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今回のゲストは「8bit年代記」の作者・ゾルゲ市蔵先生と「そして船が行く」の作者・雑君保プ先生です。

お2人はコミックを始めとするアートクラウドファンディングサイトFUNDIYにて、それぞれ続編を執筆するプロジェクトを立ち上げ、ゾルゲ先生は開始1日で30万円の目標達成、結果的に目標額の400%(!)超えの128万円の支援が集まり、雑君先生は4日で100万円の目標達成、なんと250万円の高額支援を集めました。そこでMangaStyle編集部はお2人にファンディング開始に至る経緯やその秘訣などを訊いてみました。

ゾルゲ市蔵-プロフィール画像

「ゾルゲ市蔵」プロフィール

謎のゲーム冒険家。
代表作:「超ゲーム少女ユーゲ」「8bit年代記」など。


Twitter:https://twitter.com/zolge1
公式ブログ:若爾蓋記
「8bit年代記」を読む:
絶版漫画図書館

雑君保プ-プロフィール画像

「雑君保プ」プロフィール

アーケードゲーム雑誌「ゲ―メスト」でデビュー。
頭身の低さと高さが混在するキャラ描写とシュールなギャグによるパロディを多数発表する。長編作品においてはアクションやシリアス描写も加え、作風の幅を広げている。

代表作:「カルトクイズ100人伝」「ワールドヒーローズ2」「そして船は行く」「BUPPAなビッチーズ」など


Twitter:https://twitter.com/zkpp
公式ブログ:情熱ブンチキBLOG
「そして船は行く」を読むまんが王国
「そして船は行く」 続編描き下ろしプロジェクト:FUNDIY

クラウドファンディングしませんか?と提案された時に、「あ、コレはひょっとしたら」って

――この度はクラウドファンディングのプロジェクト達成おめでとうございます。

ゾルゲ市蔵先生&雑君保プ先生:ありがとうございます。

――ゾルゲ先生の「8bit年代記」に雑君保プ先生が出演していますが、そもそもお2人はお知り合いだったのですか?

ゾルゲ市蔵先生(以下、ゾルゲ):以前に僕が新宿でチンピラに絡まれてるときに雑君先生が現れて「俺はいいから早く逃げろって」(爆笑) …マジな話をすると、私よりずっと前から雑君先生はゲーメストっていう雑誌にゲーム漫画を連載されてましたので、ゲームについて漫画を描くってことになると僕より先輩なんです。私はどっちかというとゲーム好きな普通の兄ちゃんだったので。 その後、実際に雑君先生と付き合いができて下宿に行ってみると1000ページ描いた原稿の中から連載用の400ページを選んでて。

雑君保プ先生(以下、雑君):なんでそんなにふざけるんですか(笑)。

ゾルゲ:いや、場を和やかにしようかなと(笑)。

――本当か嘘かわからないんですが…(苦笑)。

ゾルゲ:でもそんな感じで、どっちかというとゲームについて漫画を描くことは雑君先生のほうがよっぽど先駆者であり、より本格派であり、それがファンディングの実際のお金の集まり方からも如実に現れていますよね。

―――実際に知り合いになられたのはゲ―メストで連載されたときですか?

雑君:ゾルゲさんがよく花見とか飲み会とかを主催される方だったので、そこで知り合った感じですね。

――ゲーム制作者や漫画家さんの集まりなんですね。

雑君:その宴会で俺が線路に落ちて、ゾルゲさんが助けにきてくれてね(爆笑)。あの時は…(以下略)

――え~と、雑君先生は元々ゲーメストで編集を担当されていたんですか?

雑君:そこはあやふやで、やりたいならココに描いてみれば?とかそういうノリですね。特に自分がいた頃はそういうのが割と顕著だったんで、漫画も描くけどそのゲーム好きだからちょっと書かせてよとか。あと、読み物記事とかもちょっと書きたいんだけどって頼んだらできたってだけで、別に編集から入った訳では無いです。

――それでは今回のテーマであるクラウドファンディングについてですが、以前からファンディングはご存知でしたか?

