投稿者別記事一覧 [木瀬谷カチエ]

  • 妖怪少女

    週刊ヤングジャンプ大人気連載中の『妖怪少女~モンスガ~』。第3巻は2015年1月19日に発売。

    現在、週刊ヤングジャンプで『妖怪少女~モンスガ~』を大人気連載中のふなつかずき先生。赤鮫が行く!!第16回はふなつ先生に赤鮫・近藤哲也が噛みついてきました。前作の『華麗なる食卓』を約12年間49巻の連載を終え、新連載『妖怪少女~モンスガ~』を2014年より開始、最新刊の3巻も1月19日に発売されたばかり。そんな、ふなつ先生のさまざまな秘密に迫ってみたいと思います。

    (※ふなつ先生は大阪出身。関東での生活も長く普段は標準語なのですが、同じく関西出身の赤鮫・近藤との会話で言葉も自然と関西弁に。読みづらい部分があるかと思いますが御了承お願いいたします。)

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    ふなつかずき先生と言えば可愛い女の子をエロく描くと有名ですが、今回は先生とエロについて語ろうと思ってきました。よろしくお願いします。

    ふなつかずき先生(以下、ふなつ)――おおっ、きましたね!!よろしくお願いします。

    先生の作品に出てくる女の子は凄く柔らかいというか抱き心地が良さそうなんですけど、女の子を描くのになにか意識してことはあるんですか?

    ふなつ――僕はもともとぽっちゃりしてる子を描くのが苦手だったんですよ、どちらかというと細い子ばっかりで。『華麗なる食卓』で七瀬眞尋っていうFカップのおっぱい大きい子をはじめて描いたんですけど、その子を描いてるうちに「おっぱい大きい子って描きやすい」って気付いて、男も筋肉ムキムキの方が描きやすくて、ツルッとした細い人の方が特徴が無くて描きづらいんです。それと同じでおっぱい大きいってそれだけでバランスが取れるんですよ。僕は貧乳派だったんで巨乳にはそんなにこだわってなかったんですけど、そのキャラがあまりにも評判が良くて、「う〜ん、世の中はおっぱいが大きい方がいいんだ、でも僕は貧乳派なのでちっちゃいのも出していこう」とか思ったり(笑)

    柔らかそうな質感はどうやって表現してるんですか?

    ふなつ――昔は質感がなかなか出せなくて、自分で描いててマネキン見たいやなって思っちゃうぐらいやったんです。もっとこう柔らかい感じで描けないものかと試行錯誤してた時に気付いたんでけど、若干重力に負けてる感、たとえばボーンと張ってるよりも、頑張ってるんだけど垂れ下がってる感じの方が柔らかそうに見えてエロいということに。最近はそのせめぎ合いです。これちょっと垂れすぎやな、もうちょっと張らせようか、いや張らせすぎたかなみたいな(笑)あとはリアリティーと漫画的な表現の境目をどう使うか。例えばパンツ1枚描いてもリアルなパンツってあんなにシワよらないじゃないですか。

    だいたい張ってますよね。

    ふなつ――パンツの素材にもよると思うんですけど、そんなにシワって出ないじゃないですか、そこをあえてシワを描くとか(笑)

    う〜ん、めちゃくちゃ奥が深いですね…。漫画の中でのエロの割合はどんな感じで入れてるんですか?

    ふなつ――エロは入れすぎるとバランス崩れるので、『華麗なる食卓』より今の方がエロに対しては細心の注意を払ってますね。『華麗なる食卓』はどんだけエロに脱線してもカレーでまとめないと話としても破綻してしまうので、どこまで行っても戻れるというのがあったんですけど、今はエロの方に行ってしまうと、そっちばっかりになってもおかしくない作品なので行きすぎないようにセーブしていますね。まあ、いつまで加減できるかはわかりませんけどね(笑)

    先生は女の子の乳首にはトーンは何番を使ってるんでしょうか?

    ふなつ――僕がいま使ってるのは円グラデですね。外に向けて抜けていくやつ。『華麗なる食卓』のときは61を2枚貼りしてましたね。1回貼って削って影を作ってもう一枚貼る。

    手間かけてたんですね!でも『妖怪少女~モンスガ~』はあまり乳首は出てないですよね?

    ふなつ――まともに乳首出てきたんは糸重 姫瑠依(いとしげ きるえ)とニアぐらいですね。あっ、あと河童憑きか。

    平松伸二先生は遊んでるやつはベタだなって言ってたんですよ(笑)

    ふなつ――ベタって!黒過ぎるでしょ(笑)

    ベタは冗談だとおもいますけど(笑)河童憑きは黄桜の河童以上のセクシーさで最高でした。ところで先生は何フェチなんですか?

    ふなつ――ふふふっ、河童憑き良いでしょう?(笑)フェチな部分はいっぱいありますね。ろっ骨とか鎖骨、肩のライン、わき、わき乳とか。

    僕と似てますね(笑)

    ふなつ――あとは下腹がちょっとぷっくりしてるとか。最近のマイブームは肉付きある方がええかなって。ずーっと貧乳派やったんですけど、大っきいほうもええなと。まあ、おっぱい自体が素晴らしいんやけど。

    ちっちゃくても大きくてもですよね。

    ふなつ――はい、考えを改めました(笑)でも、一番好きなのはお尻なんですよ。

    ええっ、そうなんですか!? お尻なんですか〜。そういった部分は作画にはあらわれます?

    ふなつ――あらわれるとおもいますね。

    でも、漫画って顔が見えるように描くからお尻を描くことって少ないんじゃないですか?

    ふなつ――そうなんですよ。このあいだもカラーでお尻塗ってて、「あれっ難しいな、なんでや?」って思ったら、実際カラーでお尻ってあんまり塗ったことないことに気が付いて。

    カラーだからこそ顔が中心になるんですね。

    ふなつ――そうなんですよ。バストアップだけだったり、全身でも正面だったりで、あんまり後ろから描くことはないですから。

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    ふなつさんの仕事場。壁には沢山の漫画家のサインが。

    ふなつさんの仕事場。壁には沢山の漫画家のサインが。

    今回の『モンスガ妖怪少女』はなぜ題材が妖怪だったんですか?

    ふなつ――もともと妖怪が好きだったんですよ。読みきりでもそれっぽいのを描いたりしてたんですけど、やっぱり僕ら世代ってジャンプっ子じゃないですか、特殊能力や化け物的なものが出てくるバトル漫画をいつか描きたくて・・。『華麗なる食卓』をやってて辛かったのが、全身描写があまり描けなくて、料理漫画なんで手元を見せようとすると、まな板越しのバストアップがどうしても多くなったりするんで、次は絶対全身描写が描けるようなバトル漫画が描きたいという思いがあったんです。

    『モンスガ妖怪少女』は全身描写だけでなく、下からの見上げるような描写や、さっきも言ってたお尻の描写とかありますよね。

    ふなつ――いままで描きたかったのをぜんぶ描いていってます(笑)でも、今の漫画って規制で若い女の子にエッチなことをしてはいけないって暗黙の了解があるんですよ。やっぱり女子高生ぐらいの年代の子を出したいじゃないですか。週刊ヤングジャンプってエロ描写に関しては悪ふざけみたいな言い訳でだいたい通るんですよ。僕が笑ったのは週刊ヤングジャンプってM字開脚ダメなんですよ

    あんなメジャーなポーズがダメなんですね(笑)

    ふなつ――知らずに1回描いたらダメって言われて、でも「ここの吹き出しをここに置いてくれたら絵的にMじゃなくなるからいいよ」って、「それでいいんですか!」とか。汁の表現はダメなんですよ、でも汗に見えるぎりぎりのラインなら「汗です」って言いはれるからいいんです、毛っぽい物を描いても「毛じゃないです、影ですよ」って言いはれたら大丈夫だったりするんですよ。まぁ毛に関してはボクは言い張れなくても描くんですけどね(笑)

    そんな理由があればいいんですね。

    ふなつ――そうそうそう、ほとんど悪ふざけじゃないですか、だからどうやったらできるかなって考えて、「見た目は女子高生だけど、じつは300歳で妖怪とかだったら言い訳たつんとちゃう」って、そういう感じで構想を練っていったんですよ。それから週刊ヤングジャンプ編集長に会ったときに「ヒロインにエッチなことしても300歳で妖怪だから言い訳立つじゃないですか」って言ったら「何を言っているんだ君は」って(笑)

    ふははは、聞く耳もってくれて無いじゃないですか(笑)

    ふなつ――「だめですか?」「考えればわかるよね」って。もう、意味がわからないですよ(笑)

    でも、今回は先生自身もすごく楽しそうに描いてるなってヒシヒシと伝わってくるんですけど。

    ふなつ――めっちゃ楽しいっすね!!!ホントしたいこと好き勝手やってるんで、まぁ〜楽しい!必ずしも読者の方が同じではないと思うので、中には『華麗なる食卓』の方が良かったと人もいると思いますけど、それがうまいことはまってくれたら嬉しいなと思ってやってる感じですかね。

    ところで、なぜ「ろくろ首」が主役なんですか?

    ふなつ――変わってるでしょ?普通は雪女とかネコ娘とかメジャーな妖怪を主役にと思うんですけど、それやったらベタですし、ろくろ首って有名なのに前にあんあまり出てこないじゃないですか。

    首が伸びるぐらいで特にって感じですね。

    ふなつ――そうですよね、なんとなくヒロイン誰にしようかなと思った時に、ろくろ首をヒロインってどうってアシスタントのみんなに聞いたら、「ええっ!ろくろ首はないでしょう」って。それで、僕がこんなイメージでってロッカの絵を描いたんですよね、そしたら「なんかありな気がしますね」って。それで次にヒロインが裸で自分の首に絡まって緊縛みたいになってるイラストを描いてそれを見せたら、「ありっすね、ありっすね」ってみんな言ってくれて。なので、なんでろくろ首を選んだかと言うと「セルフ緊縛ができる!」に尽きるんですよ。

    セルフ緊縛なってるの本編にもありましたね。

    ふなつ――そしてほどけなくなったりと、マヌケさと言うか、そんなカワイイところを描ければいいかなと。じっさいね首が伸びるってリアルに考えたらめちゃくちゃ気持ち悪いんで(笑)中身は普通の女の子にして、ただ首が伸びるだけっていう。

    先生の妖怪をチョイスする基準とかあるんですか?

