリーグである「メジャークラス」。さらに努力賞以上の複数回受賞歴および15ポイント以上を保持する「マスタークラス」だ。マスタークラスでは、プロの漫画家や編集者に意見を仰いだり、メンバー同士でディスカッションしたりすることが可能だという。

    ラス制度についてのスライド。

    クラス制度についてのスライド。

    今回の授賞式では、第1回、第2回のサイレントマンガオーディションで獲得ポイント数が上位10位に入った初代マスタークラスが招かれた。

    P1132260[2]

    ヴィンセント・ランゲ。

    ヴィンセント・ランゲ

    マスタークラスランキング1位に輝いたドイツのヴィンセント・ランゲは、第1回で『別れと始まり(邦題)』が準グランプリ賞、第2回に『バスの時間(邦題)』が準グランプリ賞を獲得。壇上挨拶では「サイレントマンガオーディションに関わる全ての人に感謝を申し上げたいです。参加している仲間達の素晴らしい漫画にも尊敬と愛を」とコメントした。

    北条司さん。

    北条司

    審査委員からの挨拶で北条司は「僕が初めてこうした授賞式に参加したのは30年以上前で、その頃は海外を相手に日本の漫画を広げられるなんて夢にも思わなかったです。今や海外の方が日本の漫画のセオリーで漫画を描いている。これが30年後になったらどうなっているのか、夢があります」と未来への胸の高鳴りを見せた。

    次原隆二さん。

    次原隆二

    「審査会に参加して、日本の漫画がこうして世界に轟いているのが信じられない気持ちです。漫画は世界の共通語だとみなさんから教えてもらった気がします。受賞者のみなさんにはさらに色んなテーマに挑戦して欲しいです」と同じく審査委員を務めた、『よろしくメカドック』などで知られる次原隆二。

    原哲夫さん。

    原哲夫

    原哲夫の挨拶では「海外のみなさんは絵が上手くて若いし、これからどんな作品を描いて輝いていくのか楽しみにしています。ただ、僕は(『北斗の拳』で)“ひでぶっ”とか“あべし!”で食べてきたからサイレントマンガに反対です」とコメントし、この日一番の笑いを誘った。

    堀江信彦社長。

    堀江信彦社長

    さらに堀江信彦社長による締めの挨拶では「漫画文化を世界に発信し続けていくため、世界の読み手に対し、作り手と送り手が一体となって素晴らしいコンテンツを広げられれば」と、よりグローバルな展開を視野に入れた発言も。

    会場には(おそらく新年会に招かれた人が連れてきたであろう)漫画家を目指す海外の人も見かけた。話しかけてみると「まだプロじゃないけど漫画家になるべく絵の練習を頑張っている。今日来てみて、もっとやらなくちゃと思った」と、にこやかな表情。サイレントマンガオーディションの名が世界に広く知られれば、驚くような才能を目の当たりにする日が来るかもしれない。今後もどのような作品が応募されるのが期待しながら見守りたい。

    [取材・構成=川俣綾加(マンガナイト)]

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    数年前「中学生に見える28歳」として話題になった中国人漫画家・夏達(シャア タア)先生が来日。「ウルトラジャンプ」で現在連載中の『長歌行』の最新刊5刊と6刊の同時発売を記念したトークイベントが行われた。

    ▼日本でのファンイベントは4年半ぶり

    1月24日(土)、とらのあな秋葉原店C 4階のイベントフロアにて、『長歌行』著者、夏達(シャア タア)先生のトークイベントが開催された。

    夏達先生は、数年前にネット上で「中学生に見える28歳」「美しすぎる漫画家」として話題になったことでも知られる中国の漫画家。

    高校時代より漫画を描き始め、短編『成長』でデビュー。大学進学とともに北京市でプロ漫画家としての活動を行い、数誌で作品を発表。その後2007年より中国の漫画誌に掲載された『子不語』で第5回金龍賞最優秀少女漫画賞を受賞し、2009年には同作品の日本版である『誰も知らない 〜子不語〜』が「ウルトラジャンプ」にて連載開始。同誌で2011年より『長歌行』日本版の連載が開始した。

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    夏達先生は現在、中国杭州市に在住し活動を行っている。今回の来日は、『長歌行』日本版の最新刊5刊と6刊の同時発売を記念したものだ。2010年5月のサイン会以来、約4年半ぶりの日本のファンイベント開催となった。

