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数年前「中学生に見える28歳」として話題になった中国人漫画家・夏達(シャア タア)先生が来日。「ウルトラジャンプ」で現在連載中の『長歌行』の最新刊5刊と6刊の同時発売を記念したトークイベントが行われた。

▼日本でのファンイベントは4年半ぶり

1月24日(土)、とらのあな秋葉原店C 4階のイベントフロアにて、『長歌行』著者、夏達(シャア タア)先生のトークイベントが開催された。

夏達先生は、数年前にネット上で「中学生に見える28歳」「美しすぎる漫画家」として話題になったことでも知られる中国の漫画家。

高校時代より漫画を描き始め、短編『成長』でデビュー。大学進学とともに北京市でプロ漫画家としての活動を行い、数誌で作品を発表。その後2007年より中国の漫画誌に掲載された『子不語』で第5回金龍賞最優秀少女漫画賞を受賞し、2009年には同作品の日本版である『誰も知らない 〜子不語〜』が「ウルトラジャンプ」にて連載開始。同誌で2011年より『長歌行』日本版の連載が開始した。

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夏達先生は現在、中国杭州市に在住し活動を行っている。今回の来日は、『長歌行』日本版の最新刊5刊と6刊の同時発売を記念したものだ。2010年5月のサイン会以来、約4年半ぶりの日本のファンイベント開催となった。

▼会場には夏達先生の来日を待ちに待ったファンが詰めかけた

開場の時間になると、部屋に並べられた約50席ほどのイスは夏達先生をひと目見ようと集まったファンで埋め尽くされた。

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今回、2刊同時発売となった漫画『長歌行』は、7世紀初頭の中国「唐」の時代を舞台にした歴史スペクタクルロマン。父を殺された姫・李長歌が、復讐のために奔走するストーリーだ。繊細で美しい画風と先の読めないドラマチックな展開、丁寧な歴史描写などが作品の魅力となっている。

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開場間もなくすると、夏達先生が壇上に登場。「美しすぎる漫画家」として数年前にネットで話題となった美貌はそのままだ。腰のあたりまで長く伸ばしたまっすぐな黒髪と白いブラウス、膝下まで丈のあるワンピースがよりいっそう少女らしさをひきたてている。

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司会進行を務めるのは、現在配信中のアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」で月野うさぎの弟・月野進悟役で出演している、声優の劉セイラ氏。「和気あいあいとした楽しいイベントにしたいと思います」という劉氏のあいさつの後、トークセッションは和やかな雰囲気でスタートした。

▼「漫画家になったら女性が主人公の歴史物を描きたいと思っていた」

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最初のテーマは、『長歌行』誕生の背景について。

夏達先生は幼い頃から歴史小説が好きでよく読んでいたが、あるとき、そうした物語や歴史書に登場する女性は、「誰かの妻」「誰かの娘」などと呼ばれ、名前が歴史に残らないことに気づいたという。これを受け「いつか自分が漫画家になったら女性が主役の歴史物を描いてみたい」と感じ、その思いがこの作品につながっているのだと語ってくれた。

また、漫画家になったきっかけを問われると、小学生の頃は内向的な性格だったことや、漫画を読むことで漫画の中の登場人物と友達になり楽しんでいたこと、いつしか自分も漫画を描くようになり、今度はそうした世界を自分自身が創りあげていく楽しさに虜になっていったことなどを振り返り、「そんな風にみなさんが世界に入り込めるような作品を作りたい」と、想いを語った。

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中国では日本と同様、紙媒体よりもインターネットでの作品公開が増えてきているという。それらはカラーで描かれる上、更新の頻度も高い。そうした中、夏達先生は、自身の執筆を昔ながらの紙とペンで行っていることを明かした。「最近ようやくパソコンでトーンを貼ることを学びました」とはにかみ、「描くスピードが遅いのでお待たせしてすみません」という謙虚な一面を見せた。

▼40分に渡るトークセッションは終始なごやかムード

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「日本のファンが何を感じ、疑問に思っているのか」を夏達先生自身知りたいということで、あらかじめ参加者にアンケートをとって質問を集め、それに夏達先生が答える形のトークセッションとなった。会場は終始和やかな雰囲気で、参加者からの質問に笑いが起きるシーンもあった。以下にその一部を抜粋する。

Q. 実在の人物を描くときに苦労する点は?

歴史書には「この人は〜した」というような、人物の「行為」の部分についての記録しかなく、「感情」や「思考」は想像するしかない点。解釈が人によって違うので、あまりアレンジを加えすぎないよう慎重にしています。

Q. 毎回物語を描くのにどのくらい時間をかけているのですか?

一回の連載は27ページですが、作画に費やす日数は10日間ほど。ほとんどの時間はセリフを考えるのとネームをわる時間。それには15〜20日ほどかかっています。

Q. 描きやすいキャラ、描きにくいキャラがいたら教えてください。

老人を描くのが好きです。美しく描く必要がなく、雰囲気と表情を重視できるから。一番苦手なのは男性主人公と女性主人公。美しく描くのに苦労するため。

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Q. ストーリーを考えるときに決まってしている習慣があれば教えてください。

中国の伝統芸能で、講談のような、歴史をアレンジした「語り」があるのですが、これを必ず聴きながら描いています。そうでなくても、言葉があるものを流しながら描いていることが多いです。言葉がつまらなければ作品もつまらないものになってしまうため、意識して取り入れています。

Q. キャラクターの年齢を教えてください。

長歌はもうすぐ15歳。男性の主人公は20歳です。

Q. 中国のみで販売されている短編集などは日本で発刊する予定はありますか?

それらの短編集は昔に描いたものですが、今見返すととても恥ずかしいので、日本で発刊することはないと思います。本国で再版になったのもやめてほしいと止めたくらいなので・・・。

(会場、笑い)

他にも、作画についてや物語のキャラクターについてなど全部で約16個の質問に夏達先生が直接回答した。イラスト集を出してほしいというリクエストに対しては、担当編集者が「是非出したいと思っています、みなさんのお力添えがあれば……」と前向きなコメントを寄せた。

▼トーク後にはイラスト色紙とサイン本のプレゼントも

トークセッションの最後に、夏達先生から参加者にひとつだけ逆質問が投げかけられた。それは「中国の歴史を知らずに読んでも楽しめますか?難しいと感じる部分はありますか?」というもの。

参加者からは「歴史描写もしっかりしていて分かりやすいが、個人がどう悩んだり動いたのかにスポットが当てられているので感情移入しやすく、歴史を知らなくても楽しむことができる」と、好意的な回答が返ってきていた。

40分間に渡るトークでは、繰り返し「描くのが遅くて申し訳ない」と謙虚な発言を繰り返していた夏達先生だったが、「今回は本当に楽しかった。みなさんにたくさんの励ましと自信をもらいました。これからも頑張ります」と笑顔で締めくくった。

トークセッション後には、イラスト色紙が抽選で贈呈され、その後、参加者全員にサインとイラスト入りの新刊が直接夏達先生から手渡された。

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夏達先生によれば、『長歌行』は今後長く続く作品になるという。先の読めないストーリーはさらに深く、広く展開していく。『長歌行』はウルトラジャンプオフィシャルサイトでも一部試し読みも可能。これからの『長歌行』、そして夏達先生に期待は高まるばかりである。

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[ウルトラジャンプオフィシャルサイト] http://ultra.shueisha.co.jp/artist/19/

 [執筆・撮影 坂口直]


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