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入り口では石川氏の描いたキャラクターがお出迎え

入り口では石川氏の描いたキャラクターがお出迎え

 2015年1月15~25日、東京・豊島区の西武ギャラリーで「もやしもん×純潔のマリア原画展~石川雅之の世界~」が開催中だ。並んだ原画やイラストは石川雅之氏の2作品『もやしもん』『純潔のマリア』から370点以上。『純潔のマリア』のマリアら、意志が強く元気な女性キャラクターが訪れた人を出迎えてくれた。

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 西武ギャラリーは西武池袋本店の別館2階。近年「マンガの街」として人気の高まっている池袋にある。マンガ売場の充実した書店、リブロが近いことも影響して、マンガの原画展が開催されることも多い。今回の原画展も、『純潔のマリアexhibition』の発売や『純潔のマリア』のアニメ化などにあわせて企画された。

掲載誌の表紙も一覧に。実は、主人公・沢木の姿はほぼない

掲載誌の表紙も一覧に。実は、主人公・沢木の姿はほぼない

 『もやしもん』は、菌の姿が見える主人公・沢木直保の農大ライフを通じて、食や農業のあり方をも考えさせる作品。「イブニング」「モーニング・ツー」(いずれも講談社)で連載され、アニメやドラマにもなった人気作だ。今回の原画展では、原画に加えアニメの設定画や作中の登場人物の衣装なども並び、『もやしもん』世界の広がりが体感できるようになっている。

第1話冒頭のカラー原画。菌と遊ぶ沢木が楽しそう。倉庫内の暗さを示す黒と、菌の黄色の対比が美しい

第1話冒頭のカラー原画。菌と遊ぶ沢木が楽しそう。倉庫内の暗さを示す黒と、菌の黄色の対比が美しい 

広い展示スペースに、ゆったりと原画が並ぶ

広い展示スペースに、ゆったりと原画が並ぶ 

初公開のボツ原稿。こんなストーリーになる可能性もあった?

初公開のボツ原稿。こんなストーリーになる可能性もあった?

 原稿はB4サイズ。『もやしもん』はメッセージ性も強いため、単行本を読んでいるときは、どうしてもキャラクターのセリフなどに注目しがち。だが原画展では、多くの原画がゆったりと広い会場に飾られ、ふれないぎりぎりまで近づいて石川氏の描く線や筆遣い、影の付け方などをじっくりみることができた。

並んだ原画を見て、気がついたのは「主人公のはずの沢木のカラーイラストが少ない」ということ。今回の原画展で目立つのは、沢木の先輩の長谷川やゴスロリキャラの結城蛍(男子)らだ。石川氏の絵の魅力は、迷いのない手描きの線。その線で描かれた女性キャラクターは、細かくデザインされた衣装と相まって生命力にあふれた人物になる。どのキャラクターも意志の強さが見えてくるのだ。

例えば4巻のカバーを飾る宏岡亜矢。沢木の先輩の友人で、バーテンダーのアルバイトをしているキャラクターだ。カバーでは、女性らしさを強調するマーメイド型のドレスをまといながら、意味ありげな表情と強い目線で、一本芯の通った性格を表している。

カバーに使ったイラストを実際のカバーとあわせて展示。買い逃した人にとって、限定版のカバーを見られるのはうれしい

カバーに使ったイラストを実際のカバーとあわせて展示。買い逃した人にとって、限定版のカバーを見られるのはうれしい 

数々のカラー原画は見ごたえあり。色を重ねて複雑な色合いを出しているところに注目を

数々のカラー原画は見ごたえあり。色を重ねて複雑な色合いを出しているところに注目を

 細部までこだわった描き込みも、大きな原画を見るときの楽しみだ。特に石川氏は、キャラクターの表情などだけでなく、衣装や背景、主要キャラクター以外の群衆を描くのにも力を入れているように思える。

例えば酵母を使う食品、ビールを取り上げた回。当初地ビールが苦手だった沢木の先輩・武藤葵が、ラストでは農大内のお祭りを乗っ取り、オクトーバーフェストを開くことになる。武藤が祭りの開催を告げるシーンの背景には、全国から集まったの地ビールメーカーの名前が描かれたトラック、デコレーションされたビールサーバーなどがコマ一杯に詰まっている。セリフだけでなく、コマ全体からもお祭り前のはじけそうな高揚感が伝わってくるのだ。

