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不器用さと愚直さを描いたスポ根マンガで右に出る者はいない!

漫画家の源流を探すマンガ旅。第1回目は週刊少年チャンピオンにて柔道漫画「ウチコミ!!」を連載中の村岡ユウ先生です。それでは後編をどうぞ!(前編はこちらから) 425322296X.09.LZZZZZZZ
▼プロフィール
村岡ユウ(むらおか・ゆう)
山口県出身、2004年に『ゴリラブ』(別冊ヤングマガジン)でデビュー。2010年からは初の連載『馬鹿者のすべて』(ヤングジャンプ)で不器用で愚直な青年の迷走ドラマを描いた。好きなものはラーメン、温泉、格闘技、松本人志、ファイアーエムブレム。
■代表作:『ウチコミ!!』(週刊少年チャンピオン)『やわらか』(週刊漫画ゴラク)『むねあつ』(スピリッツ)

twitter:村岡ユウ(yuu1220) on Twitter
ブログ:優優自的
▼プロフィール
謎の漫画家・R
デビュー20年を超えた中堅漫画家。ジャンル・出版社を問わずさまざまな作品を発表し続ける。酒を飲むのが好き。マンガ業界の人脈も広い。

ネームからフルデジタルな漫画家はまだ少数派

 
村岡ユウ先生はネームの進行に3日、作画に4日というハードスケジュール。「一応は眠れています」という村岡先生だが、まる1日オフになることはない

村岡ユウ先生はネームの進行に3日、作画に4日というハードスケジュール。「一応は眠れています」という村岡先生だが、まる1日オフになることはない


— 謎の漫画家・R(以下、R)
村岡先生の作画やストーリーづくりについてもっと詳しく伺いしたいと思います。ネームからフルデジタルで作業されているのは、どういった理由があるのでしょうか?

— 村岡ユウ先生(以下、村岡)
効率と経費ですね。仕事が無くて賞金だけ手元にあった時、思い切ってソフトをドーンと買いました。トーンとかコストが減らせるし、先行きが見えない中で削減できる経費はどんどん削減すべきだと思って。

— R
デジタルだと作画ではどんなメリットがありますか?

— 村岡
修正しやすいのはすごく大きいです。時間が短縮できるかというと、僕の場合はそうでもないような気が……修正しやすいぶんいくらでも修正できてしまうんです。だから総作業時間は変わってないと思います。
でも修正がきく分、アナログだと慎重になるところが思い切りよく線が引けるのは嬉しいです。アナログもデジタルもそれぞれメリットとデメリットがありますが、僕はデジタルにして良かったなと思っています。使う人次第ですね。

賞を受賞しデビューした後でも「先が見えない」という村岡先生の言葉はとてもリアルに響いてくる(c)秋田書店・週刊少年チャンピオン

賞を受賞しデビューした後でも「先が見えない」という村岡先生の言葉はとてもリアルに響いてくる(c)秋田書店・週刊少年チャンピオン


— R
最近のペンタブレットはすごいみたいですね。アナログで描いてるのと変わらない質感が得られるんだとか。

— 村岡
ペン先ひとつでタッチはかなり変わります。正確には、タッチが変わるのはデジタル上の設定。ペン先で変わるのは使用感や描き味。設定によって線のイメージはわりと自由に作れるんです。実は僕、ペン先は綿棒を使って描いてるんですよ。

— R
綿棒!? 綿棒ってあの耳掃除の綿棒?

— 村岡
それです(笑) 標準で同梱されているのはプラスチックのペン先で、フェルトペンにできるオプションの替え芯もありますが消費するのが早くて、これも経費削減で綿棒の頭のほうをハサミでカットして、ペン本体に挿して使っています。Twitterで「芯の減りが早い」ってつぶやいたら、他の作家さんが教えてくれたんです。

— R
デジタルでネームも描かれるそうですが、今見せて頂いた印象だとネームも比較的描きこむタイプなんですね。

— 村岡
僕は連載作家としてはネームは描き込んでるほうだと思います。これはB4用紙で、これを1ページとしてラフな感じでネームを描いて、編集さんからOKが出たら作画に進みます。

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ネームは見開きごとにデジタルで描く。「絵で精一杯で文字をグチャグチャに書いてしまう」とフキダシの中の文字はパソコンで入力。文字を間違って読まれてしまい、誤植につながってしまったこともあったため、誤植防止の意味もあるという(c)秋田書店・週刊少年チャンピオン

ネームは見開きごとにデジタルで描く。「絵で精一杯で文字をグチャグチャに書いてしまう」とフキダシの中の文字はパソコンで入力。文字を間違って読まれてしまい、誤植につながってしまったこともあったため、誤植防止の意味もあるという(c)秋田書店・週刊少年チャンピオン


文字で説明するのではなく絵で伝えたい

— R
コマ割はどうやって決めているんですか?

— 村岡
基本的なコマ割って自分が読んできたマンガで自然と身についていると思うのであまり意識していません。同じ大きさの顔が続かないようにとか、コマの大小やフキダシの乗せ方で情報を伝えるようには気をつけています。

— R
「読んできたマンガで自然と……」というのは、森田まさのり先生や原哲夫先生の影響ということですね。

— 村岡
どうやら読む人が読んだら僕のマンガって、森田まさのり先生が好きだってバレちゃうらしいんですよ(笑) 単純に絵がって話ではなくて、ボケとツッコミのリズムとか。そして森田まさのり先生は小林まこと先生の影響を受けているらしく、その森田まさのり先生の影響を僕は受けている、という感じです。

ギャグのリズムやテンポは小林まこと先生から受け継いだ森田まさのり先生。そこから村岡先生がそのセンスの影響を受けた

ギャグのリズムやテンポは小林まこと先生から受け継いだ森田まさのり先生。そこから村岡先生がそのセンスの影響を受けた


森田まさのり先生の影響でいうと、『ろくでなしBLUES』はヤンキーマンガなので番長が出てくるんですが、「○○高校・番長」っていうテロップが一切無いんです。そこは演出で表現していて、たとえばゲーセンでヤンキーがたむろしている、すると奥まっている一番いい席でゲームしているキャラクターがいて、周囲にいる舎弟がビクビクしている。こう描かれていると「あ、こいつが番長なんだな」って理解できますよね。僕もそういった演出の工夫で情報を伝える作品を作れたらと思っています。

少年マンガと青年マンガの作り方に悩むことも。「編集さんに『少年マンガは主人公が話の中にいる。青年マンガは主人公の視点が話の外側にあってもいい』と言われて、新人だった時は『へ〜』くらいに思っていたんですが、今はすごく痛感します」と“作り方の差”を感じているようだ(c)秋田書店・週刊少年チャンピオン

少年マンガと青年マンガの作り方に悩むことも。「編集さんに『少年マンガは主人公が話の中にいる。青年マンガは主人公の視点が話の外側にあってもいい』と言われて、新人だった時は『へ〜』くらいに思っていたんですが、今はすごく痛感します」と“作り方の差”を感じているようだ(c)秋田書店・週刊少年チャンピオン


=>理想と現実、持つ者と持たざる者
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