• このエントリーをはてなブックマークに追加
作品を読んでから行くか、行ってから読むか――イベント制作会社のSCRAP(東京・渋谷)がマンガファンを悩ませる企画を進行中だ。5月3日に始まった「進撃の巨人×リアル脱出ゲーム ある城塞都市からの脱出」は、人気作品『進撃の巨人』の世界観を取り込んだイベント。音楽と映像、演出で参加者を『進撃の巨人』ワールドに誘い込み、謎解きの快感と作品の緊張感を一度に体験させてくれる。

リアル脱出ゲームは、「参加者が突然ある空間に閉じ込められた」という設定で、空間内に隠された謎を解いて脱出するゲーム。「進撃の巨人×リアル脱出ゲーム ある城塞都市からの脱出」は、5月の横浜公演から始まり、8月24日の東京公演まで続く。横浜公演の会場は、横浜スタジアム(横浜市)。普段は横浜DeNAベイスターズの試合や都市対抗野球大会といった野球イベントで賑わうこのスタジアムが、5月3日の第1回公演当日は『進撃の巨人』色に染まった。
スタジアム近くに登場した巨人の首。突然目に入るとぎょっとする

スタジアム近くに登場した巨人の首。突然目に入るとぎょっとする

会場前ではキャラクターのパネルが参加者を出迎えてくれる

会場前ではキャラクターのパネルが参加者を出迎えてくれる

もちろん団長も兵長もいらっしゃいます

もちろん団長も兵長もいらっしゃいます

公演前からグッズ販売が始まっており、熱心なファンの行列も

公演前からグッズ販売が始まっており、熱心なファンの行列も


受付を済ませてスタジアムに入ると、座席ゾーンへの入り口で、リアル脱出ゲーム恒例の謎解きツールが渡される。
どのリアル脱出ゲームでも参加者に手渡される謎解き用ツール

どのリアル脱出ゲームでも参加者に手渡される謎解き用ツール


スタッフは、作品で主要キャラクターたちが所属する「調査兵団」のマントを模した衣装を着用。彼らに誘導されて、人工芝のスタジアムのフィールドへ。今回、横浜公演の参加者は約1600人。参加者の世代や性別は非常に幅広く、20~30代の社会人もいれば親子連れもおり、なかには子どもだけのチームもみられた。
横浜公演の参加者は1公演あたり約1600人

横浜公演の参加者は1公演あたり約1600人


参加者は「訓練を終えたばかりで勧誘式に参加中の新兵」という設定。新兵勧誘式の途中で、壁を壊して巨人が侵入。壁の穴をふさいでもらうために、巨人化して動かなくなった主人公、エレン・イェーガーを目覚めさせるキーワードを見つけだす――これが今回のお題だ。
巨人化したエレンを目覚めさせ、壁にあいた穴をふさげ!

巨人化したエレンを目覚めさせ、壁にあいた穴をふさげ!


紙や映像で表現される世界を、現実世界で再現できるのか――こう疑問に思う人もいるかもしれない。だが「ある城塞都市からの脱出」では、アニメの映像とキャラクターのセリフ、さらに音楽が巧みに進撃の巨人の世界を拡張し、リアル脱出ゲーム参加者をその世界に没頭させてくれた。

視覚・聴覚に訴えることで巧みに作品の世界に誘い込む

視覚・聴覚に訴えることで巧みに作品の世界に誘い込む

例えばゲームの展開。「壁が壊されて巨人が進入し、巨人化したエレンが穴を防ごうとする」という話は、原作の単行本3~4巻に収められているエピソードが用いられている。「巨人になったエレンが自我を失い、仲間のミカサを攻撃しようとして自分の顔を打ち抜き昏倒。仲間のアルミンの機転で目を覚まし、穴を防いだ」という部分だ。今回のリアル脱出ゲームでは、気を失っているエレンを起こすために呼びかける言葉を、勧誘式に参加中の新兵=参加者が捜す、という設定になっていた。