    ふなつ――妖怪の特徴を読んだときに変態やなこいつって思ったら使いますね。柿男とかね。

    柿男は変態すぎますよね。

    ふなつ――あいつは変態として使うしかないでしょ(笑)

    妖怪のビジュアルを考えるのも大変なんですね。

    ふなつ――ところどころに今っぽさを入れたいのもあって、そのままだと昔ながらの妖怪漫画と変わらなくなってしまうので。

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    作業机の上には資料が積まれています。

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    趣味のサバゲーにも使用するというモデルガンがズラリ。

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    『モンスガ妖怪少女』の作中で実際にあるお店や建物は名前を変えたりせずにそのままの名前で使出てくるんですが、それはあえてそうしてるんですか?

    ふなつ――僕が作品を描く上で《嘘は一つだけ》というルールがあって、世界観が非現実の世界であったら嘘はそれだけで、『妖怪少女~モンスガ~』は妖怪が出るという嘘を1つついてあとはできるだけリアルなものにしたかったんです。

    だから建物や店名が実名なんですね。それでなぜ秋葉原が舞台になってるんですか?

    ふなつ――いろいろ妖怪について調べてたんですけど、新しい妖怪は人の集まる所に生まれ、電波や電磁波があるところに霊が集まるとかあったんですけど、これって秋葉原なんかバッチリじゃないですか。なので秋葉原を舞台にできないかなと思いながらお店も実在するものを使いたかったので、作中にメイドカフェが出てくるんですけど、そのお店のオーナーさんに「店の名前や制服などは変えるんで、こちらのお店を漫画のモデルとして使わせてくれませんか?」って聞いたら、「いやいやいや名前はそのまま使って下さいよ」「えっ、いいんですか?妖怪漫画なんでもしかしたらメイドが人を殺すかもしれないし、店のなかで戦闘になってぐちゃぐちゃになって客が死んだりするかもしれませんよ?」「全然問題ないです、好きにして下さい、なんでしたら漫画の中でガラスが割れたらそのガラスに割れたステッカー貼りますんで」って(笑

    お店側が漫画に合わしてくれるって言うんですね(笑)

    ふなつ――そんなことしていいんだとビックリしたんですよ。じゃあ別の店も聞いてみようということで主人公が働いてるレアモノショップという、これも実在するお店があって、そこの社長さんにお願いしたら、「断る意味がわからないです」って言われて(笑)前作の『華麗なる食卓』のときなんですけど全国展開してるようなカフェに同じように使わせてもらえませんかというお願いしたら結構手続きが大変だったんですよ、そういうノリでいたんですけど、秋葉原は「ちょっと待って下さい」すら言われたことなくて。

    即答ですか?

    ふなつ――ほぼ即答でどんどん使ってくださいって。なんだろこの街はって(笑)

    大阪みたいですね。

    ふなつ――そうそうそう、みんな出たがりでね。

    大阪のおばちゃんみたいですね。

    ふなつ――「にいちゃん、店だけちごぉて(違って)、うちも漫画に出してよ。そのかわり」

    「綺麗に描いてや」と?

    ふなつ――わはははっは(笑)

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    最後に先生にとって漫画とはなんですか?

    ふなつ――『華麗なる食卓』の中のキャラにも言わせたことがあるんですけど、「僕自身を表現できる唯一の手段」ですね。

    先生ご自身ですね

    ふなつ――漫画家って漫画以外で自分を表現するのは苦手じゃないですか、ある意味漫画って自分の頭の中さらけ出してる、ある意味一番こっぱずかしい行為だとおもうんですよ。

    エロに関しても性癖を出してしまいますもんね。

    ふなつ――そうそうそうそう、僕こんな性癖あるんですよってさらけ出してますからね。あっ、全部じゃないですよ、柿男とか僕の性癖の範疇じゃないですから思わんといてくださいね(笑)まあ、それらで人を喜ばせれることができるということが喜ばしいんですけど。

    今日はふなつ先生の性癖から作品までいろいろお話聞かせていただきましてありがとうございました。

    ふなつ――今日はこちらこそありがとうございました、楽しかったです。

    これからも『妖怪少女〜モンスガ〜』共々よろしくお願いします。

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    『妖怪少女~モンスガ~』3巻は1月19日に発売したばかりで、今回の帯のコラボ企画第3弾は、秋葉原のメイドカフェ『ぴなふぉあ』で「もる」が働くメイドカフェでモンスガ特製ドリンク&おまじないが頼める半券付きです!

    2月1日〜2月28日までですので是非是非ご賞味下さい!!

    そして、おまじないしてもらいましょう!!

    ・ふなつかずき Twitter @funatsukazuki
    ・メイドカフェぴなふぉあ http://r-now.net

     [執筆・近藤哲也/撮影・木瀬谷カチエ]


    [赤鮫が行く‼︎]近藤哲也の新刊本『和歌山あるある』TOブックスより発売中!

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    手塚るみ子さんをホストに迎え、毎回ゲストから自分の分岐点となった局面を伺い、創作の秘密を掘り下げていく対談企画・Crossroad。

    一回目のゲストは『YAWARA!』、『パイナップルARMY』(原作・工藤かずや)、『MASTERキートン』(脚本・勝鹿北星 長崎尚志)、『20世紀少年』、『BILLY BAT』(ストーリー共同制作・長崎尚志)など数々の代表作を持つ漫画家、浦沢直樹さん。

    1999年に『MONSTER』、2005年に『PLUTO』(原作・手塚治虫 監修・手塚眞 長崎尚志プロデュース) で過去二度に渡って手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。手塚るみ子さんのリクエストで今回の対談が実現しました。

    幼年期に手塚治虫から多大な影響を受けたという浦沢さん。多数の作品を生み出し続けている創作現場へとお話を伺うために訪問しました。

    仕事場に一歩足を踏み入れると、壁一面に配された本棚に目を奪われます。所狭しと並んだ書籍の中には手塚漫画が置かれた一角も。漫画のページを捲りながら二人の対談が始りました。

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    -漫画家のライフスタイル-

    手塚:すごい蔵書ですね。私は雑誌掲載時には父の作品をあまり読んでなくて、単行本になってから読んでました。

    浦沢:僕らの時代、単行本は主流じゃなかったんですよね。

    手塚:この間、手塚治虫の元チーフアシスタントの福元一義さんがテレビに出られていまして、それが『1位じゃなくっていいじゃない』というテレビ東京の番組だったんですけど、福元さんも漫画家を目指して、一度は漫画家になったのに、最終的にアシスタントで終えてしまった時に「自分の作品よりも、手塚先生の作品が1つでも多く世に出たほうが良いから」ということを言ってくださったんですよ。

    浦沢:漫画家になるのとアシスタントになるというのとは、別の資質なんですよね。さらに売れっ子漫画家になるというのはまた別で、全部資質が違うんですよ。だから、例えばテレビ界でいえば、AD(アシスタントディレクター)という役割がその人の資質にとっても合う人がいる。うまい食べ物を買ってきてというと、本当にうまい食べ物を買ってきてくれる。それとは別に社長の資質がある人もいる。位の上下ではなくて、資質としてその仕事にその人があっているのかというものがあって、社長の資質がある人がADをやったらきっと下手だと思うんですよ。社長として活躍出来たとしても、その人はADの役割には向いてないんですよ。

    手塚:そうかもしれないですね。

    浦沢:漫画家の資質の人、アシスタントの資質の人というものはありますから、そこの仕事にぴったりはまるかということなんですね。手塚先生の漫画を支えた人とか、黒澤明の美術を支えた人とか、たくさんそういう人がいるじゃないですか、そういう人がいたからこそ作品は出来あがるので。

    手塚:そうですね。うちの父は誰のフォローも出来ないタイプだと思いますね。周りが一生懸命に支えて、ひとりの人間としてやっていけたんだろうなと思います。だから、福元さんがいなかったら、作品の量産するペースとかが違っていたんだと思います。あの方がいたからこそ、これだけのタイトルが残せたんだと思います。そのなかで、3タイトルくらい私のわがままで父の時間を取ってしまって描けなかったものもあるんですけど(笑)。

    浦沢:僕はデビューの頃からずっと仕事の受注やギャラ交渉も全部自分でやっています。周囲から驚かれるのですが、僕はなんとなくやってきちゃった。

    手塚:最近は漫画家先生もマネージャーをつけてることが多いですよね。あと意外だったのは、浦沢先生はご家庭を仕事よりも優先されているんですよね。

    浦沢:うちの家庭は「漫画は二番目」という決まりがあって、漫画が生活の一番じゃなくて、家庭が一番です。仕事中でもインターホンが鳴って「ご飯よ」と呼ばれると、どんなに乗って仕事をしていても筆をおかないといけないんですよ。それは30年間の決まりなんです。「まずご飯を作った人のことを考える」と妻が言うんですよ。なるほど言うとおりだなと。

    手塚:それはご結婚されて、生活の中で作っていかれたんですか。

    浦沢:妻は僕が漫画家になる前の学生時代から知っているので「仕事でヒーヒ―言っているのは、あなたらしくない」と(笑)。健康管理は完全に妻に任せています。

    手塚:そうですね。仕事をこなすためにも健康管理も、時間の管理も睡眠もというのは、奥様が一番気遣う役割になるんでしょう。

    浦沢:週刊連載の作業は短距離走で駆け抜けるかんじだと思います。やっぱりある量が出てこないとムーブメントは作れない産業なので、多少無理をしてでも量を作らないといけないんでしょうけどね。

    手塚:ご家庭のことを優先した場合、睡眠や仕事などライフスタイルはどう配分されているんですか?

