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サブ_ホーキング博士

サブ_ジェーン

サブ

映画好きで知られる漫画家・巻来功士。
巻来功士が最新の映画を観賞し、心臓がピクピクするほど感動及び興奮、または憤慨?した作品”心ぴく映画”を紹介するのが 『功士の心ぴく映画コラム』です。

第八回目にご紹介する映画は『博士と彼女のセオリー』。天才物理学者ホーキングの実話を元にしたヒューマン・ラブストーリー。ホーキングを演じるのは、『レ・ミゼラブル』のエディ・レッドメイン。今年度のアカデミー賞主演男優賞の最有力候補にあげられている注目の俳優。

一方、妻ジェーンを演じるフェリシティ・ジョーンズ(『アメイジング・スパイダーマン2』)もアカデミー賞の有力候補だ。監督は、ビルの谷間を綱渡りする大道芸人にスポットを当てた『マン・オン・ワイヤー』でアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞したジェームズ・マーシュ。

今年度のアカデミー賞最有力候補にあげられている話題作を観た巻来巧士の心ぴく度は?

【STORY】
ふたりの出会いは1963年。スティーヴンがケンブリッジ大学の大学院に在籍している時だった。彼は詩を学ぶジェーンの聡明さに、ジェーンは彼の夢見がちなグレーの瞳とユーモアのセンスに惹かれ、たちまち恋におちる。だが、直後にスティーヴンは運動ニューロン疾患と診断され、余命2年の宣告を受ける。それでも彼と共に生きると決めたジェーンは、力を合わせて病気と闘う道を選択する。

 そんなふたりの結婚生活は、残された時間を2年から5年に、5年から10年に、10年から20年に延ばすための絶え間ない努力の日々となる。ジェーンに励まされて研究に打ち込み、学者としてのステイタスを築いていくスティーヴン。心身両面で夫をサポートしながら、ふたりの生き甲斐となる子育てにも奮闘するジェーン。自分たちに与えられた時間がどれほど貴重なものかを知るふたりは、歳月を重ねるごとに増す試練に、強固な愛の力で立ち向かっていく。

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第8回「功士の心ぴく(心臓がぴくぴくするほど感動した?)映画コラム」は『博士と彼女のセオリー』です。

またまた、実話物です。今年のアカデミー賞受賞、候補作は特に多い気がします。本作は、理論物理学者で有名なスティーヴン・ホーキング博士の妻、ジェーンが書いた原作を基に作られた映画です。最も身近にいた夫人の原作なので、よくある偉人伝にはなっていません。もちろん、そんな映画は面白いわけありませんが、おそらく我が国で作ったらソノモノのつまらない映画になる事でしょう。

この映画はその逆をいく映画です。天才ホーキング博士がALS(筋萎縮性側策硬化症)を患いながらも、研究成果により栄光を手に入れてゆく、なんて映画を見たい人もいると思いますが、良い意味で裏切られた結果、傑作と呼ぶに値する素晴らしい映画になっていました。ホーキング博士役のエディ・レッドメインがアカデミー主演男優賞受賞の、納得の演技を披露しています。妻、ジェーン役のフェリシティ・ジョーンズの女を匂わせる(?)演技も負けないぐらい素晴らしいです。主要な全ての俳優が、眼差しで語るという高度な演技合戦を見事にモノにしています。

後半、ホーキング博士は、ALSの為に、身体を動かす事も喋ることも出来なくなってしまい、感情を表す時は微かな表情の変化になります。ホーキング博士役のエディ・レッドメインが奇跡的演技で表情に現すと、妻役のフェリシティ・ジョーンズがその表情を受けて、やはり微かな表情で答えます。そして妻が頼りにする、ジョナサン役のチャーリー・コックスとの熱い眼差しの交換。また、ホーキング博士と、身の回りを世話する女性との感情の交換。見事な演技の手本のような演出に溢れています。見なきゃ損だと言い切ってよいでしょう。