    ▼会場には夏達先生の来日を待ちに待ったファンが詰めかけた

    開場の時間になると、部屋に並べられた約50席ほどのイスは夏達先生をひと目見ようと集まったファンで埋め尽くされた。

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    今回、2刊同時発売となった漫画『長歌行』は、7世紀初頭の中国「唐」の時代を舞台にした歴史スペクタクルロマン。父を殺された姫・李長歌が、復讐のために奔走するストーリーだ。繊細で美しい画風と先の読めないドラマチックな展開、丁寧な歴史描写などが作品の魅力となっている。

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    開場間もなくすると、夏達先生が壇上に登場。「美しすぎる漫画家」として数年前にネットで話題となった美貌はそのままだ。腰のあたりまで長く伸ばしたまっすぐな黒髪と白いブラウス、膝下まで丈のあるワンピースがよりいっそう少女らしさをひきたてている。

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    司会進行を務めるのは、現在配信中のアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」で月野うさぎの弟・月野進悟役で出演している、声優の劉セイラ氏。「和気あいあいとした楽しいイベントにしたいと思います」という劉氏のあいさつの後、トークセッションは和やかな雰囲気でスタートした。

    ▼「漫画家になったら女性が主人公の歴史物を描きたいと思っていた」

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    最初のテーマは、『長歌行』誕生の背景について。

    夏達先生は幼い頃から歴史小説が好きでよく読んでいたが、あるとき、そうした物語や歴史書に登場する女性は、「誰かの妻」「誰かの娘」などと呼ばれ、名前が歴史に残らないことに気づいたという。これを受け「いつか自分が漫画家になったら女性が主役の歴史物を描いてみたい」と感じ、その思いがこの作品につながっているのだと語ってくれた。

    また、漫画家になったきっかけを問われると、小学生の頃は内向的な性格だったことや、漫画を読むことで漫画の中の登場人物と友達になり楽しんでいたこと、いつしか自分も漫画を描くようになり、今度はそうした世界を自分自身が創りあげていく楽しさに虜になっていったことなどを振り返り、「そんな風にみなさんが世界に入り込めるような作品を作りたい」と、想いを語った。

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    中国では日本と同様、紙媒体よりもインターネットでの作品公開が増えてきているという。それらはカラーで描かれる上、更新の頻度も高い。そうした中、夏達先生は、自身の執筆を昔ながらの紙とペンで行っていることを明かした。「最近ようやくパソコンでトーンを貼ることを学びました」とはにかみ、「描くスピードが遅いのでお待たせしてすみません」という謙虚な一面を見せた。

    ▼40分に渡るトークセッションは終始なごやかムード

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    「日本のファンが何を感じ、疑問に思っているのか」を夏達先生自身知りたいということで、あらかじめ参加者にアンケートをとって質問を集め、それに夏達先生が答える形のトークセッションとなった。会場は終始和やかな雰囲気で、参加者からの質問に笑いが起きるシーンもあった。以下にその一部を抜粋する。

    Q. 実在の人物を描くときに苦労する点は?

    歴史書には「この人は〜した」というような、人物の「行為」の部分についての記録しかなく、「感情」や「思考」は想像するしかない点。解釈が人によって違うので、あまりアレンジを加えすぎないよう慎重にしています。

    Q. 毎回物語を描くのにどのくらい時間をかけているのですか?

    一回の連載は27ページですが、作画に費やす日数は10日間ほど。ほとんどの時間はセリフを考えるのとネームをわる時間。それには15〜20日ほどかかっています。

    Q. 描きやすいキャラ、描きにくいキャラがいたら教えてください。

    老人を描くのが好きです。美しく描く必要がなく、雰囲気と表情を重視できるから。一番苦手なのは男性主人公と女性主人公。美しく描くのに苦労するため。

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    Q. ストーリーを考えるときに決まってしている習慣があれば教えてください。

    中国の伝統芸能で、講談のような、歴史をアレンジした「語り」があるのですが、これを必ず聴きながら描いています。そうでなくても、言葉があるものを流しながら描いていることが多いです。言葉がつまらなければ作品もつまらないものになってしまうため、意識して取り入れています。

    Q. キャラクターの年齢を教えてください。

    長歌はもうすぐ15歳。男性の主人公は20歳です。

    Q. 中国のみで販売されている短編集などは日本で発刊する予定はありますか?

    それらの短編集は昔に描いたものですが、今見返すととても恥ずかしいので、日本で発刊することはないと思います。本国で再版になったのもやめてほしいと止めたくらいなので・・・。