    浦沢:この十年はかなり仕事を絞ってますよ。身体を壊してドクターストップかかった時もあったので。今は淡々と月に24ページを二話分で48ページは描きますけど、それ以上はなるべく描かないようにしています。

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    手塚:それ以外には、イベントや取材といったこともされてますよね。

    浦沢:『浦沢直樹の漫勉』というTV番組をNHKで企画したり、音楽を作ったり漫画以外の動きがとれる時間が多少出来ますね。

    手塚:プロデューサーも出来る方だとみなさんに知られているんですね。『漫勉』は次の放送もあるんですか?

    浦沢:そうですね。一応そのつもりです。『漫勉』企画の発端は、一般的に漫画制作の過程が知られていなくて、毎回外に出る度に「漫画家とは」から説明する状況がいつまで続くんだろうという事を漫画家さん達と仲間内で話題にしていたんですよ。大友克洋さんも「なんとかアーカイブしないといけないんじゃないの?」 と言っていたし、始まりはそんなかんじですね。

    手塚:漫画家の先生方みなさんが思っていらっしゃたんですね。私も父親が漫画家でありながら、漫画家の仕事場のことを知らなかったので、どうやって漫画が出来あがってくるのだろうと興味を持って観ていました。

    浦沢:毎週簡単に印刷物で手元に届いてしまうと、読者はその価値がわからなくなるんじゃないかと思ってました。漫画家の皆さんが超絶技法で毎週地獄のようなスケジュールでみなさんにお届けしているというのは一般の方は想像する事すら出来ないんですよね。そこに深い断絶の溝が出来てしまっているから、まずそこは埋めないといけないと思いました。一筆一筆描いているんだというのを見せたいと思って番組をやったら僕らが思っている以上の反応があったんです。そこそこ知らないだろうなと思っていたら、番組が終わった後の何万という反響のツイートがあってみんな吃驚したといっていました。「ほらぁ、やっぱりみんな知らないんだよ」と(笑)。

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    手塚:私は父親が漫画家でも分からないことありましたからね。

    浦沢:超絶技法と一般の生活に差がありすぎるんですよ。想像を絶し過ぎてしまって。ひとつの絵を描くのに誰手も一般の人はマゴマゴしてしまっているのに、あっという間にドラマがついて演技がついてきれいな絵がどんどん出てくるんですよ。そのあまりの違いを想像出来ないんですよね。

    手塚:描くペースというのは技術としてまず分からないですね。すでに描かれた原稿は、家の中で転がっていたので、見ていたんですけれど、実際に描いてる速さを実感することはなかったですね。


    -浦沢作品の創作秘話-

    -仕事机には作業中の貴重な原稿やネームが・・-

    -仕事机には作業中の貴重な原稿やネームが・・-

    編集部: 浦沢さんのネームは凄く細かく描かれているんですね。通常のネームは丸チョンで描いてるイメージです。

    浦沢:デッサンも構図も演技も出来あがっているでしょう。こういう技術があるので大量に早いスピードでものが出せるんです。頭に構図が浮かんだらすぐに頭に浮かんだものを一瞬で描く。えーと・・・、とならないんですよ。これはネームなので、完全に白い紙にドラマと構図を作っていく段階ですが、凄いスピードで描くんです。

    編集部: コマ割りなども直さないのでしょうか?

    浦沢:凄いスピードで描いたネームをゆっくりと原稿用紙に描き直す段になって、これ逆かな、とか描き直すと何かおかしくなってしまうんです。だから逆にネームの通りの構図にするために設定とか変えてしまうこともあります。読みやすいとか、ちゃんと感情が流れているというのは、熟考しないで勘だけで描いているからでしょうね。

    手塚:それは長年培ってきたなかで、出来あがっていったんですか。

    浦沢:5才頃から描いていた経験ですね。1965年頃『鉄腕アトム』の「地上最大のロボット」を読んでいたあの頃から、ずっと培って来たので。頭の中にすでに漫画があって、それをかき集めて作るんです。よく将棋に例えるんですが何手先みたいにと考えるんです。

    手塚:そういういった時に食事で呼ばれてしまったらどうするんですか?

    浦沢:それはもちろん、食事ですよ(笑)。一度止めてもう一回見ると別のアイディアだったりここにミスがあるとか気づくんですよ。こんなにスピードが速いと、逆に流れていってしまうので、立ち止まる方が良い場合もあります。僕は5ページざっと描いたら、すっとやめて、また見直して描いたりしますね。ここはリズムおかしいなと思ったらここで一コマ足すとか。

    手塚:ネームの前にプロットなど書かれた上でネームにおこすんでしょうか?

    浦沢:プロットはただのメモ書きですね。打ち合わせの時にワーッ!と書いたような文字を見ると、何かいてあるか分からないんですけどね。なんだっけこれみたいな(笑)

    長崎尚志さんとの打ち合わせの時は、今の『BILLY BAT』の場合だと一話分24ページなんですけど、こんな内容とか話をしながら頭の中でページ配分をしていて「今18ページくらいだから、あとワンエピソード入りますよ」という感じです。

    手塚:思ったよりページ数が余ってしまった場合は、例えば絵を大きくしたりして全体的にページ調整をされているんですか?

    浦沢:そういう事はあまりないですね。僕は絵を大きくするとかあんまりしないんです。そういう場合は他のエピソードを入れてますね。コマの大きさというのは、演出なので、ページ数が余ったからといって変えていたら演出ではなくなってしまいますので。あとは、長くなってしまった時はネームをハサミで切るんですよ。それをテープで止めて、繋ぎ合わせるんですね。

    手塚:コマや絵の大きさによって、読むテンポが変わってしまいますよね。

    浦沢: 僕は見開きはほぼ使わないですね。見開きはその作品の最大のクライマックスなので、軽く扱ってしまうと、見開きのデフレが始まってしまうんですよ。見開きが最大の画面なので、ここぞという時のために取っておくんですね。

    手塚:原稿はGペンで描かれているんでしょうか?

    浦沢:最近は日本字ペンなんですよ。カブラペンよりも細い線が出るかな。カブラペンとGペンの間なんですよね。『MONSTER』は丸ペン一本を使っていたんですけど、丸ペンは年齢が若くないと使いこなせないかも。大友さんも『AKIRA』の時ずっと丸ペンで、古くなった順に1号2号3号とつけて、線の太さを変えていたみたいですよ。

    手塚:年取って使えなくなるというのは、自分が変わるんですか?

    浦沢:変わるんですね。丸ペンはパワーを必要とする感じがします。細い線から、太い線まで緩急つけるのに、相当体力を使うんですよ。それで過去に身体を壊したので、それから丸ペンを使うのをやめたんですよ。1日10数時間描いていて、鎖骨から肋骨にかけて相当固まってしまって、左肩が脱臼みたいな状態になっちゃったんですね。鎖骨や肋骨は柔軟性が大事なので、それが硬直してガッチガチになっているところに無理して描いていたら、朝起きた時に左肩が付いてこないんですよ。悶絶して、ちょっと痛みで描けませんと編集部に伝えたら「わかりました。今の原稿仕上げたら倒れてください」と言われました(笑)。

    手塚:残酷ですね・・。

    浦沢:結局病院で痛み止め打って原稿を仕上げました。手塚先生に比べたら半分にも満たないんですが、月6回〆切りというのを20年間こなして、月130ページくらい描いていたんですよ。それでいつか身体を壊すなと思っていたんですが・・。でもその程度のことで自分に身体の危険信号が来たんだからラッキーだなと思いました。とにかく仕事すると結局身体に歪みが出るので、週一回トレーナーに診てもらっています。

    昔の手塚先生のドキュメンタリー映像を見ると、全然前のめりにならない姿勢で描いていますよね。

    手塚:TVの取材だとカッコつけるから、普段からそうだったのか分からないですけど、寝床でねっころがって書いている時は、かなり目を絵に近づけて描いていましたね。

    => -TV『漫勉』制作のこだわり-

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    image001[3]月刊コミックゼノンにて絶賛連載中の『ハナカク』(松井勝法)の最新刊が2月20日(金)に発売。

    『ハナカク』は女子高校生格闘家のタマゴ、安藤花夏(あんどう・はなか)を主人公とした作品。待望の最新刊の帯には『ワンピース』の尾田栄一郎さんが応援イラストとコメントを寄稿。

    注目の“女子格“漫画新刊の発売にあたり、現在活躍中の女子格闘家の選手に『ハナカク』の魅力、”女子格”について聞くインタビューシリーズを慣行。インタビュアーは「赤鮫が行く!」でお馴染み、格闘家でもある近藤哲也が務めます。

    今回は『特攻天女』の異名を持つ藤野恵実選手(和術慧舟會GODS)
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    近藤:格闘技を始めたきっかけを教えてください。

    藤野恵実選手(以下、藤野):ダイエットでスポーツジムに通ってたんですけどK-1や総合格闘技が流行り始めたころで、格闘技もおもしろそうだなと思って、宇野薫選手が所属してる和術慧舟會に入門しました。女子の会費が3000円と安かったのでそれが決め手になりましました(笑)

    近藤:格闘技経験はあったんですか?

    藤野:まったく無かったです。前からやってみたかったんですけど、親がやらしてくれなかったのと、女子高だったのでそういうのとは縁がなかったので、そこからがスタートですね。

    近藤:好きな練習はなんですか?

    藤野:試合前じゃない普通の練習です。格闘技が好きなのでどんな練習も楽しいです(笑)

    近藤:嫌いな練習はなんですか?

