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シリーズの各シーンから厳選された原画が展示

20140224-n-01 2月19~26日、東京・千代田のArts Chiyoda 3331で開催されている「卒業式 中村明日美子「同級生」シリーズ原画展」。マンガ家、中村明日美子先生の代表作のひとつ、「同級生」シリーズの完結と単行本発売を記念してのものだ。会場では、先生が厳選した原画とファンが選んだお気に入りシーンの原稿が設置されたうえに、作中の世界を少し再現した空間が広がり、ファンは中村先生の作り出す世界を満喫できる。

同級生シリーズ、はBLアンソロジー「OPERA」(茜新社)で7年半連載。『同級生』『卒業式』など単行本にまとめられ、2月15日には最新刊『O.B.』が発売された。シリーズの完結を記念し、今回の原画展も「卒業式」と名付けられ、図録(1200円)も『卒業証書』とした。

20140224-n-02 展示の見所は、シリーズの各シーンから厳選された原画。どの原画も無駄な線や修正の跡がほとんどなく、研ぎ澄まされている。線の美しさに圧倒され、白い壁から原画が浮かび上がってくるように感じられる。

シリーズの魅力は、恋と青春という瞬間の輝きを中村先生の無駄のない線と色使いで描いているところにある。もちろんこの良さは紙の雑誌や本でも味わえるが、原画や生の原稿ではその魅力がより実感できる。

中村先生の描いた1枚の絵が私たちを引き込むのは、それぞれの絵が「はかなさ」(担当編集のE本さん)を感じさせるから。未来ある高校生の姿を描いているのに、なぜか次の瞬間消えてしまいそうなイメージを抱かせる。

20140224-n-03 今回用意された原画は、モノクロ・カラーあわせて合計90。前期と後期でモノクロ原画の展示が入れ替わる。

カラー原画は、独特な彩色方法が生み出す複雑なグラデーションが美しい。公式ファンブック『卒業アルバム』で詳細が説明されているが、中村先生は下書きの絵の色を付けたい部分に水を流し、その水の上にインクを流して色付けするという。インクを筆やスプレーで塗ったりするのとは違う、偶然の生み出す色はどれだけ眺めても飽きない。

20140224-n-04 モノクロ原画の魅力は、絶妙な白と黒の使い方だ。モノトーンの美しさを味わうのはもちろん、線の太さ、ベタ塗り、影の部分のカケアミーその絵がどう生み出されているのか気になり、絵に引き寄せられる。原画はそれぞれ、作品のワンシーンを切り取ったもの。絵を見ながらどのシーンだったかを思い起こすのも楽しいだろう。

人気エピソードが生原画で読めるのもうれしい。事前にウェブサイト上でファンから読みたいエピソードに投票してもらい、上位になった話を会場に並べた。これもファンにはうれしい。シリーズからどのエピソードが選ばれたかは、実際に会場で確かめてほしい。

20140224-n-05 20140224-n-06 これらの原画や原稿はどう作られているのか。その一端も会場で垣間見える。メモ用紙にかかれたプロットに、ネーム。さらに下書きから実際の原画まで。担当さん曰く、ネームができてから実際の原稿になるまでは非常に早いとか。

ギャラリーの一角には、学校用机とスクールバッグで再現された同級生シリーズの主人公らが過ごした学校を思わせるワンシーンが再現されている。洋楽のCD、メガネ、野菜ジュースなど机の上の小道具は定期的に入れ替わるという。


中村先生の絵の力を間近で見られる原画や原稿、作品世界をのぞけるスポットである元教室のギャラリーが、ただ絵を見るだけではない、ファンが心行くまで作品に没頭できる空間になっていた。

【原画展概要】
会場 3331 Arts Chiyoda 地下1階 B104
〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14

日時:2014年2月19日(水)~26日(水)11:00~19:00
(最終日17:00終了) ※時間指定入場制

入場料:300円(税込)※小学生未満無料(当日券は各日午前10時より配布/若干数)
http://www.akaneshinsha.co.jp/gengaten/asmk.html

[執筆=bookish(マンガナイト)]


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