    (会場、笑い)

    他にも、作画についてや物語のキャラクターについてなど全部で約16個の質問に夏達先生が直接回答した。イラスト集を出してほしいというリクエストに対しては、担当編集者が「是非出したいと思っています、みなさんのお力添えがあれば……」と前向きなコメントを寄せた。

    ▼トーク後にはイラスト色紙とサイン本のプレゼントも

    トークセッションの最後に、夏達先生から参加者にひとつだけ逆質問が投げかけられた。それは「中国の歴史を知らずに読んでも楽しめますか?難しいと感じる部分はありますか?」というもの。

    参加者からは「歴史描写もしっかりしていて分かりやすいが、個人がどう悩んだり動いたのかにスポットが当てられているので感情移入しやすく、歴史を知らなくても楽しむことができる」と、好意的な回答が返ってきていた。

    40分間に渡るトークでは、繰り返し「描くのが遅くて申し訳ない」と謙虚な発言を繰り返していた夏達先生だったが、「今回は本当に楽しかった。みなさんにたくさんの励ましと自信をもらいました。これからも頑張ります」と笑顔で締めくくった。

    トークセッション後には、イラスト色紙が抽選で贈呈され、その後、参加者全員にサインとイラスト入りの新刊が直接夏達先生から手渡された。

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    夏達先生によれば、『長歌行』は今後長く続く作品になるという。先の読めないストーリーはさらに深く、広く展開していく。『長歌行』はウルトラジャンプオフィシャルサイトでも一部試し読みも可能。これからの『長歌行』、そして夏達先生に期待は高まるばかりである。

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    [ウルトラジャンプオフィシャルサイト] http://ultra.shueisha.co.jp/artist/19/

     [執筆・撮影 坂口直]

  • 入り口では石川氏の描いたキャラクターがお出迎え

    入り口では石川氏の描いたキャラクターがお出迎え

     2015年1月15~25日、東京・豊島区の西武ギャラリーで「もやしもん×純潔のマリア原画展~石川雅之の世界~」が開催中だ。並んだ原画やイラストは石川雅之氏の2作品『もやしもん』『純潔のマリア』から370点以上。『純潔のマリア』のマリアら、意志が強く元気な女性キャラクターが訪れた人を出迎えてくれた。

    画像2)

     西武ギャラリーは西武池袋本店の別館2階。近年「マンガの街」として人気の高まっている池袋にある。マンガ売場の充実した書店、リブロが近いことも影響して、マンガの原画展が開催されることも多い。今回の原画展も、『純潔のマリアexhibition』の発売や『純潔のマリア』のアニメ化などにあわせて企画された。

    掲載誌の表紙も一覧に。実は、主人公・沢木の姿はほぼない

    掲載誌の表紙も一覧に。実は、主人公・沢木の姿はほぼない

     『もやしもん』は、菌の姿が見える主人公・沢木直保の農大ライフを通じて、食や農業のあり方をも考えさせる作品。「イブニング」「モーニング・ツー」(いずれも講談社)で連載され、アニメやドラマにもなった人気作だ。今回の原画展では、原画に加えアニメの設定画や作中の登場人物の衣装なども並び、『もやしもん』世界の広がりが体感できるようになっている。

    第1話冒頭のカラー原画。菌と遊ぶ沢木が楽しそう。倉庫内の暗さを示す黒と、菌の黄色の対比が美しい

    第1話冒頭のカラー原画。菌と遊ぶ沢木が楽しそう。倉庫内の暗さを示す黒と、菌の黄色の対比が美しい 

    広い展示スペースに、ゆったりと原画が並ぶ

    広い展示スペースに、ゆったりと原画が並ぶ 

    初公開のボツ原稿。こんなストーリーになる可能性もあった?

    初公開のボツ原稿。こんなストーリーになる可能性もあった?