思わずビールが飲みたくなる、ビールをテーマした回の原画。細かな群衆の描き込みで、わいわいがやがやの楽しさが伝わってくる

思わずビールが飲みたくなる、ビールをテーマした回の原画。細かな群衆の描き込みで、わいわいがやがやの楽しさが伝わってくる 

アニメの設定画は「長谷川のヒールは10センチ以上です」などとっても細かい。石川氏のこだわりが垣間見える

アニメの設定画は「長谷川のヒールは10センチ以上です」などとっても細かい。石川氏のこだわりが垣間見える 

ふと上を見上げると菌たちがふわふわ。菌たちはどこにでもいるのだな、と思わされた

ふと上を見上げると菌たちがふわふわ。菌たちはどこにでもいるのだな、と思わされた 

原画展では『もやしもん』ワールドの広がりの一端も垣間見ることができる。一般的なマンガ・アニメ作品のように、マグカップや文具、ぬいぐるみなどのグッズ類はもちろんのこと、農大の校旗や農大つなぎ、結城蛍のゴシック&ロリータ衣装まで実物として再現されたものが展示されていた。酒蔵と組んで、酒米から作って醸した日本酒を販売してしまう作品は珍しいだろう。

もやしもんワールドは広がる。菌のぬいぐるみはリラックスタイム用にほしい!!

もやしもんワールドは広がる。菌のぬいぐるみはリラックスタイム用にほしい!! 

造り酒屋・萬屋醸造店と組んで日本酒造りも手がけた『もやしもん』。マンガの世界が現実にはみ出している

造り酒屋・萬屋醸造店と組んで日本酒造りも手がけた『もやしもん』。マンガの世界が現実にはみ出している 

一方、アニメが放送中の『純潔のマリア』は「good!アフタヌーン」で連載されたファンタジー作品だ。時代は後に「百年戦争」と呼ばれるイングランドとフランスの戦いが続いていたころ。フランスの村はずれの森に住む魔女・マリアの物語を描く。雑誌に使ったイラストや生原稿に加え、第3巻の限定版に付いていた絵本の原画も並んだ。

アニメ放送が始まった『純潔のマリア』は台本なども展示

アニメ放送が始まった『純潔のマリア』は台本なども展示 

主人公のマリアをはじめ、主要キャラクターの多くは魔女であるため女性。この作品でも『もやしもん』同様、強い意志で突き進む女性キャラクターは健在だ。

『純潔のマリア』より雑誌を飾ったイラスト。魔力を持つ彼女たちの威力は計り知れない

『純潔のマリア』より雑誌を飾ったイラスト。魔力を持つ彼女たちの威力は計り知れない 

グッズ販売も盛況だった模様。こちらでもノートやファイル類以外に、お酒に関する商品が並んでいた。華やかな衣装をまとった女性キャラクターの凜とした姿の版画は人気で、複数買っていく人もいた。

グッズの販売コーナーには、オリジナルデザインの利き猪口(ちょこ)も

グッズの販売コーナーには、オリジナルデザインの利き猪口(ちょこ)も 

版画販売ギャラリーでは、1枚3万~5万円程度の版画を複数枚買っていく人も

版画販売ギャラリーでは、1枚3万~5万円程度の版画を複数枚買っていく人も 

東京では西武鉄道の協力でスタンプラリーを開催。決められた箇所の判子を集めると、缶バッジやポストカードがもらえた

東京では西武鉄道の協力でスタンプラリーを開催。決められた箇所の判子を集めると、缶バッジやポストカードがもらえた 

原画展は、福岡でも開催される予定。元気をもらえる、オリゼーやマリアたちに会う機会をお見逃しなく。


▼展覧会情報

公式サイト:http://www.moyasimaria.gengaten.com/index.html

 入場料:一般800円、大学生・高校生600円、中学生300円(小学生以下無料)

[東京会場]

会期:2015年1月15日(木)~1月25日(日)

会場:西武ギャラリー西武池袋本店別館2階

会場時間:午前10時~午後8時 ※入場は閉場の30分前まで

 [福岡会場]

会期:2015年3月11日(水)~3月24日(火)

会場:博多阪急7階イベントホール「ミューズ」

会場時間:午前10時~午後8時 ※入場は閉場の30分前まで

 主催:トラフィックプロモーション

共催:文化放送/図書印刷/リブロ

協力:石川雅之/講談社

  [取材・文=bookish(マンガナイト)]

 


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