    藤野:試合前の追い込みとか試合のために特別する練習は嫌ですね。プロとして試合するわけなのでその練習は当たり前なんですけど、やっぱりキツイですね。できないこととか怒られたり、強制的になってくるとだんだん嫌になってきます(笑)

    近藤:やっぱり試合前は特別な練習しますもんね。

    藤野:一番キツかったのは、タイトルマッチの前のスパーリングで5分10ラウンドで相手が1,2分で変わって組技ばっかりとか、本当にキツかったですね。

    近藤:うわ、それはキツイ・・・。

    藤野:相手も元気な人が来ますから、試合の方が楽でした。

    近藤:藤野選手にとって強さとはなんでしょうか?

    藤野:継続する強さですかね。最初の運動神経や性質もあるとは思うんですけど、今の格闘界を見渡すと残ってる人ってちゃんと続けてる人達なんですよね。格闘技だけじゃなく最後まで残ったり、継続することが大事かなと、そういうのが強さにつながるのかなと思います。

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    近藤:『ハナカク』の感想をお願いします。

    藤野:絵が凄く見やすくて読みやすいです。私自身も漫画が大好きなんですけど読みにくい絵とかもあるんですけど、『ハナカク』は可愛くて見やすいです。題材はマニアックなんですけど描いてることとかが分かりやすいし、感情移入もしやすいと思うので面白いです!

    近藤:好きなキャラは誰ですか?

    藤野:亜季ちゃんですね。表には出さないけど、かたくなに強さを求める感じが。チャラチャラしてるのに腹立ったりする気持もわかるし、間口は広げたいけどあんまり軽く考えられて試合とか出られるのは嫌だから凄く気持ちがわかるんです!

    近藤:そう言えば、森色虹亜ってキャラがいるじゃないですか?VV Mei選手がこの背中を見て「これ藤野選手」だって。

    藤野:ちょっとまってよ!!Mei~!!(たまたま道場にいたMei選手を呼んで)似てないよ!

    VV Mei:最初見たとき本当に藤野さんかと思ったんですよね(笑)

    藤野:いやだ、そんなゴツくないよ!

    近藤:松井先生に「このキャラの背中が藤野選手に似てますよね」って聞いたらたら「たしかに」って(笑)

    藤野:そんな・・・。もっと女性らしいラインをキープしてるはずです。

    VV Mei:そんなもんだって(笑)

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    藤野
    :漫画に出てくる選手のモデルっているんですか?

    近藤:先生は、いろんな選手から特徴なりを取ってキャラクターを作ったと言ってました。

    藤野:私をモデルにするときは特に女性らしくお願いしますと言っておいてください(笑)

    近藤:はい、わかりました。伝えておきます(笑)

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    藤野恵実選手が所属している道場

    藤野選手が直接指導している時間もありますので、優しく指導していたいただけます!

    [和術慧舟會 GODS]
    http://www.wkgods.com/index.html

    [スポーツジム マーシャルアーツ]
    http://www.martialarts-gym.jp/

    [月刊コミックゼノン] 
    http://www.comic-zenon.jp

    漫画配信サービス『まんが王国』(http://k-manga.jp)にて「ハナカク」電子版も近日配信予定。

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    映画好きで知られる漫画家・巻来功士。
    巻来功士が最新の映画を観賞し、心臓がピクピクするほど感動及び興奮、または憤慨?した作品”心ぴく映画”を紹介するのが 『功士の心ぴく映画コラム』です。

    第五回目にご紹介する映画は『フォックスキャッチャー』。監督は、これまで『カポーティ』(05)『マネーボール』(11)で実在の人物と事件を丹念に描いてきたベネット・ミラー。2014 年カンヌ国際映画祭で見事監督賞を受賞し、先日発表されたアカデミー賞最大の前哨戦と言われる第72回ゴールデン・グローブ賞においては作品・主演男優・助演男優の3部門にノミネート。本作同様に実話を基にした作品がひしめく中、ついに発表された第87回アカデミー賞では主要4部門(監督、主演男優、助演男優、脚本)を含む全5部門にノミネートされました。世界中が注目する第87回アカデミー賞授賞式は日本時間 2 月 23 日(月)米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催されます。
    アカデミー賞も注目の作品を観た巻来巧士の心ぴく度は?

    【STORY】
    レスリングのオリンピック金メダリストでありながら経済的に苦しい生活を送るマーク。ある日、デュポン財閥御曹司ジョン・デュポンからソウル・オリンピック金メダル獲得を目指したレスリングチーム“フォックスキャッチャー”の結成に誘われる。名声、孤独、隠された欠乏感を埋め合うように惹き付け合うマークとデュポンだったが2人関係は徐々にその風向きを変えていく。さらにマークの兄、金メダリストのデイヴがチームに参加することで三者は誰もが予測しなかった結末へと駆り立てられていく。

    心ぴく 219

    第5回「心ぴく(心臓ぴくぴく)映画コラム」は『フォックスキャッチャー』。
    1996年、アメリカ3大財閥の1つと言われるデュポン家の御曹司が、後援していたレスリングの金メダリストを射殺したという実話の映画化です。

    見ている間、終始襲ってくる居心地の悪さを感じていました。それは、普遍的な男の弱さを、鋭い演出で突きつけられてくる居心地の悪さでした。筋肉で武装しているレスリング五輪金メダリストの兄弟。弟マークは、極貧だった幼少期の生活に戻るかもしれないという不安と闘いながら、無心で練習を続けています。平常心では打ち消せない、金メダルを取るという偉業でしか消す事が出来ない、ある意味底なしの弱さを持っているからともいえます。その、必死に打ち込んでいる姿、つまり、もがく苦しむ様がリアルに映し出されます。その弱さに共感するために、居心地が悪くなるのです。

    兄、デイブにその弱さは一見、見えません。しかし家族に良い生活を与えてやる為に、大富豪デュポン家専属のレスリングコーチを引き受け、その後すぐにデュポンから不穏な空気を感じ取っても、資金面などの豊富なその場所から動こうとしない、ある意味、犬と化した弱さが見て取れます。そして、デュポン自身も弱さが服を着て歩いているような存在です。ただ、母に認めてもらいたいだけの幼児みたいに、レスリング施設を作り上げ、金メダリスト選手を金で掻き集め、一定の成果を出すものの、振り向いてくれない母を見て、絶望してしまうのです。屋敷の中や周にいる屈強なボディ―ガードや警官達も、この脆弱な大富豪に尻尾を振る犬のように、弱く頼りない。そんな男の弱さのオンパレードの居心地の悪さは、相当なものがありました。

    この主要三人の生き方、考え方、そして弱さに共感できない男はいないはずですから、居心地が悪く、終始緊張感に満ちているのです。そこまで男の本質を描いた映画なので、見たくない自分を見せられて拒否反応を持ち、まったく受け入れられない人がいるかもしれません。近年、我が国の映画も言論も、辛い真実と向き合うよりも自分に都合が良い妄想に逃げる方が楽、という事を通り越して正しい、というような文化になっているからです。そのような観客が増えた今、素の自分と向き合うようなこの映画は鬼門かもしれません。だからこそ、是非見てください、人間の多面性を理解し、愚かな大きな声に惑わされない為にも・・

    「カポーティ」「マネーボール」という硬質な傑作を連発しているベネット・ミラー監督だけに、人間の光と闇を描いた期待に違わぬ傑作になっていました。音楽を極力排除した静質な画面ゆえに、俳優達の眉の動き1つまでも、ダイレクトにこちらに伝わってくるような、緊張感に満ちた空気が全体を支配しています。

    メダリスト兄弟を演じるチャニング・テイタムとマーク・ラファロが見事です。弟役のチャニング・テイタムは、まるで求道者のようにレスリングに打ち込む姿を、ほとんどの場面を無口に、そして不満そうに演じた表情の演技は素晴らしいです。兄役のラファロも、温かく弟を支えようとする愛情にあふれた演技が絶品でした。兄弟の練習風景も、息ずかいとマットの擦れる音、二人の表情に焦点が合わされ、誤魔化す事が出来ない演技合戦を見せられ、幸福な緊張感に包まれます。そして、デュポン役のスティーブ・カレル。まさか、あのコメディー映画の傑作「40歳の童貞男」の主人公が、特殊メイクでまったく別の個性となって演じているとは!鑑賞している間、まったく気付きませんでした。登場した瞬間、孤独に満ちた大富豪の不吉なオーラが画面全体を支配する名演は迫力に満ちたものでした。

    男ばかりの中で、もっとも暗いオーラを発散しているのがデュポンの母親を演じているヴァネッサ・レッドグレイヴです。絶えず息子を全否定している老婆の演技は、本当に恐ろしいものがありました。この映画の人間関係は下手なホラー映画より怖い!ラストの、突然の悲劇のシーンに至るまでの静かな緊張感とその後の虚無感。劇的に盛り上げないだけに、現実と地続きの怖さが溢れています。

    この数年、邦画は犯罪を基にした実話の映画化が全くありません。当然、こんな硬質で素晴らしい演出の映画はありません。そんな硬質な映画をまったく見た事がなく、過剰な演出(テレビドラマのような)の映画を見慣れている人たちには、かなり違和感がある映画になっているかもしれませんが、これが世界レベルの演出だと受け入れて貰えれば楽しめると思います。そんな、実話映画の傑作です。お薦めです。

    『フォックスキヤッチャ―』の心ぴく度90点です。



    『フォックスキャッチャー』
    監督: ベネット・ミラー 『マネーボール』、『カポーティ』
    脚本:E・マックス・フライ、ダン・ファターマン
    出演:スティーヴ・カレル『リトル・ミス・サンシャイン』、チャニング・テイタム『マジック・マイク』、マーク・ラファロ『アベンジャーズ』、シエナ・ミラー『ファクトリー・ガール』
    2014年/アメリカ/135分/カラー/英語/アメリカン・ビスタ/5.1ch PG-12
    提供:KADOKAWA、ロングライド 配給:ロングライド 宣伝:クラシック
    © MMXIV FAIR HILL LLC-ALL RIGHTS RESERVED.
    HP:www.foxcatcher-movie.jp

    2015年2月14日より、新宿ピカデリーほか全国公開中

    ※巻来巧士『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』ゲストトーク開催、渋谷アップリンク http://manga-style.jp/news/detail/2015021901