     原稿はB4サイズ。『もやしもん』はメッセージ性も強いため、単行本を読んでいるときは、どうしてもキャラクターのセリフなどに注目しがち。だが原画展では、多くの原画がゆったりと広い会場に飾られ、ふれないぎりぎりまで近づいて石川氏の描く線や筆遣い、影の付け方などをじっくりみることができた。

    並んだ原画を見て、気がついたのは「主人公のはずの沢木のカラーイラストが少ない」ということ。今回の原画展で目立つのは、沢木の先輩の長谷川やゴスロリキャラの結城蛍(男子)らだ。石川氏の絵の魅力は、迷いのない手描きの線。その線で描かれた女性キャラクターは、細かくデザインされた衣装と相まって生命力にあふれた人物になる。どのキャラクターも意志の強さが見えてくるのだ。

    例えば4巻のカバーを飾る宏岡亜矢。沢木の先輩の友人で、バーテンダーのアルバイトをしているキャラクターだ。カバーでは、女性らしさを強調するマーメイド型のドレスをまといながら、意味ありげな表情と強い目線で、一本芯の通った性格を表している。

    カバーに使ったイラストを実際のカバーとあわせて展示。買い逃した人にとって、限定版のカバーを見られるのはうれしい

    カバーに使ったイラストを実際のカバーとあわせて展示。買い逃した人にとって、限定版のカバーを見られるのはうれしい 

    数々のカラー原画は見ごたえあり。色を重ねて複雑な色合いを出しているところに注目を

    数々のカラー原画は見ごたえあり。色を重ねて複雑な色合いを出しているところに注目を

     細部までこだわった描き込みも、大きな原画を見るときの楽しみだ。特に石川氏は、キャラクターの表情などだけでなく、衣装や背景、主要キャラクター以外の群衆を描くのにも力を入れているように思える。

    例えば酵母を使う食品、ビールを取り上げた回。当初地ビールが苦手だった沢木の先輩・武藤葵が、ラストでは農大内のお祭りを乗っ取り、オクトーバーフェストを開くことになる。武藤が祭りの開催を告げるシーンの背景には、全国から集まったの地ビールメーカーの名前が描かれたトラック、デコレーションされたビールサーバーなどがコマ一杯に詰まっている。セリフだけでなく、コマ全体からもお祭り前のはじけそうな高揚感が伝わってくるのだ。

    思わずビールが飲みたくなる、ビールをテーマした回の原画。細かな群衆の描き込みで、わいわいがやがやの楽しさが伝わってくる

    思わずビールが飲みたくなる、ビールをテーマした回の原画。細かな群衆の描き込みで、わいわいがやがやの楽しさが伝わってくる 

    アニメの設定画は「長谷川のヒールは10センチ以上です」などとっても細かい。石川氏のこだわりが垣間見える

    アニメの設定画は「長谷川のヒールは10センチ以上です」などとっても細かい。石川氏のこだわりが垣間見える 

    ふと上を見上げると菌たちがふわふわ。菌たちはどこにでもいるのだな、と思わされた

    ふと上を見上げると菌たちがふわふわ。菌たちはどこにでもいるのだな、と思わされた 

    原画展では『もやしもん』ワールドの広がりの一端も垣間見ることができる。一般的なマンガ・アニメ作品のように、マグカップや文具、ぬいぐるみなどのグッズ類はもちろんのこと、農大の校旗や農大つなぎ、結城蛍のゴシック&ロリータ衣装まで実物として再現されたものが展示されていた。酒蔵と組んで、酒米から作って醸した日本酒を販売してしまう作品は珍しいだろう。

    もやしもんワールドは広がる。菌のぬいぐるみはリラックスタイム用にほしい!!

    もやしもんワールドは広がる。菌のぬいぐるみはリラックスタイム用にほしい!! 

    造り酒屋・萬屋醸造店と組んで日本酒造りも手がけた『もやしもん』。マンガの世界が現実にはみ出している

    造り酒屋・萬屋醸造店と組んで日本酒造りも手がけた『もやしもん』。マンガの世界が現実にはみ出している 

    一方、アニメが放送中の『純潔のマリア』は「good!アフタヌーン」で連載されたファンタジー作品だ。時代は後に「百年戦争」と呼ばれるイングランドとフランスの戦いが続いていたころ。フランスの村はずれの森に住む魔女・マリアの物語を描く。雑誌に使ったイラストや生原稿に加え、第3巻の限定版に付いていた絵本の原画も並んだ。

    アニメ放送が始まった『純潔のマリア』は台本なども展示

    アニメ放送が始まった『純潔のマリア』は台本なども展示 

    主人公のマリアをはじめ、主要キャラクターの多くは魔女であるため女性。この作品でも『もやしもん』同様、強い意志で突き進む女性キャラクターは健在だ。

    『純潔のマリア』より雑誌を飾ったイラスト。魔力を持つ彼女たちの威力は計り知れない

    『純潔のマリア』より雑誌を飾ったイラスト。魔力を持つ彼女たちの威力は計り知れない 

    グッズ販売も盛況だった模様。こちらでもノートやファイル類以外に、お酒に関する商品が並んでいた。華やかな衣装をまとった女性キャラクターの凜とした姿の版画は人気で、複数買っていく人もいた。

