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展覧会「ローゼンメイデン展」

7体のアンティークドールが華麗なドレスをひるがえして美しく戦う、PEACH‐PITのマンガ『ローゼンメイデン』(集英社)。4月に最終巻となるコミックス第10巻が発売されたのを記念し、展覧会「ローゼンメイデン展」が7月7日までアートスペース「parabolica‐bis(パラボリカ・ビス)」で開催中だ。作品の服飾表現をより堪能すべく、会場に足を運んできた。
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(C)集英社、(C)Koitsukihime

展覧会は『ローゼンメイデン』に登場するアンティークドールの表現やアート性に焦点を当てたもの。真紅(しんく)や水銀燈(すいぎんとう)などローゼンメイデン7体を再現したトリビュートドールや、人形作家・恋月姫さんによる特製ドール、『ローゼンメイデン』の最終2話の原画などを展示する。イベント限定アイテムもいくつか販売され、創作ユニット・PEACH‐PITサイン入り画集は数日で売り切れるなど、会場は連日多くのファンで賑わっている。
椅子に設置された7体のトリビュートドール。大人ジュンの演劇の舞台を思い出させる柱時計もある

椅子に設置された7体のトリビュートドール。大人ジュンの演劇の舞台を思い出させる柱時計もある

トリビュートドールの展示「nのアトリエ」は人形作家・西織銀さんがドール本体を手がけ、衣装をそれぞれの作家に依頼し、製作された。1階のギャラリースペースで作中に登場する精神世界「nのフィールド」を表現。奥には柱時計の模型が置かれ、天井から布で作られた白いマユが吊るされ――そんな空間に、人形が1体ずつ白い木椅子に立つようにして飾られていた。
水銀燈(左)、真紅(右)。どちらも衣装製作は古居美由起(CrankyGel)。以下人形すべて、グラスアイ製作:石井 愛紀(coeur LAPIN)、ヘアスタイリング:HIRO(TRICK MONSTER)、靴製作:三上鳩広、ウィッグ協力:まんだらけ「オリジナル耐熱ドールウィッグ・ひめかずら」、ボディ製造元:オビツ製作所、PARABOX

水銀燈(左)、真紅(右)。どちらも衣装製作は古居美由起(CrankyGel)。以下人形すべて、グラスアイ製作:石井 愛紀(coeur LAPIN)、ヘアスタイリング:HIRO(TRICK MONSTER)、靴製作:三上鳩広、ウィッグ協力:まんだらけ「オリジナル耐熱ドールウィッグ・ひめかずら」、ボディ製造元:オビツ製作所、PARABOX


真紅の人形をぐっと近くで見てみる。ドレスの裾のレースが黒いギザギザで、原作とほぼ同じ形になっているのに興奮を覚える。衣装や髪型、さらには目の色など人形の再現度は極めて高く、作中との共通点を見つけるたびに嬉しくなった。
真紅のドレスの裾のレースが巧みに再現されている

真紅のドレスの裾のレースが巧みに再現されている


またローゼンメイデンたちを表現するにあたって、衣装にどの布を選びどのようなアレンジを施したのか、人形作家の意図を考えて鑑賞すると一層楽しい。人形が普段から好きだというある女性客に感想をたずねたら、興味深い回答が返ってきた。
「例えば金糸雀(かなりあ)の人形なんですけど、裾のレースが羽根の形に見えるんです。名前やキャラにフィットしていて、どの人形も原作を大事にしつつも3次元化されているのが素晴らしいと思います」
金糸雀(かなりあ)と裾のレース(右)。衣装製作はchie(Channel TOY BOX)

金糸雀(かなりあ)と裾のレース(右)。衣装製作はchie(Channel TOY BOX)

なるほど、人形好きならではの視点。このコメントに感化されて筆者も素材に注目してみた。水銀燈のドレスの黒い生地にはフェイクレザーが使われていて、彼女の尖った気高い性格にとても似合っている。翠星石(すいせいせき)と蒼星石(そうせいせき)の襟元にはおなじ柄の白レースがあしらわれていて、作中で2人が双子であることが強調されているようだ。人形へのこだわりを見つけるたびに、作中におけるローゼンメイデンたちのキャラ、それぞれの過去や想い、美しさ……さまざまなものがこみ上げてきて胸が詰まる。
翠星石(左)と蒼星石(右)。どちらも衣装製作はまめ(cece)

翠星石(左)と蒼星石(右)。どちらも衣装製作はまめ(cece)