    ゾルゲ市蔵-プロフィール画像

    【巻来功士]

    1958年長崎県佐世保市生まれ。1981年、「少年キング」誌で『ジローハリケーン』でデビュー。 「週刊少年ジャンプ」に発表の舞台を移し、代表作『ゴッドサイダー』を執筆。その後、青年誌を中心に『ザ・グリーンアイズ』『瑠璃子女王の華麗なる日々』『ゴッドサイダーサーガ神魔三国志』など数々の作品を連載。 クラウドファウンディング「FUNDIY」にて『ゴッドサイダー・ニューワールド(新世界)〜 ベルゼバブの憂鬱 〜』の制作 プロジェクトを成功させて現在鋭意執筆中。


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    ※『功士の心ぴく映画コラム』では皆様からの巻来先生に観て欲しい映画のリクエストをお問い合わせフォームとTWITTERから受付中。TWITTERでは #心ぴく をつけてつぶやいて下さい。

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    月刊コミックゼノンにて絶賛連載中の『ハナカク』(松井勝法)の最新刊が2月20日(金)に発売。

    『ハナカク』は女子高校生格闘家のタマゴ、安藤花夏(あんどう・はなか)を主人公とした作品。待望の最新刊の帯には『ワンピース』の尾田栄一郎さんが応援イラストとコメントを寄稿。

    注目の“女子格“漫画新刊の発売にあたり、現在活躍中の女子格闘家の選手に『ハナカク』の魅力、”女子格”について聞くインタビューシリーズを慣行。インタビュアーは「赤鮫が行く!」でお馴染み、格闘家でもある近藤哲也が務めます。

    1人目の選手はDEEP JEWELSで活躍中の杉山しずか選手(禅道会/Me,We)です。

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    近藤:格闘技を始めたきっかけを教えてください。

    杉山しずか(以下、杉山):体育教師になりたかったんですけど、現在の中学校の必須科目に柔道や剣道などがなってるじゃないですか。それでコンタクトスポーツやったことがなかったので、やらないとと必要を感じたので大学1年のときに近くにあった禅道会に入ったんですけど、それがだんだん本格的になってしまった感じです。

    近藤:格闘技にドップリと浸かってしまったんですね。好きな練習はなんですか?

    杉山:レスリングとか柔道の『ヒュッ』って投げたり投げられたりする「凄い!」って感じられる練習が好きです。そういう「凄い!」って感じれる練習が好きです!

    近藤:嫌いな練習はありますか?

    杉山:特に無いんですけど、寝技が苦手なんで、ポジションスパーとかが苦手ですね。嫌いな練習ってみんなどんなだろう??

    近藤:サーキットトレーニングとかかな?

    杉山:サーキットは辛くて早く終われ!って思うんですけど、みんなでやることが多いじゃないですか、だから辛いけど達成感の方が大きいんでどっちかというと好きです!

    近藤:『ハナカク』の感想をお願いします。

    杉山:早く続きが読みたいです(笑)絵もはっきりしてて、わかりやすくて可愛くて。本を読んでて「そうそうそう、あるある」ってたくさんありました。

    近藤:好きなキャラは誰でしょうか?

    杉山:眼鏡の子、ふーちゃん。

    近藤:あっ、格闘家じゃないんですね。

    杉山:メインキャラクター達も良いんですけど、でも自分の中でドッカーンと来たのはニナかな。こういう子いますよ(笑)ちょっとオープンなだけで。柔道とかでもいるじゃないですか、頭から落としちゃたりする人。

    近藤:うーん、いますね。

    杉山:格闘技にはそういう非情なことができる強さも必要だと思うんですよ。だからちょっと見習わなきゃって思うところもあるんですよ。

    近藤:確かに強さだけを追い求めるにはいたわりって要らないんじゃないと思うんだよね。練習してても受けてあげなかったり、自分の練習だけをひたすらやるみたいな。選手でいるうちはニナみたいにわがままでもいいと思うんですよね。

    杉山:ニナは慈悲がないですもんね。

    近藤:でも、実際には難しいですよね。

    杉山:はい、みんな仲間なんで酷いことはできないです(笑)

    近藤:杉山しずか選手にとって強さってなんですか?

    杉山:『ハナカク』2巻の中盤で花夏ちゃんとふーちゃんが河原でイジメられたことについて話してるじゃないですか、ふーちゃんの精神的な強さを見習いたいなと。格闘技的な強さって勝つことだと思うんですけど、長い人生で考えるとふーちゃんみたいな強さがいいかなと。学校で教えていると態度の悪い生徒だったりがいるんですけど、そういう子にそういうのをわかってもらいたいなと思って言うんですけど、難しいですね。

    近藤:今はわからなくても、いつかは理解できる時が来ると思うんだけどね。

    杉山:そうですよね!私もそうだったんですけど、いつかわかってくれると思って、言い続けるしかないかなと。

    近藤:最後にファンの皆さんに一言

    杉山:まだ次の試合は決まってないんですけど、一生懸命練習して試合に出ますのでお応援よろしくお願いしいます。『ハナカク』面白いので是非是非!!

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    杉山しずか選手の所属道場

    運動不足解消からプロ志願まで笑顔あふれるジムでゴールを目指そう。

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    ブラジリアン柔術で日本一を決める『全日本選手権』で、2度の団体優勝に導いた山崎剛が、基本から丁寧に指導します。総合格闘技でも『PANCRASE』『DEEP』等に多数のプロ選手を輩出中です。

    [Me,We] http://mewegym.com/

    [月刊コミックゼノン] http://www.comic-zenon.jp

    漫画配信サービス『まんが王国』(http://k-manga.jp)にて「ハナカク」電子版も近日配信予定。

  • 「御堂筋ぃ!」「真波くん!」「巻ちゃん」「青八木ー!」「今泉くんー!」  会場に集まった131人の『弱虫ペダル』ファンが、作者の渡辺航先生に生で描いて欲しいキャラクターを次々と叫んでいく。どのファンの声にも応えたくて苦悩する渡辺先生。意を決して「じゃあ御堂筋描きます!」と発表、会場全体から上がる黄色い声。熱気がインターハイ会場のゴール地点レベルだ。

    手嶋の名セリフ「ティーブレイク!」で乾杯する会場

    手嶋の名セリフ「ティーブレイク!」で乾杯する会場

    『弱虫ペダル』の渡辺先生の公式トークイベント「渡辺航のペダルナイト2~ザ・ペダル新年会!」が、1月19日に東京カルチャーカルチャー(東京都江東区)で開催された。渡辺先生のファンサービス精神の高さから“神イベント”と称された「ペダルナイト」が、熱望に応えて約1年ぶりに復活。前売りチケットは即完売、来場者131人(うち女性129人)には台湾からやって来たファンもいたことからも、イベントへの期待値の大きさがうがかえる。

    右から渡辺先生、司会のカルチャーカルチャー店長・横山シンスケさん

    右から渡辺先生、司会のカルチャーカルチャー店長・横山シンスケさん

    ファンの弱ペダ愛もさることながら、参加してみてわかったのは渡辺先生自身が非常に愛にあふれたマンガ家であるということ。自転車への愛、作品への愛、ファンへの愛……これらが先生のトーク、ライブペインティングなどあらゆる企画を通してひしひしと伝わってくる2時間半だった。明かされた作品の裏話の数々とともに、イベントの様子を紹介しよう。アニメでまだ登場していないシーンにも触れるので、コミックスを読んでいない方々はご注意を。

    会場に集まった131人の弱ペダファン

    会場に集まった131人の弱ペダファン

    トーク中はイベント限定メニューも食べられる。右は巻島の異名「ビークスパイダー」にちなんだ「スパイダートースト」

    トーク中はイベント限定メニューも食べられる。右は巻島の異名「ビークスパイダー」にちなんだ「スパイダートースト」

    ■「練習時間がなくなったらヤバイ」 並々ならぬ自転車愛

     イベントが始まると、渡辺先生は自前のロードバイク・コルナゴC60に乗って笑顔で登場。服装も総北高校の黄色いジャージを着ているなど、のっけから弱ペダワールド全開の先生にお客さんから歓声とフラッシュが浴びせられる。

    先生、チャリで来たー!!!

    先生、チャリで来たー!!!

    渡辺先生は週刊連載を抱えた多忙な日々を送りながらも、サイクリングの練習は決して欠かさないほど自転車好きだという。

    「編集さんにいつも言っているのが、ぼくは自転車を練習する時間が無くなったらもうやばいんで、そこだけは確保してくれといっているんです。毎週カラー描いてくれとも言われるんですけど、ちょっとセーブして……! って話をしてますね」(渡辺)

     その自転車熱の高さはプライベート写真の公開でますます明らかに。サングラスの先生が日本各地でサイクリングしている写真が20~30枚ほど大画面に映し出されていく。先生の地元・長崎のメガネ橋、御嶽山の麓のゴツゴツした山道、愛媛と広島を結ぶサイクリング専用ロード「しまなみ海道」。夏に長崎へ帰省したときは神戸から5日間かけて680キロ走ったそうだ。とにかく走ることへの情熱がはんぱない。

    自転車のプライベート写真を公開する先生。自撮りするときはこの角度が多い

    自転車のプライベート写真を公開する先生。自撮りするときはこの角度が多い

    あるロードレースの写真。奥に見える山に小さな茶色い線が走っていて、「あれもコースなんです」と先生が説明すると会場がどよめく。レースで走りながらあんな遠くまでコースが続いていることがわかっていたら、普通ならば気が滅入りそうだ。

    「走りながらずっと遠くの道を見て、今からあそこへ向かうのかぁって気持ちになるのが好きなんです。あの尾根が終われば下り道になると思っていたら、実はまだ上り道が続いていた、とか。行く前は無理なんじゃないかと思うけど、いざ終わってしまえば『行けば行けるんだな』って達成感に変わる。『オレ生きている』と感じるんです」(渡辺)