ゾルゲ:もちろん。これは是非話せたらと思うんですけど、とても興味ありました 。「Kickstarter」とかを見て、海外でクラウドファンディングって来てるみたいねと。ただ日本でするとなると、クリエーターがどう(ユーザーに)アプローチするかっていうことが実は決まってなかったんです。正直焦点が合ってなかったんですよ。だから漫画描きたいとかゲーム作りたいとか、それが場として成立してなかった。 私は一番最初、「昔の漫画を載せませんか?」って話を戴いたんですが、それ自体にはあまり乗り気ではなかったんです。でも、クラウドファンディングでしませんか?と提案された時に、「あ、コレはひょっとしたら」って思って。そこから逆に私から食いついて、ひょっとしてこんなことができるかなっていう思いがあったのは事実ですね。 正直自分のクラウドファンディングがとぉーてっも成功すると思えなかったんだけど、ご協力戴いてキチンと上手くいって。今は雑君先生が4日で100万とか?凄いですよね。

「そして船は行く」のクラウドファンディングページ。なんと4日で100万円の支援を集めた。

「そして船は行く」のクラウドファンディングページ。なんと4日で100万円の支援を集め、現在は260万円近くの支援が。

雑君:僕は漫画の続きをぼちぼち描きたいなってのがあって、その方法を探っているときにクラウドファンディングっていう形があるんじゃないか、というところで調べて辿りつきました。

――以前からご存じだったクラウドファンディングのプロジェクトってありましたか?

ゾルゲ:ゲームプロジェクトですよ、あれがデカい。…実はですね、漫画もゲームも日本において相当に産業が空洞化してるんです。出資者や編集さんにこんな企画をしてお金を回しましょうって話をしても、漫画もゲームもまず採算が合わない。その中でクラウドファンディングが突破口に成り得たんですよ。欲しい人にだけ売るという形でなんとか成立させていく様子をゲームのファンディングでずっと見ていたので、私も正直最初は(漫画でなく)ゲームでやることをずっと考えていました。そこに漫画っていう良いカードをもらって、今回は話が噛み合った気がしますね。

雑君:私は、赤松健先生がやってる絶版マンガ図書館っていう電子書籍サービスがありまして、そこで昔の作品を出してもらう形でお世話になったんですけど、そこで時々「Jコミファンディング」っていうファンディングをしてたんですよ。それが目に入ってて、こういう形あるのかと。 ただこちらは過去作を出すためのファンディングなんですね。なので新作や続きを描くのは難しいって話だったので、いろいろ探していたんですが「漫画 ファンディング」で調べても2つくらいしかなくて。その1つのFUNDIYを見てたら、あのゾルゲさんがやってて、しかも「8bit年代記」の続きを描くのか!って。これはユーザーとしても「よっしゃ乗った!」って思って即サポーター登録しましたよ、安いコースですけど(笑)。

「8bit年代記」のクラウドファンディングページ。目標の30万円に対し130万円近くの支援が集まった。

「8bit年代記」のクラウドファンディングページ。目標の30万円に対し130万円近くの支援が集まった。

いけるなんて蓋開けるまで一欠片も思わなかったですね。

――なるほど(笑)。今回、「そして船は行く」の続編を執筆される訳ですが、以前から読者の要望も多かったのですか?

雑君:要望っていうか、本当に連載がパツンと終わって、まあ事情が入り組んでいたのもあって、それに関しての説明をほとんどしてないんですよ。なので当然読者さんは、「どうなってんだ?」と思いますよね。その声が結構俺の目につく形で届いていたので、もうめんどくせえなって思って、こういう形にしちゃえばとりあえず成功しても失敗してももう言われなくて済むだろうっていう。

――ユーザーに対しての意思表示のような形ですね。

雑君:そこが大きかったですね、結構。

――ゾルゲ先生の「8bit年代記」も読者からの続編要望が?

ゾルゲ:ごくたまにですけどね。ただ、私も続きは描きたかったんですけど、どっちかというとアニメの2期3期をクラウドファンディングで制作するとかあったでしょ。ああいう制作資金の回収モデルがひょっとすると漫画でもできるかもっていうのが大きくて。普通に考えると「8bit年代記」ってのはそれほど作り手としても受け取った人もそんなに簡単なタイトルじゃないんだよね。あと一つ、赤松健さんの話が出ましたけど、私も絶版マンガ図書館で(8bit年代記を)出させていただいて、そこで多少の反響があったので、じゃあクラウドファンディングに持ってこうかっていう流れもありましたね。

雑君: Jコミでの「8bit年代記」の閲覧数は凄いっすよね。

ゾルゲ:何をおっしゃる!そんなこと全然…あれは単純に私がお騒がせな人間だからですよ(笑)。

――僭越ながら、今回初めて「8bit年代記」を拝見させていただいたんですが、もの凄く面白かったです!

