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『なくした人形』 昭和24年「少女」6月号

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『エレン物語』1949~1950 (昭和24~昭和25) 年
NHK連続テレビ小説『花子とアン』で注目された村岡花子さん訳文の挿絵

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11月20日(木)から30日(水)まで世田谷区二子玉川 ”アトリエ・アッティコ”にて開催中の、松本かつぢ “Kawaii” 展にMangaStyle編集部が伺いました。

松本かつぢ (1904~1986)は昭和初頭、少女雑誌で挿絵画家としてデビュー。抒情的な中にもはつらつとした明るさを持つ新しいタイプの少女画を確立し、高畠華宵・蕗谷虹児に続く新世代の画家として人気を博し、中原淳一と人気を二分する抒情画家となりました。 昭和13年には少女漫画の先駆け的作品である『くるくるクルミちゃん』を連載開始。同作品は発表雑誌をかえながら足掛け35年もの長期連載となっています。またクルミちゃんは愛すべきキャラクターとして定着し、次々とグッズ化され、昭和のキャラクターグッズの元祖となりました。

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アトリエ・アッティコの入り口に立つ『くるくるクルミちゃん』。

2013年~ 村上もとかの漫画「フイチン再見!」(小学館ビッグコミックス・3巻まで既刊)にて主人公上田トシコの師範として描かれているほか、兵庫県立歴史博物館にて「かわいい!女子ワールド~松本かつぢと少女文化の源流」(2013年4月~6月) 、文京区弥生美術館にて「ニッポンの少女まんがの元祖だよ!松本かつぢ展」(2013年12月)が開催されるなど、近年また評価が高まっているアーティストです。

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松本かつぢは1942年(昭和17年)頃、渋谷南平台から世田谷区二子玉川に転居し、その後晩年までこの地で過ごしました。2004年にかつてのアトリエに長男の二森さんが「ギャラリーまつもとかつぢ」をオープン、現在は「松本かつぢ資料館」として3女の宇津原充地栄さんが運営を引き継いでいます。

アトリエ・アッティコのオーナー、和田尚子さんは二子玉川のマップを作る過程で松本かつぢ資料館を訪問、ぜひ地元のアーティストを取り上げたい、と今回の企画展を企画しました。代表作の「くるくるクルミちゃん」をはじめ、和田さんがセレクトした約30点の作品が展示されています。
挿絵画家、漫画家、童画家、グッズクリエイターと幅広い分野で活躍した松本かつぢ。初めて展覧会をご覧になるかたはそのマルチな才能と、現代でも通用するモダンな絵柄に驚かれるのではないでしょうか。

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入口の「くるみフレンド」の看板はギャラリーオーナー和田さんの手作り。


◇抒情画
かつぢは1926(大正15)年頃、当時大変人気があった抒情画家の蕗谷虹児が渡仏の際に多数のファンに見送られているのを見て、抒情画家になろうと決意したそうです。(のちに蕗谷虹児はかつぢの妹と結婚しています)。自分の画風を確立しようと試行錯誤するなかでかつぢがたどり着いた明るくハイカラな女の子は たちまち少女たちの人気を得て後に中原淳一と人気を二分する画家となりました。

森の精 昭和20年代

『森の精』 昭和20年代

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左:『TEN TAKASHI』「少女の友」 1936(昭和9)年9月号口絵
中:『FUTARIKKIRI NO HANASHI』「少女の友」 1936(昭和9)年9月号口絵
右:『MUSHI NO KOE』「少女の友」 1936(昭和9)年9月号口絵

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弥生美術館「村岡花子と『赤毛のアン』の世界展」(2014年7月~9月)でも貸出展示された作品。

ペン画は自分で竹を削ったものも使っていたとか!今回は出展していませんが 村岡花子さん訳文の「すずのへいたい」1960(昭和35)年(講談社の絵本ゴールド版)も松本かつぢ資料館にございますのでご興味あるかたは資料館までお問い合わせください。

