• このエントリーをはてなブックマークに追加

クラウドファンディングで見事「あいこのまーちゃん」プロジェクトを達成したやまもとありさ先生が登場

こちらのインタビューは9月19日に放送された「みっつBAR」という、マンガ家のなかむらみつのり先生がBARのマスターに扮し、漫画家や漫画原作者など漫画関連の豪華ゲストをお迎えして漫画や人生についてグラスを片手に語り合うニコ生番組の中で行なわれたものです。

今回のゲストは漫画家のやまもとありささん(ex「あいこのまーちゃん」)。「あいこのまーちゃん」は今年6月にWeb漫画サイト「コミックぜにょん」でやまもとさん初の連載作品として始まるはずでしたが、編集部の独断により開始2日前に連載中止となりました。 そのことは漫画ファンの間で大きな話題となり、やまもとさんは現在は連載中止となった『あいこのまーちゃん』を電子書籍販売すべく、クラウドファンディングで資金を募りながら、作品の執筆を続けています。 漫画家デビューまでの道のりや連載中止からクラウドファンディングで執筆を再開するまでのお話、創作へのこだわりをたっぷり語っていただきます。

では、さっそくどうぞ。

1

なかむらみつのり(以下 :マスター):漫画家 なかむらみつのり&佐藤秀峰presents「みっつBAR」がOPENします。毎回豪華ゲストを迎えて、漫画や人生についてグラスを片手に語り合います。 第8回目となる今回のゲストは、漫画家のやまもとありささんです。やまもとさんはこれまで何本かの読み切りを発表している新人マンガ家さん。連載作品はまだありませんが、現在執筆中の「あいこのまーちゃん」が初連載&代表作となる予定です。

「あいこのまーちゃん」は今年6月にマンガWEBサイト「コミックゼノン」で、やまもとさん初の連載作品として始まるはずでしたが、編集部の独断により開始2日前に連載中止となりました。そのことはネットニュース記事にも取り上げられ、マンガファンの間でも大きな話題となったことは記憶に新しいですね。今日はその辺りのお話を突っ込んでお聞きしたいと思います。さらにやまもとさんは現在、クラウドファンディングで資金を募りながら、作品の執筆を続けているということで、そのお話もたっぷりお聞きしたいと思いますよ。果たして今宵はどんな話が飛び出すのやら。バーの夜は更けていきます。ということで、本日のゲストはやまもとありささんです。今日はよろしくお願いします。

やまもとありさ(以下:やまもと):こんにちはー。

マスター:という訳で、まずはいつものように、やまもとさんのプロフィールから。

佐藤秀峰(以下:店員S):はい。アシスタントの佐藤秀峰です。やまもとありささんのプロフィールをご紹介させて頂きます。やまもとありささんは日本のマンガ家です。「進撃の巨人」が大ヒットしている諌山創さんの作画スタッフを、2012年6月から2014年3月までの1年半に渡って勤めておられました。 スタッフをしている間の2013年にコミックゼノン4月号で読み切り「路上の唄」でデビュー。同年、週刊ヤングジャンプ16号で原作・福星英春さん、作画やまもとありささんで、「宗像くんと日下部さん」という読み切りを掲載しております。その後、2014年コミックゼノンで「空のスペルマ」という読み切りを掲載しております。現在は「あいこのまーちゃん」執筆中ということです。

あいこのまーちゃん

あいこのまーちゃん

マスター:はい、ありがとうございました。今回「あいこのまーちゃん」が話題になっていますが、そのお話を伺う前に、まずは「やまもとありさ」という漫画家がどうやって漫画を描くに至ったかをお聞きしたいと思います。そもそも漫画を描き始めたきっかけは?

やまもと:描き始めたのは小学校1年生の時です。アニメの影響でそれをパクッて描いたのが第1作目ですね。当時NHKでやってた「アリス探偵局」っていう推理物のアニメあって、それを「ありさ探偵局」ってもじって推理マンガを描いてたんですよ。

出典 http://www.amazon.co.jp/アリス探偵局I-DVD-佐久間レイ/dp/B009Z458UO

出典 http://www.amazon.co.jp/アリス探偵局I-DVD-佐久間レイ/dp/B009Z458UO

 

それがクラスメイトにウケたんで、次は当時「金田一少年の事件簿」が流行ってたので、クラスメイトを主人公にして、パロッて描いたり…流行ってたものと友達を当てはめてマンガにするっていうことをしてましたね。

出典 http://ecx.images-amazon.com/images/I/511GDPN2Q0L.jpg

出典 http://ecx.images-amazon.com/images/I/511GDPN2Q0L.jpg

 

マスター:小学1年生の時に「金田一」かよ…。「金田一」が流行った時にはオレはもうおじさんだったよ。でも、そういう遊びから漫画を描き始めたというのは、よく聞くお話ですね。でも、そこからプロもを目指そうとなるには、どこかに投稿したり賞を獲ったり、何かきっかけが必要だと思うんですけど、それはどこから?

やまもと:小6の時に「りぼん」に投稿してますね。

マスター:え!?小6で?