    グッズの販売コーナーには、オリジナルデザインの利き猪口(ちょこ)も

    グッズの販売コーナーには、オリジナルデザインの利き猪口(ちょこ)も 

    版画販売ギャラリーでは、1枚3万~5万円程度の版画を複数枚買っていく人も

    版画販売ギャラリーでは、1枚3万~5万円程度の版画を複数枚買っていく人も 

    東京では西武鉄道の協力でスタンプラリーを開催。決められた箇所の判子を集めると、缶バッジやポストカードがもらえた

    東京では西武鉄道の協力でスタンプラリーを開催。決められた箇所の判子を集めると、缶バッジやポストカードがもらえた 

    原画展は、福岡でも開催される予定。元気をもらえる、オリゼーやマリアたちに会う機会をお見逃しなく。


    ▼展覧会情報

    公式サイト:http://www.moyasimaria.gengaten.com/index.html

     入場料:一般800円、大学生・高校生600円、中学生300円(小学生以下無料)

    [東京会場]

    会期:2015年1月15日(木)~1月25日(日)

    会場:西武ギャラリー西武池袋本店別館2階

    会場時間:午前10時~午後8時 ※入場は閉場の30分前まで

     [福岡会場]

    会期:2015年3月11日(水)~3月24日(火)

    会場:博多阪急7階イベントホール「ミューズ」

    会場時間:午前10時~午後8時 ※入場は閉場の30分前まで

     主催:トラフィックプロモーション

    共催:文化放送/図書印刷/リブロ

    協力:石川雅之/講談社

      [取材・文=bookish(マンガナイト)]

     

  •  「誰がマンガを育てるか」について“批評”と“キュレーション”の切り口から考察するトークイベント「漫画家の登竜門を再考する(2)―誰がマンガを育てるのか?マンガ批評とキュレーション―」が、2014年12月5日に中野区産業振興拠点「ICTCO」(東京都中野区)で開催された。

     登壇者はマンガの文化やキュレーションに精通する3人。マンガキュレーションサイト「マンガHONZ」のライターかつトキワ荘プロジェクトのディレクターである菊池健さん、キュレーション業務も手がけるマンガ関連の企画会社「レインボーバード」代表の山内康裕さん、クールジャパンなどマンガ文化の研究で明治大学の特任講師を務めるレナト・リベラ・ルスカさんだ。

    右から菊池さん、山内さん、レナトさん

    右から菊池さん、山内さん、レナトさん

     スマートフォンの普及や電子書籍の増加、マンガアプリの人気など、マンガの売上を左右するものはここ数年でめまぐるしく変化している。ビジネス面での成功にしても、マンガ家が優れた作品を生み出していく上でも、「マンガを育てる」のは誰になってくるのだろうか。これについて批評とキュレーションという観点から3人が探っていくトークイベントとなった。

    イベントはNPO法人中野コンテンツネットワークが主催するマンガアワードプロジェクト「マンガ・イノベーション・アワード・イン・ナカノ」の一環。昨年7月に開催された「漫画家の登竜門を再考する—新人マンガ賞の意義と新たなプラットフォームの可能性—」に続く、マンガの可能性を検証する全3回のトークの第2回目となる。

    ■マンガのタイトル数が膨大な今は「キュレーション」

     山内さんによると、メディアの特性やテーマに基づいた文脈にのせて作品を選ぶ行為がキュレーションで、そこからさらに作品を時代性と結びつけて論じていくのが批評だという。自身で紹介文を書く『このマンガがすごい!』ではキュレーションを、論評を書いたカルチャーサイト『STUDIO VOICE』では批評を重視し、それぞれ書き方の意識は明確に変えていた。

    「マンガって大衆文化で、ヒットを出しているときはある程度の時事性を反映しているはず。批評は感想文じゃダメで、作品が時代性といかに結びついているかを書かないといけないと思うんです。一方で『このマンガ~』のような選書(キュレーション)では、単に自分がそのときおもしろいと思うものを紹介しようとしています」(山内)

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     そのため批評は書くのに時間がかかり、作品をいいと思っている内に取り上げにくい問題があるとのこと。今現在はマンガの新刊発行部数はバブル期より約1.5倍も増えていてるため、テーマに応じて作品を選ぶキュレーションが世間的に求められており、実際にキュレーションサイトが増加しているのもそれが理由だと分析した。

