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じめじめした夏の蒸し暑さに打ち勝つため、若き料理人の成長を描く長編3作品を、蔵書数千冊のグルメマンガから厳選いたしました!

――給仕長の旨井旬一(うまい・しゅんいち)が、蔵書数千冊の中からお薦めのグルメマンガをご紹介する、グルマン亭へようこそ。
 5食目となる今月は、夏の蒸し暑さとじめじめ感を吹き飛ばすため、成長を続ける熱血料理人が活躍する作品を紹介します。

~梅雨を吹き飛ばせ!「熱血料理人マンガ」3選~
・『バンビ~ノ!』、『バンビ~ノ!SECOND』(せきやてつじ・小学館)
・『鉄鍋のジャン!』、『鉄鍋のジャン!R頂上決戦』(作画:西条真二、監修:おやまけいこ・秋田書店)
・『一本包丁満太郎』(ビッグ錠・集英社)


『バンビ~ノ!』(全15巻)、『バンビ~ノ!SECOND』(全13巻)
バンビ~ノ! 
 グルメマンガの主人公は天才型の料理人が多い中、熱意はあっても実力が追い付かない若者の、成長を描いた作品です。福岡のトラットリアで料理を手伝っていた腕自慢の大学生、伴省吾(ばん・しょうご)は、手伝いに行った東京の一流店で全く通用しないことに触発され、その店での修業を決意。名字から「バンビ(=ガキンチョ)」と呼ばれながらも、接客やバー、デザートの仕事と経験を重ねる中で実力を付けていきます。私の一押しは、伴が考案したティラミスとアイスをチョコで包み、チョコを割ることで食べ手が完成させるデザート。店と料理、そして先輩への情熱が詰まっている逸品で、いつかこんな一皿を食べてみたいです。
 とにかく絵にスピード感があり、厨房で飛び交うイタリア語とナイフ・フライパンさばきに、ついついページをめくる手が早まります。レストランの経営と、安定した料理の提供への苦労がにじみ出ていて、読む前と読んだ後では料理に向き合う姿勢が変わるほど熱い情熱が込められたマンガです。


『鉄鍋のジャン!』(全27巻)、『鉄鍋のジャン!R頂上決戦』(全10巻)
 こちらは主人公に「憎まれ役」を担わせた中華料理マンガです。「中華の覇王」と呼ばれた天才に料理を叩き込まれた秋山醤(あきやま・じゃん)は、背中に無数の傷が残るほどのシゴキに耐えて社会に出るのですが、あまりにも世間知らずで食べる側の思いも汲まないため、序盤では大量調理時に食材から出る水分を考えずに味付けしてしまい、薄味になってしまうという、かなり初歩的なミスで失敗。他にも傲慢さが災いし、審査員の心証を害しては不利な展開を自ら生み出します。しかし、そこであきらめることなく、プライドの高さと負けず嫌いな性格で何度も立ち向かって行く姿に、文庫化やペーパーバックとして再販売されている人気の背景を感じられます。
 作中では専門家の監修や、巻末に記されているホテル・レストランへの取材で、しっかりした料理が描かれています。ですが、中毒を起こすキノコやゲテモノ(食べられる昆虫など)が出てくることや、独特な絵柄のインパクトで、万人向けとは言い難いところは注意です。


『一本包丁満太郎』(全33巻)
 本作の主人公、風味満太郎(かざみ・まんたろう)は、グルメマンガ史上に残る破天荒なキャラクター。これと決めると周りが目に入らなくなり、「かまどで、おいしいご飯を炊けるようになろう」と決めたら、食べきれないほどの失敗作を山盛りにしてしまいます。また、無人島全体がホテルの「スターアイランド」でのサバイバルクッキング対決では、仕込まれた材料に納得せず、短期間で味噌を造ろうとしてわざわざ窮地に追い込まれる始末。さらに、紆余曲折の末に結ばれた女性と暮らすものの、見習い力士のダイエットに付き合い始めて熱中、愛想を尽かされてしまいます。
 特に読者に大きなインパクトを与え、その後の突拍子もない展開を方向付けたと思われるのは、序盤の「おにぎり勝負」。いくつかのテレビ番組で再現を試みた「空洞おにぎり」が伝説化しています。個人的にはペーパーバックで再販していた本作の続きを読みたくて、古本で全巻揃えたのが、数千冊のグルメマンガコレクションの原点ともなっています。


お気に召す作品はございましたでしょうか。
のめり込み過ぎて熱中症などにならぬようご注意を。
またのご来店を心よりお待ち申し上げております。

[執筆=旨井旬一(マンガナイト)]

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