     まるで箱根学園のクライマー・真波山岳のような発言。弱虫ペダルのどんな逆境でもキャラクターたちが勝利をあきらめない熱い展開は、渡辺先生の自転車への愛にも直結しているようだ。

    渡辺先生。イベント後半は、箱根学園のジャージに衣装をチェンジ

    渡辺先生。イベント後半は、箱根学園のジャージに衣装をチェンジ

    ■「古賀が勝手に拳を突き上げた」 作家としてのキャラクターへの愛

     総北高校で部員のサポート役に徹していた古賀公貴が、実はかなりの実力者だったことが明らかになる合宿編(坂道2年生時)。1年生のころインターハイのレギュラーだったことを古賀が証明するため、ジャージを脱いで、あらかじめ着ていたインターハイ時のジャージをバッと披露するシーンがかっこよすぎると会場は盛り上がる。司会の横山シンスケさん(東京カルチャーカルチャー店長)にとっては「弱ペダ史上一番」の場面とのこと。

    古賀のジャージ披露シーン

    古賀のジャージ披露シーン

    「こんなシーン誰も想定してなかったですよ。ジャージ on ジャージですからね! そしてみんなに見せつけたあとに『これが一番わかりやすいだろうと思ってな……』とか言うんですよ! 新開の『バキューン』は新開のキャラに書かされたって前のイベントで言っていたように、この古賀のセリフも書かされた感じですか?」(横山)

    「キャラクターに書かされた感じがありますね。古賀はすごくビュンビュン走ってくれるんですよ。肩で風切ったり、手嶋とのスプリント勝負で勝手に拳突き上げたり」(渡辺)

     合宿編でインターハイ出場をかけた戦いに敗れてしまう古賀。しかし「キャラが立ちすぎてたので、描いててインターハイで走らせたいと思ってしまった」と渡辺先生はいう。作家の意向にゆさぶりをかけてくる古賀もすごいが、それほどキャラクターというものと客観的に向き合っている渡辺先生の作家性にも驚かされる。

    葦木場のホクロについても「だんだんハート型になってますよね(苦笑)」と自覚があったことを暴露

    葦木場のホクロについても「だんだんハート型になってますよね(苦笑)」と自覚があったことを暴露

      『弱虫ペダル』のキャラは設定も非常に深い。イベントでは作中で言及されていない裏設定が先生の口から次々と飛び出した。

      「箱根学園の荒北靖友が乗っているBianchiの自転車は、高校1年生のとき福富寿一が乗っていたのをもらい受けたものだった」「最初の合宿で手嶋と青八木が着けている“必勝グローブ”は、2人で1組のグローブを買って片一方ずつはめている」などなど。キャラ同士の絆を深めるエピソードが飛び出すたび、参加者たちも大いに盛り上がる。

      作品の難問を解く企画「ペダル検定」の答え合わせで、総北のインターハイ出場メンバー(坂道2年生時)が並んでいるカラー見開きがスクリーンに映し出された。みんな同じ黄色いジャージを着ているように見える。

    総北のインターハイ出場メンバーのカラー見開き

    総北のインターハイ出場メンバーのカラー見開き

    「実は鏑木くんだけジャージの色を明るく塗っているんですよ。(1年生だから)新しいジャージなんで、同じ黄色でもわざわざ塗り替えてあります」と渡辺先生は告白。細かすぎる……! このように読者が気づかないような細部でもこだわってしまう情熱が、対話できてしまえるほどキャラ1人1人を活き活きさせるのかもしれない。読者が弱ペダキャラに熱狂してしまうのも大きくうなずける。

     弱ペダのスピンオフシリーズ『SPARE BIKE』に次は誰を出すかという話になった。「巻数が行けば荒北をやる可能性もあると思います。田所とか、金城さんとか……」と言う先生に、「必ず金城は『金城さん』って敬語になりますよね(笑)」と横山さんがツッコむ。「年上感半端ないんです。敬語になります」と照れ笑いする先生。自ら生み出したキャラに謙遜してしまう作家性、すごすぎる。

    ■全員への握手からキモッキモッポーズまで 旺盛すぎるファン愛

     極めつけはファンサービスだ。  渡辺先生がその場でリクエストを受けてライブペインティングした色紙の数は8枚。手嶋を描いたら空けておいたスペースに青八木を添え、巻島を描いたら東堂を加えてと、リクエストキャラの隣に関係の深いキャラを、何の前フリもなしに描き足していく。黒田&泉田、古賀&杉本など、ペアが作られるたびに歓声と拍手が起こる会場――先生、熟知しすぎです。

    御堂筋をライブペインティングする先生。どのキャラも50秒くらいと、描くのがめちゃくちゃ速い

    御堂筋をライブペインティングする先生。どのキャラも50秒くらいと、描くのがめちゃくちゃ速い

    黒田の隣に泉田を描き始めた先生。泉田は目から、手嶋は前髪からと、描き始めるところがキャラによって違うのも見どころだった

    黒田の隣に泉田を描き始めた先生。泉田は目から、手嶋は前髪からと、描き始めるところがキャラによって違うのも見どころだった

    一番歓声が起こった古賀&杉元、補給チーム

    一番歓声が起こった古賀&杉元、補給チーム 

    帰りにも参加者131人へ、自筆サイン入りポストカードを1枚1枚手渡し。笑顔で握手して一二言交わす。19歳女性も「イベントに参加して先生の人柄が好きになりました」、30代女性も「すごく気さくで笑顔も素敵でさらにファンになりました」と語るなど、イベント初参加だったお客さんは先生にますます惹かれていた。

    参加者一人一人に握手する先生

    参加者一人一人に握手する先生

    さらには「バキューン」や「キモッキモッ」ポーズを披露するファンサービスも!

    さらには「バキューン」や「キモッキモッ」ポーズを披露するファンサービスも!

     最後はカメラを向けるファンたちに対し、人差し指を突き出して新開の「バキューン」、さらには両腕をL字に構えて御堂筋の「キモッキモッ」と、作中の名ポーズを連発。こちらの期待をいい意味で裏切り続けた挙句、「今日はありがとうございました!」と丁寧におじぎしてくれる先生に、参加者たちも惜しみない拍手を捧げた。退場の際もみんなに笑ってハイタッチをしていく。畏敬の念や親しみを感じられずにはいられない。

     自転車への愛、作品への愛、ファンへの愛、いずれも並々ならぬものがあった渡辺先生。『弱虫ペダル』の熱量の高さにうなずき、そして先生ごと作品を一層好きになってしまうファンイベントだった。早くも第3回目の開催が待ち遠しい……!

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    [執筆=黒木貴啓(マンガナイト)]

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    2月6日(金)13:00 ~2015年2月26日(木)まで、下北沢「yonpo」にて、新井英樹さん原作『SCATTER』6巻刊行を記念して原画展が本日6日より開催。『宮本から君へ』『ザ・ワールド・イズ・マイン』『キーチ!!』など、圧倒的な筆致で描かれる新井作品は多くのファンから熱狂的な支持を得ています。最新作『SCATTER』の貴重な原画展示の様子をレポートします!

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    yonpoは漫画家のイラストを使用したTシャツを多く販売する店舗。朝倉世界一さん、カネコアツシさん、鬼頭莫宏さん、ダーティー・松本さん、寺田克也さん、三宅乱丈さん、羽生生純さんなど多くの作品を取り扱っている。

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    新井英樹さんの貴重なサイン本も販売。

    新井英樹さんの貴重なサイン本も販売。

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    yonpoの店主の玉井さんにこの度の原画展についてお伺いしました。

    Q ・今回新井英樹さんの原画展を開催するにあたってのきっかけを教えて下さい。

    玉井: 『SCATTER』が好きで、今回6巻が出たのをきっかけに原画展をしたいと思いました。新井さんの原画を見てみたいと思っていたので良いきっかけになりました。

    Q  新井作品の魅力はどこでしょうか?

    玉井: 残虐な暴力描写があったかと思えば、人の心に訴えるようなグッとくるシーンがあったり、先が読めない展開に魅力を感じます。『SCATTER』はこれまでの作品の中でも縛られることなく好きに描いてるような所も魅力的です。

    Q  yonpoでは多くの漫画家Tシャツが発売されていますが、セレクトのポイントはどこでしょう?

    玉井: 自分が好きな漫画家さんのものを作っています。作ってる漫画家さんの作品に魅力があるので自ずと、好きな人が集まるんだと思います。最新の発売したものはカネコアツシさんの作品『BAMBi』のTシャツや、去年話題になった『あれよ星屑』の山田参助さんのTシャツもあります。

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    新井英樹さんの「SCATTER」サイン本は残りわずかですが購入可能との事。
    他にも、ポストカード4種と、2月13日(金)から『ザ・ワールド・イズ・マイン』Tシャツが店舗にて販売。ファン垂涎のアイテム、是非この機会にチェック!

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    『ザ・ワールド・イズ・マイン』2月13日(金)から店舗で発売。yonpoWEBサイトでは現在予約受付中。

    『ザ・ワールド・イズ・マイン』2月13日(金)から店舗で発売。yonpoWEBサイトでは現在予約受付中。

    [yonpo]
    住所:東京都世田谷区北沢2-12-2 ミナナミコーポ105
    電話:070-5576-3680
    営業時間
    平日11:00〜17:00
    土日祝13:00〜19:00
    定休日 不定休 ※定休日はyonpoのサイトを確認
    HP: http://yonpo.info

     [執筆・撮影 木瀬谷カチエ]

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    映画好きで知られる漫画家・巻来功士。
    巻来功士が最新の映画を観賞し、心臓がピクピクするほど感動及び興奮、または憤慨?した作品”心ぴく映画”を紹介するのが 『功士の心ぴく映画コラム』です。

    連載四回目は『メカニック』『エクスペンダブルズ2』をメガヒットに導いたアクションスター、ジェイソン・ステイサムと、サイモン・ウェスト監督コンビの最新作『WILD CARD/ワイルドカード』。ジョーカー(切り札)が切られた瞬間から息もつかせぬスリリングな展開で、驚愕のクライマックスまでノンストップで突っ走るハイグレード・クライムアクション。話題の最新映画を観た巻来功士の心ぴく度は?