やまもと:小6で4コママンガを描いて「りぼん」に投稿したら、一番下のBクラスっていうのに名前が載って。「りぼん」って応募者全員名前が載るんですよ、今は分かんないですけど。 すっごいちっちゃく名前が載ってて、その時は「うわー嬉しい!」と思ってました。

マスター:それでその時はどんなマンガを描いてたんですか?

やまもと:4コマ漫画なんですけど、パンダと女の子が絡むストーリー的なマンガを描いいました。今流行ってるじゃないですか?ストーリーになってる4コママンガ。それを描いたら4コママンガはストーリーにする必要はないっていうことを講評で返ってきて、必然性がないってことが書かれてて。一行、二行でしたけど。

マスター:時代が早過ぎたんですかね。少年誌とか青年誌だと賞に入らないとコメントなんてくれないようなイメージですけどね。そっからマンガ家になろうって決めてたんだ?

やまもと:小1くらいのときから漫画家にはなりたいとは思っていました。でもペン握ったのは小5くらいですね。 「りぼん」に送った後は、地元の新聞のマンガ賞に出しました。2、3本くらい。高知新聞の「黒潮マンガ大賞」という賞で、それは全国公募なんです。それが毎年6月に締め切りで、中1頃からちょこちょこ出してたんですが、20~21頃に初めて賞を獲りました。

 

5

※「黒潮マンガ大賞」
高知新聞社が1989(平成元)年の本紙創刊85周年を記念して創設した。第1回から第17回までは「コマ漫画」と「ストーリー漫画」の2部門で実施し、2006年の第18回からは「ショートストーリー漫画部門」に一本化した。ストーリー漫画に特化する形で、プロの漫画家として活躍できる才能を発掘していく。審査員はくさか里樹さん、西原理恵子さんと小学館の漫画雑誌編集者。大賞、準大賞、入賞のほかに「編集者特別賞」があり、小学館が発行する漫画雑誌などへの作品掲載の道も開かれている。6月下旬締め切りで募集、8月上旬の高知新聞に作品を掲載して発表する。

公式サイトhttp://www.kochinews.co.jp/kurosio_manga/kurosio_top.htm

マスター:その黒潮マンガ大賞っていうのは入賞するとどうなるの?

やまもと:最初は西原理恵子先生とくさか里樹先生が審査員をされてて、後から八巻さんっていう小学館の編集者の方が審査員を務められていて。それで賞を頂いて、受賞者全員に八巻さんが面談して下さるんですよ。今後プロになるにはどうするかっていうのを個人で2時間くらい面談して。

店員S:ちなみに八巻さんという方は、西原理恵子先生の担当編集者で小学館の名物編集者ですね。西原理恵子さんの画力対決の司会もされている方で、非常に企画がお上手な方という印象です。

マスター:それでどういう話をされたんですか?

やまもと:その時は上京してなかったんで、上京を勧められましたね。「マンガ描くなら上京しろ」って。私は東京に行きたいと思ってて、バイトしてお金貯めてたんで、もう決意は固まってたんで、「じゃあ行きます」と。東京に出てきたのは21歳ですね。

店員S:そこからはどんな人生を?

やまもと:上京はしたんですが、地元でバンドをやってたこともあって、すぐに地元に帰りたくなったんですよ。なので未練がないようにって漫画の専門学校に通って、でも、それは1年で辞めて、そこからアシスタント生活ですね。バンドはいろいろやってました。着ぐるみ着てギター弾いたりとか。楽しかったんですけど、私が辞めてバンドも解散してという感じですね。

マスター:当時はバイトとかしながら?

やまもと:そうですね、コンビニでバイトをしながらマンガ描いていました。その後専門学校2年目になってからアシスタントを募集してたので、それで応募したら受かったので、アシスタントしながら学校に通ってたんですよ。でも両立が難しくなってアシスタントの方が勉強になるなと思って、専門学校を辞めてアシスタント1本にしました。その時は連続で10日くらい入ってたんでキツかったですね。

6

マスター:初めてのアシスタントで、マンガの世界に触れてみてどういう感じでした?

やまもと:ええっと…プロの技を初めて目にしたっていう感じですかね。プロの原稿を見て、「紙一枚なのにこんなに世界が広がるんだ!」と思って。そこでは1年半くらいやって、そこから転々とヘルプとかいろいろ。何カ所くらいだろう…多分7.8カ所くらいは、1日2日のヘルプ合わせたらそれくらいです。

店員S:アシスタントと言えば、2012年6月から「進撃の巨人」諫山創先生の作画スタッフを務めてらっしゃるんですよね?

出典 http://www.amazon.co.jp/進撃の巨人-1-少年マガジンKC-諫山-創/dp/4063842762

出典 http://www.amazon.co.jp/進撃の巨人-1-少年マガジンKC-諫山-創/dp/4063842762

マスター:「進撃の巨人」はどんな感じでした?

やまもと:えーとそうですね、駅前で待ってて、「あ、初めまして」みたいな。「お願いしますー」みたいな。で、仕事が始まってトーン(貼り)から。

マスター:諫山先生は(作業は)デジタルとアナログを分けてらっしゃるの?