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『真夏の夜の夢』 1950(昭和25年)「女学生の友」

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昭和初期の便箋の表紙。

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便箋の表紙は切り取って大切に保存していたファンが多かったようです。こんなにカラフルで可愛いと当時の女の子たちが夢中になるのがわかりますね。


◇マンガ
代表作「くるくるクルミちゃん」は『少女の友』で1938(昭和13)年に連載が始まっています。以来足掛け35年にわたり連載され、日本中の人気者になりました。またかつぢは昭和6~8年頃から漫画を手掛けるようになったことが近年の研究で分かってきています。

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戦争の陰が段々と忍び寄る時代にもクルミちゃんは少女たちに明るさと希望を与え続けました。 こちらの「きせかえあそび」は宇津原さんの強い希望でグッズとして製作されたものが 現在アトリエで販売されています。小さい子供たちが喜んで遊んでいくそうです!

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1943(昭和16)年以前に作られたクルミちゃんのきせかえあそび。

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細かく書き込まれたパーツを組み立てて自由に遊べる玩具。

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『?(なぞ)のクローバー』 1936(昭和9)年「少女の友」の付録。

 手塚治虫の「リボンの騎士」を彷彿させるような内容と、動きのあるコマ割りで注目を集めている作品です。 アメリカの漫画研究者のライアン・ホームバ−グさんもこの作品に驚き、米国のThe Comics Journalに松本かつぢに関する記事を掲載しています。

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戦前の漫画とは思えない大胆な構図。漫画コラムニストの夏目房之介さんも作品の先駆性を高く評価している。


◇童画・絵本作家
昭和30年前後から絵本・童画の分野に進出。 かつぢ独自の可愛いキャラクターは絵本の世界でも人気です。

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◇グッズ
ポストカード、書籍、きせかえあそび、スタンプ、ぬりえなどのグッズも販売しています。

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ジャンルはちがえど、どこまでも明るく朗らか、可愛い画風を貫いた松本かつぢ先生。 ご家族の宇津原さんに直接お話を伺いながら、松本家の居間にお邪魔したような楽しいひとときを過ごさせていただきました。 松本かつぢを知っている人はもちろん、知らない人でも思わず笑顔になるような作品の数々、ぜひこの機会に足をお運びください!

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ギャラリーをご案内くださった松本かつぢさんの3女の宇津原充地栄さん。

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展示以外の作品はipadでの閲覧も可能。沢山の所蔵作品を見る事が出来る。

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愛弟子の上田トシコ(左端)、田村セツコ(右端)、次女明子さんとともに。

【松本かつぢ】
1904(明治37)年~1986(昭和61)年 ・挿絵画家・漫画家・童画家・グッズクリエーター ・神戸に生まれ、東京で育つ、立教中学中退。川端画学校でデッサンを学ぶ ・中学在学中にアルバイトで、博間館の雑誌のカットを手がけ挿絵の世界に入る。 ・昭和初頭、少女雑誌で挿絵画家としてデビュー ・エキゾティックで繊細な美少女画で頭角を現す。

松本かつぢ “Kawaii”展

会期:2014年11月20日(木)〜30日(日)
時間:13:00〜19:00 (最終日は17:00まで)
会場:〒158-0095 東京都世田谷区瀬田1-11-4 アトリエ・アッティコ
田園都市線、大井町線 二子玉川駅下車 徒歩5分
TEL: 03-3707-4536
HP: http://home.s08.itscom.net/el-atico

【松本かつぢ資料館】
かつぢのアトリエ跡地に、小さな資料館がございます。かつぢの作品や愛用の品々を所蔵しており、予約制の閲覧が可能です。 完全予約制 御来館ご希望の方はご来訪希望日の7日前までに メールもしくはお電話にて、ご相談ください。

開館時間:11:00〜17:00
住所:〒158-0094 東京都世田谷区玉川4-14-18
TEL/FAX: 03-3707-3503
入館料:学生、大人:300円 中学生以下:無料 田園都市線、大井町線 二子玉川駅下車 徒歩10分
HP: http://katsudi.com/service

 [執筆・大澤 / 撮影 木瀬谷カチエ]


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