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m0000000773_sub2[1]映画好きで知られる漫画家・巻来功士。
巻来功士が最新の映画を観賞し、心臓がピクピクするほど感動及び興奮、または憤慨?した作品”心ぴく映画”を紹介するのが 『功士の心ぴく映画コラム』です。

第七回目にご紹介する映画は『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』。主演男優賞(ベネディクト・カンバーバッチ)、助演女優賞(キーラ・ナイトレイ)の他、作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞、美術賞、作曲賞のアカデミー賞(R)8部門ノミネート。その他にもトロント国際映画祭で観客賞受賞、第72回ゴールデン・グローブ賞に5部門ノミネートされるなど話題の新作映画です。

果たして注目の作品を観た巻来巧士の心ぴく度は?

【STORY】
第二次世界大戦時、ドイツ軍が誇った世界最強の暗号<エニグマ>。世界の運命は、解読不可能と言われた暗号に挑んだ、一人の天才数学者アラン・チューリングに託された。英国政府が50年以上隠し続けた、一人の天才の真実の物語。時代に翻弄された男の秘密と数奇な人生とは――?!

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第7回「心ぴく(心臓がぴくぴくするほど感動した?)映画コラム」今回の映画は『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』。ナチスドイツの暗号機エニグマに挑んだ、英国の天才数学者アラン・チューリングの実話を基にした映画です。

エニグマの暗号解読に集められた天才たち、その中でも異能の輝きを放つ実在の主人公アランに、べネディクト・カンバーバッチが最高の演技で命を与えています。原題、イミテーション・ゲーム。それが、この物語の全てを現しています。自分の内に宿るもの(?)を偽物だと信じて疑わない天才数学者、主人公アラン。男女の愛が偽物でも、友情がそれに代わりえると断じる、クロスワードパズルの天才ジョン・クラーク女史。全てを偽物(嘘)だと断じる事から国防の最善の道を探し出す、MI6(英情報部)の実力者スチュアート・ミングス。その他の登場人物も嘘(偽物)を重ねながら、厳しい戦時下を生き抜こうと懸命にもがきます。その嘘(イミテーション)が、人間の生きる力を体現してゆく後半は特に素晴らしい盛り上がりを見せます。国家そのもの、英国自体が、戦後50年間もこの事実を国民に隠さなければならなかったという大きな偽り(イミテーション)にも帰結する脚本は、見事としか言いようがありません。

その中で、一番ちっぽけな偽りを時代というものによって厳しく糾弾されたのが、主人公の(紛れもなく第2次世界大戦で多くの人の命を救った英雄)アラン・チューリングだったとは・・・。深すぎる人間の業、宿命を描き切ったそのストーリーに、何度溜息が出たか分かりません。戦争物の過酷さ、スパイ物の謎解きの面白さ、人間ドラマの繊細さ、その全てを見事に盛り込み、奇跡的傑作に仕上がっていました。時代に翻弄された、真の英雄、アランが後半、刑事に語る「・・・この話を聞けば、(自分が)機械か、人間かが、分かる・・・」その重すぎる言葉に身震いするほど、感動を覚えました。

この物語が語るように、新しい時代を作ってきたのは、常に時代に愛されようとした異能者であり、しかし結局時代に愛されるのは、リアジュウである凡人だけだと言う事が良く分かります。結局、時代を先取るが故に天才たちは、常に現状に居心地の悪さを感じてしまうのです。それが、天才(異能者)の宿命だという事も饒舌に語られています。つまり、アランは異能者であるがゆえに(1400万という人を救った真の英雄で全ての人に尊敬されるべき人物なのに)、時代は、絶えず凡人には理解できない考え方をするという理由だけで、異能者を隠し除外し葬り、凡人が歴史を作った英雄だと偽り、凡人足る庶民の溜飲を下げてきたのだという事実をストレートに観客にぶつけているのです。同時に、どうしようもない人間の宿命というものの残酷さを観客に突きつけます。それにより、ラストの英雄アランの、哀しみ、切なさが、ダイレクトに私の心に突き刺さり、涙が溢れて仕方ありませんでした。名作です。必ずもう一度映画館で鑑賞しようと思います。

アメリカ・イギリス映画界の底知れぬ実力を目の当たりにさせられる驚愕の完成度の映画です。果たして、25年前までは映画の先進国だった我が国が、こんな完成度の映画を今、作る事が出来るのか・・・答えは残念ながらNOだと言わざるを得ません。しかし、絶望する必要はありません。真摯にこの名作に学べばよいのですから。黒澤・小津・今村・深作が居ない今、この名作に学んで、今こそ本物の大人の鑑賞に足る名作を生みだす時が来たのだと思います。今こそが、そのタイム・リミットなのです。そうでないと、本当に世界に冠たる日本映画は消えうせてしまうと思います。

そんな、映画の教科書足りえる、深くて、広くて、切ない、人間そのものを描いた名作映画です。是非ご覧ください。私的、今年暫定ナンバー1の映画です。全ての人に観てほしい、映画という芸術品です。

功士的心ぴく度、限りなく100点に近い96点です。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
出演:ベネディクト・カンバーバッチ「SHERLOCK」『スター・トレック イントゥ・ダークネス』、キーラ・ナイトレイ『アンナ・カレーニナ』、マシュー・グード『イノセント・ガーデン』、マーク・ストロング『裏切りのサーカス』
監督:モルテン・ティルドゥム  脚本:グラハム・ムーア   
サウンドトラック:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
配給:ギャガ (C) 2014 BBP IMITATION, LLC
The Imitation Game/2014年/米英合作/115分/シネスコ/5.1chデジタル/カラー/字幕翻訳:松浦美奈
オフィシャルサイト:Imitationgame.gaga.ne.jp

3月13日(金) TOHOシネマズ みゆき座他全国ロードショー

ゾルゲ市蔵-プロフィール画像

【巻来功士]

1958年長崎県佐世保市生まれ。1981年、「少年キング」誌で『ジローハリケーン』でデビュー。 「週刊少年ジャンプ」に発表の舞台を移し、代表作『ゴッドサイダー』を執筆。その後、青年誌を中心に『ザ・グリーンアイズ』『瑠璃子女王の華麗なる日々』『ゴッドサイダーサーガ神魔三国志』など数々の作品を連載。 クラウドファウンディング「FUNDIY」にて『ゴッドサイダー・ニューワールド(新世界)〜 ベルゼバブの憂鬱 〜』の制作 プロジェクトを成功させて現在鋭意執筆中。


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