    【ストーリー】 凄腕用心棒VSラスベガス最凶マフィア
    ラスベガスの裏社会で用心棒を生業とする元エリート兵士のニック(ジェイソン・ステイサム)。ある日、何者かに酷い暴行を受け瀕死の重傷を負った元恋人から、正体を突き止めて復讐してほしいとの依頼が舞い込む。ラスベガスの表も裏社会も熟知しているニックは、すぐさま犯人を見つけ出し、瞬く間に依頼を完遂させる。しかし、犯人の背後には、強大な権力でラスベガスを掌握する凶悪マフィアの存在が…窮地に追い込まれたニックの命を懸けた戦いが今始まる―!

    ワイルドカード
    第4回「功士の心ぴく(心臓ぴくぴく)映画コラム」は誰が何と言おうと、紛れもないハードボイルド映画の傑作『WILD CARD/ワイルドカード』です! ジェイソン・ステイサム主演、サイモン・ウェスト監督が。とうとう自己ベストの映画を作り上げてしましました。 上映時間90分!まるで、上質の短編ハードボイルド小説を読み終えたような至福の時間を味わえる作品です。

    主人公は元軍人で、ラスベガスの用心棒ニック。快楽都市ラスベガスとステイサムの相性が抜群です。普通にマフィアが生活し、コールガールが跋扈してもまったく違和感が無い街。そこで、些細なことからトラブルに巻き込まれる用心棒ニック、まさにアメリカンハードボイルドの定石を踏んだ見事な展開です。 私が苦手な、アクションシーンばかりの映画「トランスポ~」のような漫画的展開はほとんどなく、心に傷を持つ凄腕の主人公が、厄介事に巻き込まれ、自分の将来に悶々としながら、ギャンブルにのめり込み、マフィアと一戦交える様はまさに、男!どうしようもない男のサガそのものを描いて共感必死でした。 私が大好きなノワール(暗黒街映画、ギャング映画)感も、全編を覆っていて、出てくる女性が綺麗でタフでカッコいい、女性にも必見の一本だと思います。
     
    なぜ、これまでアクション映画を作り続けてきたステイサム、ウェストコンビが本格的ハードボイルド映画を完成する事が出来たのかと不思議でしたが、脚本家の名前を見て納得しました。名作「明日に向かって撃て」「大統領の陰謀」の脚本家ウィリアム・ゴールドマンの久々の新作だったのです。 だから、というか余談ですが、私が大好きなハードボイルド映画「800万の死にざま」の主人公マット・スカダーが、アルコール依存症という人間臭い弱点を持っていて、それが物語の支柱に成り、より深い人間ドラマを形成していたように、本作のステイサムにも~依存症というものが取り憑き、それに悩むという深い人間性をも描く事に成功していて、私の心(心ぴく)にまで直撃したのだと思います。

    そして、まるで天使(?)のように主人公の周りを浮遊するような若者の存在感、それが元でのラストの凄絶でリアルな殺し合い!素晴らしい演出です。何から何まで見事です。上映館は少ないですが、多くの人達に観て貰いたい、近年にないハードボイルド映画の傑作です。
     
    私の大好きなステイサム映画「ロックストック~」「バンクジョブ」「アドレナリン1・2」の中でもトップクラスで大好きな映画になりました。いわゆるアクション俳優ステイサムのファンよりも、本格ハードボイルドファン。ノワールファン。女性ファンに観て貰いたい傑作です。この主人公ニックが活躍する続編を絶対見たい!脚本はもちろんウィリアム・ゴールドマンで!そう願った超お薦め作です。是非ご覧ください!!

     『ワイルドカード』の心ぴく度90点です!いや、私的には、もっと高いかもしれません!

    出演:ジェイソン・ステイサム、ソフィア・ベルガラ、スタンリー・トゥッチ

    監督:サイモン・ウエスト

    原作・脚本:ウィリアム・ゴールドマン

    アクション監督:コリー・ユン

    プロデューサー:スティーヴ・チャスマン

    PG12
    2014年/アメリカ映画/92分/シネマスコープ/5.1ch/
    原題:WILD CARD/配給:クロックワークス 
    © 2014 SJ Heat Holdings, LLC All Rights Reserved  

    公式サイト wildcard-movie.com

    2015年1月31日(土)新宿バルト9 ほか全国ロードショー!

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    【巻来功士]

    1958年長崎県佐世保市生まれ。1981年、「少年キング」誌で『ジローハリケーン』でデビュー。 「週刊少年ジャンプ」に発表の舞台を移し、代表作『ゴッドサイダー』を執筆。その後、青年誌を中心に『ザ・グリーンアイズ』『瑠璃子女王の華麗なる日々』『ゴッドサイダーサーガ神魔三国志』など数々の作品を連載。 クラウドファウンディング「FUNDIY」にて『ゴッドサイダー・ニューワールド(新世界)〜 ベルゼバブの憂鬱 〜』の制作 プロジェクトを成功させて現在鋭意執筆中。


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    MangaStyle掲載の立花さんへのインタビューをパネルにして展示していただいてます。

    MangaStyle2014年11月掲載の立花さんへのインタビューをパネル展示していただいてます。

    2015年1月26日 〜 2月7日に銀座・ヴァニラ画廊にて開催中の写真展『女装の軌跡と幸福論』。女装写真家であり女装コーディネーターとしても活躍中の立花奈央子さんの最初期の作品から最新のプロジェクトまでを展示する写真展です。

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    MangaStyle編集部は昨年11月に個展開催情報と共に立花さんにロングインタビューを慣行。これまで1000人に及ぶ女装写真を撮影してきたという立花さんが思う女装論を語っていただきました。

    インタビューから2ヶ月後の2015年1月にいよいよ本写真展が開催、31日には、ゲストに加茂碧唯さん(アイドルグループ「恥じらいレスキュー」メンバー)、レディビアードさん(ヒゲ女装パフォーマー)宮田徹也さん(美術評論家)を迎え立花さんとのクロストークイベントが行われました。

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    宮田: 女装というテーマに至った経緯を聞かせていただけますか?

    立花: 私は子供の頃から派手な衣装やお化粧に凄く憧れがありました。そういうものってゲイカルチャーにおけるドラァグクイーンがまさにそれにあたる存在で、強い憧れを持っていました。
    18歳で就職してすぐに新宿二丁目で遊び始めたんです。ゴールデン街でバイトを始めた時に出来た繋がりの中に凄く素敵な女装の方がいらっしゃったんです。いつも自分が思う自由なファッションをしていて、本人も凄く上品で格好良いなと思っていました。その頃の女装というのは今ほど綺麗なメイクではなく、極端な衣装やメイクが多くて女装=変態趣味というイメージが強かったんです。確かにそういう見え方はあるんですけど、やりたい事をやれないという風潮をみていてなんか悔しいと思ったんです。でもそういう事って言葉にしても中々変わらないから、じゃあ私が実際にメイクして綺麗な女装の人を増やしていったら世の中の見る目も変わるかなと思ったんです。

    当時mixiとかで女装してみたい人の募集して、実際に会って片っ端からメイクしていったんですが、そうしたらものすごく喜ばれて、今までやる人が居なかったんだなって気がついて後に仕事にするようになりました。

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    立花: 何か物事を変えようとする時に、理論武装して言葉を一杯使ってしまいがちで、セクシャルマイノリティのジェンダー論を戦わせている人達って一所懸命に難しい言葉を使って自分達の居場所を勝ち取ろうとしているんですけど、言葉の正しさだけでは何も伝わらなくて、人間は価値観が違う人が沢山いるし、分からない人は分からない。でも人としてきちんとしていたら必ず味方は少なからず現れてくれると思っているんですね。
    こういう風にいろいろなものを創って出すというのは色々な人達がいて、それぞれの形で生きてますよというのを見せるのが一番私にとっては良いやり方なのかなと思ったんです。

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    立花: 展示の中で一つだけ人が映ってない写真があります。この写真は私の友人の実家の写真なんですけれども、この子はもうこの世には居なくて、写真はお母さんの許可をもらって撮影しました。この部屋に住んでいた子は生まれつき心が女の子で、結局性転換までするところまでいったんですね。性転換はしたんですけど、それが人生のゴールみたいになっちゃってたんです。トランスジェンダー界隈の人達はいかに女性になるかという事を目標にしがちで、そこから先どうやって生きるかという軸を立てられていないケースが結構多いんです。残念ながら彼女もそういうかんじで、女にはなったけれども、この先どうするかというと自分を認めてくれる存在として、男性に全部自分を委ねちゃったんですよ。そうすると男性に受け入れられなかった時に自分の全てが否定されてしまったような気になって、上手くいかなかったのは自分が男だったせいだって考えたりするようになるんです。
    確かにそれは一つの原因だったかもしれないけれども、でも自分の心の持ち方次第でいかような生き方も選べるんだと思います。今会場に展示されている写真というのは、生き方の一つして私なりの答えではあるんです。

    彼女は一番の理解者であるお母さんがいつも傍にいたんですけど、結局自分を肯定出来ずにこの世に別れを告げる事を選んでしまいました。お母さんは「男でも女でもいいから生きていてほしかった」とずっと後悔しているので、本当に切なくて。生きるのが辛いからと言って死んだら駄目で、他の人に何を言われたからってそれで自分の可能性を狭めてしまうことは無いと思います。自分の芯さえあれば何でもやりたい事はやれると思っています。

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    第2部にはゲストの加茂碧唯(あおにゃん)さんとレディビアードさんが登場。

    立花: あおにゃんとの出会いは「ゆりだんし」の時にモデルをやってもらったのが最初で、ツイッターにすげー可愛い子がいると思ってナンパしたのが始まりでしたね。頼んでみたらものすごいモデルの才能のある子でそれ以降もお仕事を頼むようになりました。今回の写真展のカパー写真のモデルも務めていただいたりとお世話になってます。

    加茂: お声掛け戴いて有難うございます。

    立花: ビアちゃんの方はアメリカ人で俳優をやっている友人の紹介を受けて知り合いました。ビアちゃんは周りの人が楽しくなるから女装するんだよね。

    ビア: ハイ、みんなの楽しい、元気のかんじ、いつも私のフォーカスデスネ。ワタシ男性のかんじアル、もし女装したらみんなに面白いデスネ。

    立花: 男性性があってギャップがある方が面白みが増すからこのスタイルなんだよね。だから髭とツインテールは大事。

    ビア: 凄い大事。トレーニングも凄い大事。

    立花: あおにゃんはどうやったら女装になるんだと思う?

