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1月13日、世界の新人漫画家を発掘する「サイレントマンガオーディション」の授賞式が行われた。新年会も兼ねたこのイベントには『月刊コミックゼノン』の関係者や漫画家などが集い受賞者に大きなエールを贈った。

「サイレントマンガオーディション」はセリフを一切使わずに、漫画表現における演出力を競うオーディション(コンテスト)だ。2012年の第1回から世界に応募を呼びかけたところ53の国と地域から514編が集まり、第2回のサイレントマンガオーディションでは65の国から609編の応募があった。第3回の募集もすでにスタートしており、前回を上回る数の作品が集まるのではないかと期待が寄せられている。

このオーディションの注目すべきポイントの1つは、応募した作品だけで判断するのではなく描き手の「総合力」が問われる独自の評価システム。描き手に同賞の受賞歴やサイトでの読者の反応に応じてポイントが付与されるという「クラス制度」を導入しているのだ。

クラスは3つに分かれている。SNSなどを通じ創作活動を支援する「ライジングクラス」、より上位を目指す応募者たちのリーグである「メジャークラス」。さらに努力賞以上の複数回受賞歴および15ポイント以上を保持する「マスタークラス」だ。マスタークラスでは、プロの漫画家や編集者に意見を仰いだり、メンバー同士でディスカッションしたりすることが可能だという。

ラス制度についてのスライド。

クラス制度についてのスライド。

今回の授賞式では、第1回、第2回のサイレントマンガオーディションで獲得ポイント数が上位10位に入った初代マスタークラスが招かれた。

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ヴィンセント・ランゲ。

ヴィンセント・ランゲ

マスタークラスランキング1位に輝いたドイツのヴィンセント・ランゲは、第1回で『別れと始まり(邦題)』が準グランプリ賞、第2回に『バスの時間(邦題)』が準グランプリ賞を獲得。壇上挨拶では「サイレントマンガオーディションに関わる全ての人に感謝を申し上げたいです。参加している仲間達の素晴らしい漫画にも尊敬と愛を」とコメントした。

北条司さん。

北条司

審査委員からの挨拶で北条司は「僕が初めてこうした授賞式に参加したのは30年以上前で、その頃は海外を相手に日本の漫画を広げられるなんて夢にも思わなかったです。今や海外の方が日本の漫画のセオリーで漫画を描いている。これが30年後になったらどうなっているのか、夢があります」と未来への胸の高鳴りを見せた。

次原隆二さん。

次原隆二

「審査会に参加して、日本の漫画がこうして世界に轟いているのが信じられない気持ちです。漫画は世界の共通語だとみなさんから教えてもらった気がします。受賞者のみなさんにはさらに色んなテーマに挑戦して欲しいです」と同じく審査委員を務めた、『よろしくメカドック』などで知られる次原隆二。

原哲夫さん。

原哲夫

原哲夫の挨拶では「海外のみなさんは絵が上手くて若いし、これからどんな作品を描いて輝いていくのか楽しみにしています。ただ、僕は(『北斗の拳』で)“ひでぶっ”とか“あべし!”で食べてきたからサイレントマンガに反対です」とコメントし、この日一番の笑いを誘った。

堀江信彦社長。

堀江信彦社長

さらに堀江信彦社長による締めの挨拶では「漫画文化を世界に発信し続けていくため、世界の読み手に対し、作り手と送り手が一体となって素晴らしいコンテンツを広げられれば」と、よりグローバルな展開を視野に入れた発言も。

会場には(おそらく新年会に招かれた人が連れてきたであろう)漫画家を目指す海外の人も見かけた。話しかけてみると「まだプロじゃないけど漫画家になるべく絵の練習を頑張っている。今日来てみて、もっとやらなくちゃと思った」と、にこやかな表情。サイレントマンガオーディションの名が世界に広く知られれば、驚くような才能を目の当たりにする日が来るかもしれない。今後もどのような作品が応募されるのが期待しながら見守りたい。

[取材・構成=川俣綾加(マンガナイト)]


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