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夏だ!祭りだ!お好み焼きマンガ

――給仕長の旨井旬一(うまい・しゅんいち)が、蔵書数千冊の中からお薦めのグルメマンガをご紹介する、グルマン亭へようこそ。
 6食目の今月は、夏祭りを彩る屋台の定番。お好み焼きをテーマにした作品を集めました。

~夏だ!祭りだ!お好み焼きマンガ3選~
・『王様の耳はオコノミミ』 (夏海ケイ・スクウェア・エニックス)
・『鉄板少女 アカネ!!』(原作:青木健生、作画:ありがひとし・少年画報社)
・『あつあつふーふー』(佐藤両々・双葉社)


『王様の耳はオコノミミ』(全9巻)
 焼いているお好み焼きの声が聞こえる「オコノミミ」を持った、高校1年生の少年が主人公。「ナンカ焦ゲソウダー」「チョット蒸シテクレナイ?」など、目隠しをしていても声が聞こえてくる耳を持っています。もう、設定だけで胸やけが起こりそうなコッテリ感がありますが、物語や出てくる料理は絶品です。
 物語のメーンは、県対抗の全国大会。主人公は新潟県出身で、県特産のコメを使った「新潟風お好み焼きを完成させること」を目指し、大阪や広島などの大消費地の代表と渡り合ってレシピに磨きをかけていきます。
 お好み焼きという料理の制約で9巻まで続けたレシピのレパートリーは秀逸。読み進める間、このレパートリーがどこからきたのか謎でしたが、最終巻の料理監修者紹介に、料理研究家の浜内千波さんの名前を見つけて納得しました。登場メンバーが増えた後半でも多くの人物が上手にストーリーに絡んでおり、キャラクターも旨く料理できている傑作です。


『鉄板少女 アカネ!!』(全3巻)
 これまた他に類を見ない、なんと〝鉄板〟が主軸の物語です。主人公は18歳の女の子「神楽アカネ」で、その相棒の厚さ30ミリの鋳物「一鐡(いってつ)」がその鉄板。一鐡を置いて消えた父を探そうと、各地で屋台を開いては情報を得て父の姿を追います。
 焼そばなども作りますが、基本はお好み焼き屋。小さいころから一鐡に慣れ親しみ過ぎたアカネは、200度を超える鉄板に手のひらを付けても火傷せず、温度を測ってしまう特技「てっぱンド」も駆使して活躍します。途中で名前の付いたフライパンも登場し、「このまま伝説の調理器具シリーズでも展開するのか」と期待しましたが違いました。最後は鉄板に原点回帰します。


『あつあつふーふー』(最新1巻、以下続刊)
 最後は広島のお好み焼き屋を舞台にした4コママンガです。先の2作品で胸やけした体を癒してくれる、家族経営のお好み焼き屋で手伝う高校1年生の女の子が主役の、コメディタッチの作品。同級生で実家がカフェの女の子との会話では、それぞれの店で扱うお好み焼きソースとチョコレートを比較して「同じ茶色なのに可愛いなぁ…」と悩む姿も見せますが、着物にたすき姿で家業の手伝いに奮闘する姿は同学年の男子生徒からも大人気。娘のことが愛しくて仕方がない父と、冷静に見守る母、結婚へのプレッシャーがやまない兄とともに、ソースの香りがしてきそうな騒々しい日常が繰り広げます。
作者の出身は広島県。よそ者が「広島焼き」と呼ぶと、普段は喜怒哀楽をそれほど見せない母が「そがーな食い物ぁここには無(な)ぁ」「厳密にはね 違うんですよ 広島のお好み焼きと広島焼き」と、冷静かつ無表情にプレッシャーをかけて語る姿に、地域食としてのお好み焼きへの愛を感じる1冊です。


お気に召す作品はございましたでしょうか。
なお、今回を持ちましてグルマン亭は閉店となります。給仕長が新しい材料を探す旅に出るためです。
またお目にかかれますことを心よりお待ち申し上げております。

[執筆=旨井旬一(マンガナイト)]

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