やまもと:いや全部アナログです。

マスター:あ、やっぱそうなんだ!枠線とかも全部アナログ?

やまもと:そうですね、原稿用紙に描いていく感じです。作業は主に壁を描いたり…、トーン貼ったりですかね。いろいろです。

マスター:あれだけの作品ですから描きこみもすごいじゃないですか?アシスタントは何人くらいいたんですか?

やまもと: 席は3つくらいで、7~8人くらいで回してた気がしますね。月刊なので選びたい日数を選んで入るみたいな。時間もすごくきっちりしていて、「何時から何時まで」みたいな。すごくきっちりしてました。

マスター:その時に自分のネームを(諫山)先生に見せたりしないんですか?

やまもと:したことないですねえ。忙しそうですし。

マスター:アシスタントやってる時にいろんな編集者さんたちが来るでしょ?その時に「この子のマンガを見てやってよ」みたいなチャンスはないの?

やまもと:特に…。でも、編集者の方はたまに来てました。後、取材とか。カメラが来てる時とかありましたね。私もちょっとだけテレビに映りました。

マスター:それもあるけど、そこからデビューのチャンスみたいな?

やまもと:う〜ん…、特に…。

マスター:いや、何かあるでしょ?

店員S:あの…、そんな「売れっ子の近くにいたらオコボレがあるでしょ?」的な話をしつこく…。さて、やまもとさんはいよいよ2013年にコミックゼノンで読み切り「路上のうた」という作品でデビューします。その時の話なんかどうですかマスター?

マスター:そうそう、その時の話を聞きたかったんだよ!そこは持ち込みですか?投稿ですか?

やまもと:投稿ですね。投稿して賞に入って、受賞作がデビュー作です。その前にも「ちばてつや賞」で一度賞を頂いていたんですけど。ちば賞は3.4年前くらいかな…。そちらは賞を頂いて、そこで「原作つきのお話で頑張ろう」ってなってたんですけど、形にならなくて。ずっとネームをやりながら先が見えない状態で、原稿描きたいなって思ってて。たまたま知り合いがゼノンに載ってたので、ゼノン買って読んでたらマンガオーディションっていう賞を募集してたので…なんか「セリフなしで8ページから19ページくらいのマンガを募集」っていう内容だったんですよ。 で、セリフなしなら楽だなって思って。気休めっていうか、もう原稿が描きたかったのでそれに出そうって思って出したら、賞を頂いて2.3カ月後に載ったって感じですね。

店員S:これが「路上の唄」ですね。

「路上の唄」

「路上の唄」

やまもと:はい。もう初めて載ったんですっきりしたっていうか。「ああああ、やっとかよ!」みたいな。

店員S:このあとすぐに週刊ヤングジャンプに「宗像くんと日下部さん」という読み切りが掲載されてるんですね。原作付きで福星英春さん。

やまもと:そうです。福星英春さんがヤングジャンプで担当を持ってて、ネームが通ったので描いてくれないかっていうことで、知り合いだったので、私が絵を描くということになって。 いや、でもアンケート全然人気がなくて…。ラブコメのギャグみたいな感じだったんですけど。

「宗像くんと日下部さん」

「宗像くんと日下部さん」

店員S:それで約1年後の2014年5月のコミックゼノンに「空のスペルマ」という作品が掲載されております。

やまもと:そうですね、まずバンドマンの話が描きたいっていうのが第一にあって、それで流れ流れて、「子どもが出来て大人の道を選ぶか、どうしようか?」って悩む男の話です。で、あれは自分でもビックリなんですけど一発でネーム切ってOKだったんですよ。

「空のスペルマ」

「空のスペルマ」

マスター:それはなかなかないよねえ。

やまもと:なかなかないですよ。「こんなムチャクチャでいいの?」って(担当編集者に)聞いたら、「いやこれいいよいいよ」って言われて。「奇跡だ…」と思って。

マスター:新人さんで一発でネーム通るなんてなかなかないよねえ。むしろ新人に一言言うくらいのことが連中は仕事だと思ってるくらいだからね。

やまもと:だから逆に自分でこれちょっとどうなのかなって思って、自分でちょっと小細工して逆にその直しみたいなことはしました。

店員S:プロフィールを見ていて思ったんですけど、5月号で「空のスペルマ」ってのが載ってて「あいこのまーちゃん」が、連載中止決定が6月とかだったんですよね?

やまもと:そうですそうです。実は「空のスペルマ」はゼノン5月号って書いてますけど3月の末に発売だったんですよ。で原稿自体はその前の年の12月末に仕上げてたんですよ。なので3ヶ月間は次の連載ネームに費やそうと思って描いてて、それで3月の上旬くらいに「あいこのまーちゃん」を思いついて描いて、3月末の会議に通ってそっから話がどんどん進んでいった感じです。

マスター:で、そこからその「あいこのまーちゃん」がいろいろ問題になっていくんだね。

やまもと:そうですね。

=>「あいこのまーちゃん」

1 2

関連記事:

関連ニュース

関連まんが