    加茂: 自分の場合は心に女性の服を着るかんじなんですよね。今回の写真展のカバー写真みたいに何も着てなくても、女性性を表現出来たらと思ってます。

    宮田: 初めてあの写真を見た時はおっぱいがあるように見えました。

    立花: ビアちゃんは撮影の時に可愛いポーズをして撮影されるときとかは何を考えてるの?

    ビア: 可愛いのポーズの時は、一番大事なポイントはスマイルで凄いエクストリーム必要ネ。ハッピーのコミュニケーションの事ネ。お客様と連絡の事が一番大事デス。

    立花: 愛嬌は大事ですね。どんなに顔が散らかっててもいつもニコニコしていたら周りも嬉しくなるし、可愛いなって思われたりするんで。私は女の子がおいしいご飯を食べてる時とか好きなんですけど笑。

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    立花: ビアちゃんは本物のアイドルだと思うんですよ。アイドルってお客さんを幸せにする事、元気にする事が仕事なんですよね。可愛いだけではなくて、自分のライブをみてもらった人に幸せになって帰ってもらうとか。ビアちゃんはやってる事がまさしくアイドルでしかもプロ意識が非常に強いんですよ、お客様の事を考えて楽しい感じ、幸せな感じをあげたいといつも考えてるから。

    ビア: that’s right、一番大事。

    立花: 女装としてはアウトサイダーだけども(笑)、アイドルとしてはまさに王道を行ってるんだと思います。

    あおにゃんは”男の娘”として王道だよね。”男”の”娘”と書いて”男の娘”。一般的には女の子にしか見えない男の子、でも本人は男という定義がありまして、それでいくとあおにゃんは男としての要素を残しつつ、女にしか見えないという要素も持ち合わせていて時代のアイコンにふさわしいのではないかと思います。

    こういうシンボル的に活躍できるモデルさんに共通しているのは、フォーカスが自分自身ではなく他の人の事を考えているんですね。どうやって自分を見せていくかという客観的な事をいつも考える事が出来るから、メッセージとして伝える時に非常に写真が強くなる。
    よくモデルとして使って下さいという人がいるんだけど、そういう人は可愛い自分の写真だけ使って欲しいみたいな事があったりして、作品にはあまり使えない事が多いんですが、この二人はいつも全部私に任せてくれてます。
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    会場の立花さんの作品には展覧会の表題「幸福論」のとおりに、女装した人達の幸せそうな姿が映し出されているのが印象的でした。
    女装という世界の物珍しさだけではない生き方の一つが映し出されています。写真展は今週7日(土)まで、銀座ヴァニラ画廊にて開催中。

    加茂碧唯さんは今後女性アイドルグループ「恥じらいレスキュー」唯一の男性メンバーとして参加しメジャーデューも決定。レディビアードさんは現在発売中の週刊プレイボーイにグラビアページが掲載とのこと。時代のアイコンともいえる女装を代表する二人の活躍も是非チェックされて下さい。


    立花奈央子(たちばな なおこ)

    女装コーディネーター、フォトグラファー、メイクリスト。 株式会社オパルス代表取締役。
    「フォトスタジオ大羊堂」を経営し、テレビ・雑誌等でも女装のスペシャリストとして活躍。 女装撮影や女装講座講師を行う中で、これまで手がけた男性は ジャニーズ所属のトップアイドルから70歳のベテランまで、のべ1000人を超える。
    より多くの人が性別に関する固定観念から脱し それぞれの自由と幸せを見出す契機とするために、 女装者の写真を撮り続けている。

    立花奈央子展「女装の軌跡と幸福論」
    開期:2015年 1月26日[月]~2月07日[土]
    会場:ヴァニラ画廊 新画廊 展示室 A
    住所:東京都 中央区銀座八丁目10番7号 東成ビル地下2F
    http://www.vanilla-gallery.com/archives/2015/20150126a.html

    時間:月~木曜12:00~19:00、金曜12:00~20:00、土、日曜12:00~17:00
    料金:500円

    ★刊行物

    2010年9月 「コスプレイヤーのための2.5次元フォトレタッチガイド」(株)アスペクト

    2011年12月 男の娘写真集「TRAP」(株)ミリオン出版

    2013年7月 女装男子写真集「ゆりだんし」(株)マイウェイ出版

    2014年5月 ヒゲ女装アイドルLadyBeard写真集「Sing,Dance,DESTROY!!」

    ★展示

    2009年3月 東京・新宿にて個展「彩色絢美」

    2010,11,12,13,14 東京・渋谷にて合同展「ポートレート専科2010」

    2011年12月17日~2012年1月15日 東京・原宿にて個展「七彩鑽石」

    2013年9月24日~10月6日 台湾・台北 littleMOCA にて個展「巡回展in台北 百合男子」

    作品サイト → http://crossdressjapan.com

    フォトスタジオ大羊堂:http://taiyodo.in

    立花奈央子 Twitter:@taiyodo_boss 

    碧唯くんTwitter:@ao_nyan_nyan

    Ladybeard Twitter:@Ladybeard_Japan


    [執筆・撮影 木瀬谷カチエ]
    ※会場写真の一部は立花さんからお借りしました。

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    1月13日、世界の新人漫画家を発掘する「サイレントマンガオーディション」の授賞式が行われた。新年会も兼ねたこのイベントには『月刊コミックゼノン』の関係者や漫画家などが集い受賞者に大きなエールを贈った。

    「サイレントマンガオーディション」はセリフを一切使わずに、漫画表現における演出力を競うオーディション(コンテスト)だ。2012年の第1回から世界に応募を呼びかけたところ53の国と地域から514編が集まり、第2回のサイレントマンガオーディションでは65の国から609編の応募があった。第3回の募集もすでにスタートしており、前回を上回る数の作品が集まるのではないかと期待が寄せられている。

    このオーディションの注目すべきポイントの1つは、応募した作品だけで判断するのではなく描き手の「総合力」が問われる独自の評価システム。描き手に同賞の受賞歴やサイトでの読者の反応に応じてポイントが付与されるという「クラス制度」を導入しているのだ。

    クラスは3つに分かれている。SNSなどを通じ創作活動を支援する「ライジングクラス」、より上位を目指す応募者たちのリーグである「メジャークラス」。さらに努力賞以上の複数回受賞歴および15ポイント以上を保持する「マスタークラス」だ。マスタークラスでは、プロの漫画家や編集者に意見を仰いだり、メンバー同士でディスカッションしたりすることが可能だという。

    ラス制度についてのスライド。

    クラス制度についてのスライド。

    今回の授賞式では、第1回、第2回のサイレントマンガオーディションで獲得ポイント数が上位10位に入った初代マスタークラスが招かれた。

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    ヴィンセント・ランゲ。

    ヴィンセント・ランゲ

    マスタークラスランキング1位に輝いたドイツのヴィンセント・ランゲは、第1回で『別れと始まり(邦題)』が準グランプリ賞、第2回に『バスの時間(邦題)』が準グランプリ賞を獲得。壇上挨拶では「サイレントマンガオーディションに関わる全ての人に感謝を申し上げたいです。参加している仲間達の素晴らしい漫画にも尊敬と愛を」とコメントした。

    北条司さん。

    北条司

    審査委員からの挨拶で北条司は「僕が初めてこうした授賞式に参加したのは30年以上前で、その頃は海外を相手に日本の漫画を広げられるなんて夢にも思わなかったです。今や海外の方が日本の漫画のセオリーで漫画を描いている。これが30年後になったらどうなっているのか、夢があります」と未来への胸の高鳴りを見せた。

    次原隆二さん。

    次原隆二

    「審査会に参加して、日本の漫画がこうして世界に轟いているのが信じられない気持ちです。漫画は世界の共通語だとみなさんから教えてもらった気がします。受賞者のみなさんにはさらに色んなテーマに挑戦して欲しいです」と同じく審査委員を務めた、『よろしくメカドック』などで知られる次原隆二。

    原哲夫さん。

    原哲夫

    原哲夫の挨拶では「海外のみなさんは絵が上手くて若いし、これからどんな作品を描いて輝いていくのか楽しみにしています。ただ、僕は(『北斗の拳』で)“ひでぶっ”とか“あべし!”で食べてきたからサイレントマンガに反対です」とコメントし、この日一番の笑いを誘った。

    堀江信彦社長。

    堀江信彦社長

    さらに堀江信彦社長による締めの挨拶では「漫画文化を世界に発信し続けていくため、世界の読み手に対し、作り手と送り手が一体となって素晴らしいコンテンツを広げられれば」と、よりグローバルな展開を視野に入れた発言も。

    会場には(おそらく新年会に招かれた人が連れてきたであろう)漫画家を目指す海外の人も見かけた。話しかけてみると「まだプロじゃないけど漫画家になるべく絵の練習を頑張っている。今日来てみて、もっとやらなくちゃと思った」と、にこやかな表情。サイレントマンガオーディションの名が世界に広く知られれば、驚くような才能を目の当たりにする日が来るかもしれない。今後もどのような作品が応募されるのが期待しながら見守りたい。

    [取材・構成=川俣綾加(マンガナイト)]