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ファンと交流、2014年のアニメをチェック——こんなにあるコミケの楽しみ方

寒い中、コミケ会場の東京ビッグサイトに向かう

寒い中、コミケ会場の東京ビッグサイトに向かう

近代的な建物が目立つ東京・湾岸地区にある東京ビッグサイト。夏・冬の年2回、コミックマーケット(以下コミケ)が開催され、多くの人が押し寄せるのはすっかり風物詩になった。
特に盛況が目立つのは、ビッグサイトの西ホールに設けられる企業ブースだ。ほかのどの場所よりも一度にたくさんのファンが集まるコミケで、各社は競って、将来のファンに自社の作品をプッシュ。直近に発表されたものや根強い人気を誇るアニメ・マンガ・ライトノベルを一覧できる場所になっている。このほか、同人誌の頒布や国際交流のイベントなど幅広い楽しみが用意されている。

2013年12月29日午前10時半。気温はたったの6度という寒空の下、すでに企業ブースへいくための長蛇の列ができていた。
コミケ準備会によると12月29日の参加者は18万人。夏に比べれば少ない

コミケ準備会によると12月29日の参加者は18万人。夏に比べれば少ない

彼らの目当ては企業が販売するアニメ・マンガ関連のグッズだ。「C85」と呼ばれる今回は、アニプレックスや「電撃屋」(アスキーメディアワークス出展)など140以上のブースがそろった。ブース規模は「小学館」など企業単位から、「鬼灯の冷徹&K」など作品単位まで幅広い。複数のブースに同じ作品のグッズがあることも珍しくない。
「電撃屋」ブース。人気作品が人を集める

「電撃屋」ブース。人気作品が人を集める

企業ブースの特徴は限定グッズや一般販売前グッズの先行販売だ。イベントで財布の紐が緩くなるのを見越してか、一般的なグッズ販売店よりも平均単価は高め。どのブースも数百円代の商品は1~2種類で残りは1000円以上。各ブースで1万円以上の商品も珍しくなかった。

入場すると各自、お目当ての企業の列に並ぶ。といっても会場スペースには限界がある。列を屋外に作り、一定の人数を少しずつ移動させる。屋外の列から屋内に移動するために「列が通ります」というスタッフの声が何度も響く。
人気ブースは屋内に並びきれず、屋外に列ができる

人気ブースは屋内に並びきれず、屋外に列ができる

29日は「並べない」ブースもあった。たとえばスパイク・チュンソフト作のゲームソフト『ダンガンロンパ』のグッズを販売する「ダンガンロンパ希望ヶ峰学園購買部」。午前中は一時、スペース不足で列に並ぶことができなかった。夏にもブースを出していたがスタッフによると「今回の方がお客さんは多い」とのこと。アニメ放送で人気が高まったようだ。
「ダンガンロンパ希望ヶ峰学園購買部」。どのぐらいの人が集まるか企業側も読みにくい

「ダンガンロンパ希望ヶ峰学園購買部」。どのぐらいの人が集まるか企業側も読みにくい

こんなに並んでまで手に入れたい限定品は、午前中から午後の早い時間にかけてその日の販売分は売り切れ、「本日分完売」の札がかかることが多い。
29日は午後12時半ごろ、メディアファクトリーブースでテレビアニメ『きんいろモザイク』の原画集や本革製ブックカバーなどが販売終了になった。グッドスマイルカンパニーでは『蒼き鋼のアルペジオ』のiPhoneカバーに「SOLD OUT」に札がかかった。アニプレックスが用意した『劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』マルチクロス&ショッパーセットなど6商品は、15時半ごろにすべて売り切れた。

ここまでグッズの販売が盛り上がるのはコミケが愛好家による愛好家のためのイベントだから。「自分の好きな作品の最新の情報を知りたい」「もっとおもしろいと思う作品を知りたい」という人がほかのどの場所よりも一度にたくさん集まる場所なのだ。だからこそ企業も新作アニメやグッズのPRに必死になる。

「愛好家によるコミケ」という姿は、企業ブース以外のところに現れる。

29日は東ホールと西の1・2ホールに、同人誌を頒布するブースが集まった。
混雑する時間は、身動きがとれないホールも

混雑する時間は、身動きがとれないホールも

ホール内の通路以外の部分には、長机が所狭しと並べられている。ブースを出す人は、割り振られた場所を自分で作ったポスターなどで飾り、机の上に作品を置くのだ。来る人が多いと予想されるブースは、行列を作りやすいように壁側に配置される。

好きなマンガや小説、ゲームのキャラクターや世界観を使い、自分がどんなにそれぞれの作品やキャラクターが好きなのかを絵や小説で思い思いに表現。「この話のここがよかった」「この展開に泣けた」など感想も隠し味の一つとして作品を構成している。(その中にはもちろん「こうだったらいいのに」という思い(妄想?)から生まれる2次創作作品も多い)
ブースの人とのやりとりも楽しみのひとつ

