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大今良時原画展


東京・青山のギャラリー「GoFa」で、2月7日、「-聲の形-完結記念展 大今良時原画展」が始まった。大今良時氏の『聲の形』(講談社)の完結を記念したもので、3月8日の終了までに累計約130の原画が展示される。

会期は2つに分かれ、『聲の形』の原画が入れ替わる予定だ。大今氏が作画を担当した『マルドゥック・スクランブル』(原作:冲方丁)の原画と合わせてみることで、マンガ表現の可能性を実感できる空間になっている。

原画展には多くの人が詰めかけている

原画展には多くの人が詰めかけている


『聲の形』は聴覚の障害によっていじめを受けるようになった少女・西宮硝子と、そのいじめの中心にいた事で周囲に切り捨てられ孤独になってしまう少年・石田将也、2人の関係を中心に、人間の抱える孤独感や生きづらさを描く物語。読み切り作品として「別冊少年マガジン」などに掲載されて反響を呼び、連載が決まった。
大今良時原画展

冒頭エピソードなど印象的なシーンの原画が並ぶ

読者に深く考えさせる重いテーマだが、全体的にやわらかく、描き直しの少ない迷いが見られない線で描かれていることで、うまく作品世界全体のバランスが取れているように感じられる。

当初はそのテーマや物語展開が注目されたものの、原画展で改めて絵に注目すると、絵とその表現方法の完成度も高いことがわかる。絵と文字だけで構成され、音のないマンガというメディアは、音のない世界に住むろう者を描くのに向いているのではないか、とすら思わされた。

大今良時原画展

主人公、石田将也の意識外にあることを示すバツ印が外れたシーン。トーンと黒塗りを組み合わせて髪の毛を表現していることがわかりやすいのも原画ならでは。


例えば、途中から石田以外のキャラクターの顔の上に貼り付けられることになるバツ印。物語のほとんどは石田の視点で進むため、彼の意識に入っているのかそうでないかはこのバツ印で表現される。

ちょっとしたことがきっかけでこのバツ印がはがれたり、また貼り付けられたりするときの、擬音語も含めた表現は、読者が石田に感情移入しやすくしているように思える。(そして一度も顔にバツ印がつくことのない、ヒロイン、西宮硝子は常に石田の世界にいたことになるのだろうか?)

また、モノクロの雑誌掲載を想定し、黒一色で描かれた原画。しかしその黒も、ボールペンやサインペンを使い分けているようで、同じ黒でも少し色味が違うのだ。このテクニックを具体的に知りたい方は、会場で上映している動画が参考になる。入場特典のイラストペーパーを描くところを撮影したもので、ペンを持ち替えて線を描いたり色を塗ったりしていることがわかる。

大今氏の描き方をじっくり見ることのできる映像は貴重な機会_R

大今氏の描き方をじっくり見ることのできる映像は貴重な機会_R


=>「マルドゥック・スクランブル」の原画から見る魅力
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