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連休の旅で食べたい駅弁は?

 給仕長の旨井旬一(うまい・しゅんいち)が、蔵書数千冊の中からお薦めのグルメマンガをご紹介する、グルマン亭へようこそ。
 3食目の今月は、「駅弁」がテーマの作品を揃えました。

~GW直前!旅がもっと楽しくなる「駅弁マンガ」3選~
・『駅弁ひとり旅』(監修:櫻井寛、作画:はやせ淳・双葉社)
・『各駅停車のグルメ旅!道連れ弁当』(原作:きり・きりこ、作画:ありま猛・リイド社)
・『なんちゃって駅弁』(原作:守靖ヒロヤ、作画:上農ヒロ昭・実業之日本社)

『駅弁ひとり旅』(本編全15巻、番外編2巻、ベスト版3巻)
 弁当屋を営む主人公が勉強のために鉄道日本一周の旅へ。東西南北の最端まで、ローカル線も駆使して乗り継ぎながら、先々の出会いや味を楽しみます。2005年の連載開始から人気を集め、作品とコラボした駅弁が5種類ほど発売されました。本編終了後に「がんばっぺ東北編」、沖縄と台湾が舞台の「ザ・ワールド」と続き、さらにはベスト版が異例とも言えるソフトカバーで3冊発行(4冊目が今年5月に予定)と、高い支持を得ている作品です。繊細で写実的な作風に加え、毎回マニアックな鉄道の知識も披露されているのが人気の要因でしょう。
 本編では東京駅を出発して九州、北海道を巡り、上野駅まで300を超える駅弁が登場。第1話から3800円の駅弁が出てきますが、なんと最高額は、漆塗りの弁当箱に入った15万7500円。奥深さが味わえます。
 実際に食べるシーンが出てくる278個のうち、タイトルに反してひとりで食べたのはたったの21個。ひとりで食べられる数には限界があるので取り入れた手法でしょうが、ほとんどが旅先で知り合った美女と移動しながらの食事です。実はこの旅の設定こそが、一番の人気の秘訣だったのかもしれません。

『各駅停車のグルメ旅!道連れ弁当』(全14巻)
主人公は雑誌カメラマンの男性と、入社10カ月目の新人女性編集者。男性はギャンブル好きで…と、初期の「美味しんぼ」に似た設定です。連載が始まった時期も同じ昭和60年前後で、いま役に立つというよりも、当時の駅弁文化を物語るものとして資料的価値が高い作品です。
特徴は雑誌取材さながらの細部へのこだわり。駅弁の中身を詳細に解説しているのはもちろん、一つ一つの弁当の発売年を掲載。掛け紙・箱などの説明や、欄外には駅弁会社の電話番号が掲載されているのも珍しい試みです。地元の観光協会なども取材協力者として紹介されていて、名勝や歴史などの解説がある場面もあります。
 紹介している駅弁の数が多いのもポイントで、なんと第1巻だけで53個もの駅弁が登場。弁当製造会社の社長や社員が登場しているケースが多く、駅弁に対する情熱が伝わってきます。

『なんちゃって駅弁』(全3冊)
 発想の勝利です。なんと、「自分で駅弁を再現するレシピを紹介する」という、夢のあるコンセプト。しかも発売が終了している駅弁まで復刻してしまい、さらには年輩の方のために油分を除いた煮豚を作ったりタコを柔らかく煮たりと、再現した駅弁にアレンジまで加えてしまいます。
 物語では、思い出の駅弁を再現して親子・家族関係を修復するという流れが多く出てきます。やはり旅と食は楽しい思い出と結びついていますからね。アイデアレシピとして最も特徴的なのは「青森県黒石名物つゆ焼そば弁当」で、コシのある焼そばを作るために平麺のスパゲティで作るというもの。この本当の材料にこだわらず味を再現してしまうあたりが「なんちゃって」の真髄です。
 出版された3冊はすべてコンビニなどで売っているペーパーバックでの販売。『なんちゃって駅弁』『駅弁大集合』(以上、実業之日本社)、『作って食べよう!全国有名駅弁』(日本文芸社)があり、合計46種類が紹介されています。入手しやすいとは言えませんが、レシピ本としても、作品としても、一度手に取る価値はあります。

お気に召す作品はございましたでしょうか。
またのご来店を心よりお待ち申し上げております。

[執筆=旨井旬一(マンガナイト)]

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