ブースの人とのやりとりも楽しみのひとつ

長机には値段のついた作品が並ぶ。一見作品を売りに来たように見えるが、これは純粋な「販売」ではなく「頒布」だ。もちろん無料ではないが、企業ブースの企業と消費者の間で成り立つ「売買」よりも「交流」に近い。創作物を介して、「こんにちわ」「お久しぶりです」「元気でしたか?」「この前の作品、おもしろかったです」などなごやかな会話が交わされる。縁があって作品を手に入れられたら「ありがとうございました」とお礼をいう人も少なくないのだ。それはブースを出す人もブースを訪れる人も、どちらも「参加者」だからだ。

出展する人は慣れている人ばかりではない。作品の準備やお金のやりとりもスムーズではない人も少なくないし、いつ完売になるかは誰にもわからない。ブースにいる人もなかなか会えないファン仲間に挨拶にいくため、時間によってはブースに誰もいないということも起こりうる。「販売」やサービスは、皆に均等に提供されるわけではなく、個人個人の距離感で変わっていくものなのだ。

コミケの前身となるイベントは1975年にスタート。「マンガが好き」「アニメが好き」「SFが好き」……なかなか周囲で自分のような愛好家を見つけられない人が、定期的に1カ所に集まり自分の思いをまとめた冊子を交換・販売する——こんな思いの人たちが次第に集まっていった。

「コミケの同人誌」ではどうしても、「ファン同人誌」いわゆる2次創作が注目されがち。だがもともとのイベントで、自作の小説や評論、マンガが多かったように、最近はオリジナルの小説や音楽、旅行記など創作物を冊子にまとめてブースに並べる人が目立ち、装丁なども凝ったものが多い。

ちなみに企業ブース以外のところでどんなジャンルのブースがでているかで、企業の限定品の販売動向も左右されるようだ。
29日は、女性に人気のある作品の同人誌が中心だったため、午前中は男性客が比較的多く、『艦隊これくしょん』と『ラブライブ!』関連の限定品が先に売り切れた。実際、午後からは企業ブースに女性が増え『進撃の巨人』『Free!』の商品でも売り切れが出るようになった。

だがコミケの楽しみ方はグッズの購入やファンとの交流だけではない。

たとえばコスプレ。コスプレイベントは全国で開催されるようになったが、コミケは特にレベルが高いうえ、イベントスペースも広い。私が「レベルが高い」と思って許可をもらって撮影したのはスウェーデンからの留学生で「HUNTER×HUNTER」のキャラクターのコスプレをしていた。長野県上田市在住で、今回のイベントのために東京にきたとか。
スウェーデン出身という2人。得意のポーズを決めてくれました

スウェーデン出身という2人。得意のポーズを決めてくれました

国際交流も見所だ。29日夕方は、同人誌の印刷を手がける共信印刷の主催で特別講演「フメットとルッカコミックスについて」が開催された。イタリアのファンイベント「LUCCA COMIC & GAMES」のコミック部門のコーディネーター、ジョヴァンニ・ロッソさんが来日。イタリアのコミック「フメット」の歴史、世界で一番古いコミック関連のイベント「LUCCA COMIC & GAMES」を紹介してくれた。 この巨大なフェスティバルであるコミケ。驚くことに運営はほぼボランティアだ。だが規模が大きくなるにつれ、企業の力も大きな支えになっている。

代表的なのが通信環境の改善。当日は、混雑を緩和するためモバイル基地局を背負った人が会場にあちらこちらにいる。29日に見かけたのは、auとdocomoのWi-Fi部隊だ。
売り切れ情報をツイッターなどで確認する人もいるので通信環境は重要

売り切れ情報をツイッターなどで確認する人もいるので通信環境は重要

この2社は移動基地局になるトラックも用意。docomoは『すーぱーそに子』、auは『進撃の巨人』を車体に描き、会場でアピールした。
auの移動基地局になるトラックはスタッフのコスプレも完璧

auの移動基地局になるトラックはスタッフのコスプレも完璧

意外な縁の下の力持ちは運送会社だ。荷物の搬入・搬出だけでなく、グッズや同人誌を大量に買った人も帰り道の手荷物を減らしたい。とても重宝されている。
運送会社のおかげで、大量に同人誌やグッズを買っても大丈夫

運送会社のおかげで、大量に同人誌やグッズを買っても大丈夫

ビックサイトの会場外にも「コミケ」は染み出している。りんかい線国際展示場駅前のローソンは、折りたたみ可能なイスを1つ630円で販売。JR大崎駅構内の書店「BOOK EXPRESS」はコミケに向かう人たちに毎回、そのときの流行にあわせたメッセージを送る。
BOOK EXPRESS大崎店メッセージのメッセージは「艦隊コレクション」風

BOOK EXPRESS大崎店メッセージのメッセージは「艦隊コレクション」風

コミケ、その楽しみ方は幅広い。ルールやマナーを守って楽しく参加すれば、作品をこれまで以上に愛せるはず。ぜひ、あなた自身の楽しみ方を見つけて欲しい。

[マンガナイト]

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