そして、この映画は天才の波乱万丈な半生を、女性の目線で赤裸々に語られている所が秀逸です。つまり、男性が大好きな名誉とか権威をテーマにせず、全ての人々の恋愛関係、夫婦関係に通じる普遍的な感情を描き切っているのです。だからこそ、全ての大人に共感を与える傑作に仕上っていました。

ただし、大人限定です。この映画で描かれた繊細な男女関係を深く理解できるのは、やはり我が国では、残念ながら経験豊かな大人しかいないでしょうから(単純な思考しか出来ない、幼稚化した大人にもお薦めしません)。その証拠に、私の隣で見ていた女子高校生は「長くて眠くなった」など呟いていました。私が高校生の頃に見ても絶対に傑作だと思えるこの映画を見て、そんな事を呟いてしまうとは・・・。そんな感情が湧きあがって来る位に、よく出来た繊細なラブストーリーになっています。

私は、中盤の身につまされる描写に心揺さぶられ、ラスト全てが許される演出に心の底から感動しました。感涙必死です。つまらない泣かせ映画などにはなっていません。どうしようもない人間の性(サガ)、だからこそ素晴らしい人間というモノを力強く描いています。

観終わって、勇気が湧く素晴らしい傑作です。なるべく、予備知識なしに観てください。絶対に感動する事をお約束します。しかし、今年のアカデミー賞、受賞、候補作にはハズレがありません。素晴らしく深く人間を描いた傑作ばかりです。監督は、本国アメリカ人は言うに及ばず、イギリス人、メキシコ人、他、と多様です。このことがあらゆる価値観で人間を見つめる素晴らしく面白い映画が誕生する原動力になっているのでしょう。うらやましい限りです。それに引き換え、我が国の、テレビドラマファンに向けて作られたとしか思えない映画の数々は・・・。世界レベルの映画との距離は、かけ離れてゆくばかりです。

1980年代までの素晴らしい邦画、世界の映画監督の手本になった邦画を取り戻してほしいと思います。日本と海外じゃ価値観が違うから仕方ないと言われる方が居るかもしれませんが、その意見はまったく違います。この「博士と彼女のセオリー」を観終わって最初に思ったのは、脚本家、山田太一の名作テレビドラマ「男達の旅路」でした。その切ない男女関係、繊細なストーリーに似通ったものを感じ、私が高校生の頃見たこの名作を思い出したのです。それ位、深い普遍的な人間ドラマが、多数我が国にも存在しました。時代性など関係なく、世界に共通する普遍的な名作が・・。そんな事まで思い起こさせてくれる、人間ドラマの傑作です。

全ての大人(大人の思考で物事を考えられる若者)にお薦めの名作です。是非ご覧ください。『博士と彼女のセオリー』の心ぴく度95点です。

『博士と彼女のセオリー』

[CAST]
エディ・レッドメイン(スティーヴン・ホーキング)
フェリシティ・ジョーンズ(ジェーン・ホーキング)
チャーリー・コックス(ジョナサン・ヘリヤー・ジョーンズ)
エミリー・ワトソン(ベリル・ワイルド)
サイモン・マクバーニー(フランク・ホーキング)
デヴィッド・シューリス(デニス・シアマ)

[STAFF]
ジェームズ・マーシュ(監督)
ティム・ビーヴァン&エリック・フェルナー(製作)
リサ・ブルース(製作)
アンソニー・マクカーテン(製作・脚本)
ジェーン・ホーキング(原作)

[配給]
東宝東和 

[オフィシャルサイト]
http://hakase.link/

3月13日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー

ゾルゲ市蔵-プロフィール画像

【巻来功士]

1958年長崎県佐世保市生まれ。1981年、「少年キング」誌で『ジローハリケーン』でデビュー。 「週刊少年ジャンプ」に発表の舞台を移し、代表作『ゴッドサイダー』を執筆。その後、青年誌を中心に『ザ・グリーンアイズ』『瑠璃子女王の華麗なる日々』『ゴッドサイダーサーガ神魔三国志』など数々の作品を連載。 クラウドファウンディング「FUNDIY」にて『ゴッドサイダー・ニューワールド(新世界)〜 ベルゼバブの憂鬱 〜』の制作 プロジェクトを成功させて現在鋭意執筆中。


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