2人とも双子だからか、襟元のレースが同じ模様だ

2人とも双子だからか、襟元のレースが同じ模様だ

雛苺(ひないちご、左)と雪華綺晶(きらきしょう、右)。雛苺の衣装製作はRico*(vanilatte)、雪華綺晶はSILVER BUTTERFLY

雛苺(ひないちご、左)と雪華綺晶(きらきしょう、右)。雛苺の衣装製作はRico*(vanilatte)、雪華綺晶はSILVER BUTTERFLY

天井からは物語終盤に出てくるマユが吊るされている。壁一面を飾るのは、原作のフキダシ部分をプリントアウトした紙のコラージュ(製作:コイケジュンコ)

天井からは物語終盤に出てくるマユが吊るされている。壁一面を飾るのは、原作のフキダシ部分をプリントアウトした紙のコラージュ(製作:コイケジュンコ)

セリフの紙は、ところどころ折り曲げて服飾のフリルのような表現。ローゼンメイデンの世界を感じさせる

セリフの紙は、ところどころ折り曲げて服飾のフリルのような表現。ローゼンメイデンの世界を感じさせる

カラーの複製イラストも壁にずらりと22点並んでいた

カラーの複製イラストも壁にずらりと22点並んでいた


2階の原画展示では、第65話「アリスの行方」の原画が20枚、最終話「薔薇乙女」の原画が8枚並ぶ。手描きの真紅の裾のレース模様から、PEACH‐PITの服飾表現への熱が伝わってきた。原画の上で影を帯びたトーンやホワイトの跡に、執筆する作者の姿が浮かんでくる。原画の鑑賞を通してマンガに注がれた「ローゼンメイデン」のエネルギーをより大きく感じられるだろう。
2階の原画展示

2階の原画展示

コマの上に「ドォッ」という効果音を透けたスクリーントーンで重ね、その上にふきだしの枠を描き、さらに枠の内側をホワイトで加工。テクニックが光る (C)集英社

コマの上に「ドォッ」という効果音を透けたスクリーントーンで重ね、その上にふきだしの枠を描き、さらに枠の内側をホワイトで加工。テクニックが光る (C)集英社

縦に割ったコマを横断する真紅。後ろのコマ1つ1つに違うトーンが貼られたりベタが塗られたりと、どのコマも異なる表現が施されていた

縦に割ったコマを横断する真紅。後ろのコマ1つ1つに違うトーンが貼られたりベタが塗られたりと、どのコマも異なる表現が施されていた

最終話、真紅以外のローゼンメイデンがそろう見開き。みんなの目や服飾の違いを見比べよう

最終話、真紅以外のローゼンメイデンがそろう見開き。みんなの目や服飾の違いを見比べよう

左端と右端、翠星石のベールに異なるスクリーントーンが使われているのに気づく。同じ模様も、場面の印象ごとにトーンを変える服飾表現に魅せられる

左端と右端、翠星石のベールに異なるスクリーントーンが使われているのに気づく。同じ模様も、場面の印象ごとにトーンを変える服飾表現に魅せられる

人形作家・恋月姫による特別展示 (C)Koitsukihime

人形作家・恋月姫による特別展示 (C)Koitsukihime

原作に登場する人形のトリビュートドールを鑑賞するという、マンガ展覧会の中でも異色だった「ローゼンメイデン展」。作り手がどういったところを人形で表現しているかこだわりを見つけるたびに、ローゼンメイデンたちへの愛が増幅されていくようだった。トリビュードールは抽選販売が行われ7体とも買い手が見つかったので、本展を逃すと7体が一堂でそろう機会は二度とないかもしれない。あなたは展覧会に“きますか・きませんか”?
作品の世界観を演出した限定グッズの販売も

作品の世界観を演出した限定グッズの販売も

ローゼンメイデンの眠りを覚ますぜんまいをモチーフにしたネックレスがかわいい。7体それぞれをイメージしてブレンドした紅茶葉7種類もぜひ飲んでみたいところ

ローゼンメイデンの眠りを覚ますぜんまいをモチーフにしたネックレスがかわいい。7体それぞれをイメージしてブレンドした紅茶葉7種類もぜひ飲んでみたいところ



[執筆=黒木貴啓(マンガナイト)]

【ローゼンメイデン展 概要】
開催期間 2014年年6月7日(土)~7月7日(月)
開催場所 parabolica‐bis[パラボリカ・ビス]
開場時間 月~金/午後1時~午後8時、土日祝/正午12時~午後7時
入場料 500円
URL http://www.yaso-peyotl.com/archives/2014/06/rm.html


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