     菊池さんは『手塚治虫はどこに行く』(著者:夏目房之介)や『テヅカ・イズ・デッド』(著者:伊藤剛)といったマンガ批評家の書籍を引き合いに、批評とはマンガを売るためではなく「そのものがコンテンツとなるおもしろいもの」と位置づけた。対して「マンガHONZ」が行っているキュレーションは「埋もれたマンガを紹介して売る」こと。それも現代においてマンガのタイトル数が多いからだと説明する。

     現在1年間に発売される新刊発行部数は、単行本が約1万作品、復刻本あわせて約1万2000作品。電子書籍も既刊タイトルふくめ年間約2万作品が電子化されている。「おそらくマンガの99パーセントはみなさんの目には触れない世界になってきて」おり、中に埋もれたおもしろい作品を書評でしっかりと紹介して売っていくことが大事になるそうだ。

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    「マンガHONZが書評を書く上で1番狙っているのはPV数ですが、2番目はその書評を通してAmazonなどで何冊売れたかというコンバージョン。レビュアーみんなでそれを月1回見て、一番書評で売ったやつが偉い、といった感じで競いあっています(笑)」(菊池)

     そのためマンガHONZでは、例えば4月頭には「新社会人に向けて紹介するマンガ」という切り口のように、特定の読者の興味を惹くような文脈をつけて記事を紹介していく。「ニコニコ角川祭り」というKADOKAWAグループの電子書籍セールのときは、「セール中に買っておきたいお薦めマンガ60選」という切り口で一挙60冊紹介した結果、その記事からKindleで4000冊売り上げたそうだ。

     両者とも批評・キュレーションの位置づけに違いはあれども、毎年膨大なタイトル数が発売されるマンガ市場においてはキュレーションが求められる傾向にあるという見方だった。

     一方でレナトさんは、マンガが世界で売れるようになるには批評が必要だと主張。海外から見て日本のマンガはまだサブカルチャーの域にあり、それは国内にマンガ批評があまり存在しないからではないかと指摘する。音楽や小説、映画などは批評家たちが討論を繰り返し、評価に値するアーティストや作品を見出していった結果、メインカルチャーへと正当化されていった。日本がマンガを国の代表的コンテンツとして売り出そうとしていることを踏まえ、マンガにも同じような批評的な議論がもっとあった方がいいと説いた。

    ■読者の総意が作品を育てる? 「comico」のコメント機能

     マンガは誰が育てるかという話では、マンガアプリ「comico」のコメント機能について盛り上がった。

     comicoでは2014年、学園コメディマンガ『ReLIFE』(作:夜宵草)が累計300万ダウンロードを記録するなど大ヒットに。8月に同アプリ初となる単行本化を果たした後、1・2巻の累計発行部数も11月時点で40万部を突破した。

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     菊池さんは『ReLIFE』が売れた理由は、comicoのコメント機能が“新しいクチコミ”効果をもたらしているからではないかと推測する。

     comicoは1話ごとに読者がコメントできるシステムだ。コメント1つ1つにも『いいね!』がつけられ、その数が多いほどコメントがトップへ上がってくる。実際は1話につき3000、4000コメントがつき、トップコメントの『いいね!』数も2000、3000を記録しているそうだ。

    「何が起きているかというと、昔ぼくらがジャンプを発売日前とかに買っていち早く読んだら、学校の教室で『お前読んだか?』みたいに友達に話している状況がcomicoでも起きているんです。コメントを書きこむ方もcomicoが新しい仕組みだって自覚があるし、読んでいる方も『いいね!』を押すとコメントが上に来る。そういう盛り上げ力みたいのがドライブして、『ReLIFE』が売れたんじゃないかな」(菊池)

    「そういう意味だと、comicoでは読者がキュレーターになっているんですよ」と山内さん。マンガ家を題材にした作品『バクマン』(原作:大場つぐみ/作画:小畑健)では、インターネットの読者がマンガ家にアドバイスを送ってみんなで作品を作りあげていくエピソードがあった。そのように、comicoではコメント機能というユーザーの総意が作品を育てる力があるのではないかという。

    「一方で別のマンガアプリ『マンガボックス』は、旧来のように編集者がキュレーターの役割をやっていて全然文脈が違いますよね。誰が作品を育てるのかという意味で、読者が育てるのか編集者が育てるのか、どっちに動くのか気になるところですよね」(山内)

    取材・文=黒木貴啓(マンガナイト)