ゾルゲ:やっぱり普通に考えると、あれの続きを載っけてくれる雑誌社ってないんですよ。掲載が成立することはおそらくありえない、著作権の手続きもめんどうだし。でもクラウドファンディングって読者と描き手を結ぶ形としてとってもありがたいな手段だなって今回非常に感じました。なので読者の声を感じたというよりは、読者そのものを初めて具体的に見たという方がいいかもしれない。

――ちなみにファンディングを始めるまでの不安はありましたか?また開始に踏み切ったきっかけは?

雑君:いけるなんて蓋開けるまで一欠片も思わなかったですね。それで割とゾルゲさんと連絡を取り合って、助言をいただいたり…。

ゾルゲ:私は片眉を剃り落として山に籠るぐらいの決意を持って開始に望みましたよ!

――大山倍達先生ばりの意気込みで (笑)。

ゾルゲ:でもやっぱりクラウドファンディングって漫然と始めるとコケるのが山ほどあるからね。そういう意味では雑君先生が提示している、「集まった金額によってページ数が変わる」っていうのはもの凄く上手いなと。あれがあったから今回のもの凄い数字に結びついたんじゃないのかな。上手くやりやがったなコイツみたいな(笑)。で、ちょっと自分の不安の話に戻ると、本当に描けるならなんでもいいやって、私のほうがもっと討ち死に覚悟ですよ。俺の漫画ってまだ読みたい人っているのかなってそれくらい思い詰めた気持ちでやってたってのが最初にありました。

――確かに支援金額によってページ数が変動するプロジェクトは斬新ですね。

雑君:要は自分の中で物語を終わらせるまで全部描くとなると、ページ数が膨大に多いんですよ。そのページ数を金額に換算して目標に設定しても、それはもう確実に成立するのは0%だろうっていう前提があり。なので達成しそうな金額を最初に設定して、まず100ページ分は描きます、その続きは金額によってもページ増えるし、でそれでも終わらなかった時には、また何か考えますみたいな感じですね。

ゾルゲ:例えばですね、諸星大二郎先生の「西遊妖猿伝」とか三浦建太郎先生のベルセルクとか、皆続きを読みたいんだけどどうなるかわからないって漫画って、読者としてもやきもきしますよね?でも、これもファンディングで解決する気がしてて。例えばいくら集まったら続きが読めます、って先生が言ったらね、そりゃきますよ。あのページの続きを読めるならそりゃ払うよって。だから本当にこのシステムは、とっても凄い発明だと思うんです。

――ライフワークとして作品を描き続けたい漫画家さんにとっては理想的ですね。クラウドファンディングを始める前に心がけた点や意識した点とかはありますか?

雑君:まず今までの「そして船は行く」を知ってもらいたいっていうのが第一にあったので、絶版マンガ図書館のほうで無料で公開してもらうって形を取りました。

――作品を読んでもらい、そこから支援を決めてもらうと。

雑君:そうですね。なので最初に「そして船は行く」を出版してくれた会社にご挨拶行って(電子化の)許可を戴いて。電子書籍を読んだ人が、続きがなくて終わってるっていうところの受け皿として今回のファンディングがあるっていう流れが理想だと思ったんで、(電子書籍の)公開日をなるべくファンディングの公開と近い日にするように調整しました。


初見の読者のためにプロロ―グ動画(なんと声優つき!)まで制作されている。

ゾルゲ:私の方はプロジェクト支援のお返しですが、多分漫画だけだったら皆帰っちゃうと思ったんで、ゲームを付けたいと提案しましたね。あれはビックワンガムのおまけとして横にプラモが付いてますみたいな、漫画は見たくなくてもゲームはやりたいかな、という発想です。これまでのクラウドファンディングにない、「ゲームが付きます!」って発表した方が上手く行くんじゃないかな?っていう。ただこれやればやるほど首を絞める結果になったんで真似されない方がいいかと(笑)。

――あのゲームは作中に登場するんですよね?

ゾルゲ:はい、今回の「SALADMAN(サラダマン)」はまさにこれから「8bit年代記」の中で描かれる、主人公が制作して挫折するという切ないゲームなんです。


――漫画を読みながら実際にゲームを追体験できると。

ゾルゲ:そうですね。

=>ゲームと一緒に育ってきた背景にはアニメがあったんだということを描きたかった

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