新兵の勧誘式の途中という設定であるため、状況の説明やゲームの指令は調査兵団のエルヴィン団長の役目だ。アニメの放送時には存在しなかったセリフももちろんあり、ファンの心をくすぐる。会場のスタッフもその世界の住人になりきり、調査兵団風のマントを羽織る。各ポイントでの指示などはすべて命令口調で、軍隊的組織の調査兵団の空気をリアルな場で味わうことができるのだ。
指令はエルヴィン団長から

指令はエルヴィン団長から


謎解きの時間=1時間というのも「調査兵団の精鋭部隊が進入してきた巨人をくい止められる限界」と設定することで、現実とマンガの世界の境目を消していく。ゲーム中に鳴り響く巨人の足音にも、焦らされてしまう。

横浜公演ではコスプレ姿の人も

横浜公演ではコスプレ姿の人も


キーワードのヒントは、約3万人を収容できるスタジアム内に点在している。参加者は約12,800平方メートルのグラウンドを歩き回ることになる。巨人に襲われているという状況だが、多くの参加者がいるため、走るなど危険な行動は厳禁だ。あくまで頭脳を駆使するのがリアル脱出ゲーム流。SCRAPの加藤隆生代表も「エレガントに解くこと」とルール説明の中でコメントした。SCRAPの設計するリアル脱出ゲームの面白さは、絶妙な謎の難易度の設定にある。推理物の小説やマンガが好きな人は、謎解きのスキルを試す機会にもなるだろう。

広いスタジアムを歩き回って謎解き

広いスタジアムを歩き回って謎解き

コスプレ姿で懸命に謎を解く

コスプレ姿で懸命に謎を解く


横浜公演の第1回目は約120人が謎を解き、ゴールにたどり着いた。
意外にクリアした参加者は多い

意外にクリアした参加者は多い


リアル脱出ゲームは、原作を知っていても知らなくてもきちんとゴールまでたどり着ける設計になっている。脱出ゲームに参加してから、原作を読んだりアニメを見たりして、どこがアレンジされていたのか確かめてみるのももちろん「アリ」。原作のファンは、作品世界に入り込んだ感覚や非日常の気分を楽しめるに違いない。

今後SCRAPは、『ONE PIECE』『DEATH NOTE』など、各マンガ作品コラボしリアル脱出ゲームのイベントを開催していくという。期待と不安を抱えて参加した『進撃の巨人』とのコラボ「進撃の巨人×リアル脱出ゲーム ある城塞都市からの脱出」は考えていたよりもずっと作品世界に没頭させてくれるもので、気がついたら謎解きに熱中してしまう魅力に溢れていた。リアル脱出ゲームにリピーターが多いのもうなずける。マンガ好きがこの味を覚えてしまうと、「こんなマンガで脱出ゲームをしたら…」「いや、あのマンガのほうが面白いかも…」「さすがにスポーツマンガとのコラボは難しいか…」と妄想と期待が膨らんでしまう。

ちなみに今回のゲームでは、一人で参加して謎をすべて解くのは難しいもよう。主催側も「一人では巨人に太刀打ちできない」と訴えていた。一人で行っても会場でチームを組めるように配慮されているので、単独参加を考えている人もご心配なく。一人でも、仲間と一緒でも、進撃の巨人の世界に飛び込んでみてはどうだろうか。


「進撃の巨人×リアル脱出ゲーム ある城塞都市からの脱出」特設サイト
http://realdgame.jp/shingeki/

[今後の公演の予定]

■豊田
豊田スタジアム
2014年5月25日(日)・6月1日(日)

■札幌
札幌ドーム
2014年6月7日(土)

■仙台
楽天Koboスタジアム宮城
2014年6月22日(日)

■福岡
福岡 ヤフオク!ドーム
2014年6月27日(金)~29日(日)

■東京
明治神宮野球場
2014年8月8日(金)~12日(火)・22日(金)~24日(日)

SCRAPやリアル脱出ゲームについて
http://realdgame.jp/


[執筆=bookish(マンガナイト)]

関連記事:

関連ニュース

関連まんが