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  • 目標の180万を達成!(8月25日時点)

    目標の180万を達成!(8月25日時点)

    かつてチャンピオンで連載していたSFバトル漫画「バーサスアース」。

    諸事情により本誌での連載が終了した後、なんと原作者の一智和智先生がpixivで続編「バーサスアース・ウォーハンマー」を執筆する、という展開が大きな話題になった。そして現在は最終章の執筆に向け、クラウドファンディングサイト「FUNDIY」でその制作資金を募っている。(※8月25日時点で既に180万円の目標金額は達成)

    そんな数奇な運命を辿っている漫画「バーサスアース・ウォーハンマー」の作者・一智和智先生にまんがstyle編集部が話を聞いてみた。


    「バーサスアース」は”陣地取りゲーム”のような漫画

    本日はよろしくお願い致します。まず一智先生が初めて読んだ漫画を教えて頂けますか?

    一智和智先生(以下一智):小さい頃は「キン肉マン」が好きでしたね。あと、車田正美先生が「聖闘士聖矢」の前に描いていた「風魔の小次郎」って漫画も大好きでした。 親父が仕事場からよくジャンプを持ち帰ってくれて、それをよく読んでいましたね。

    初めて漫画を投稿したのはいつ頃でしょうか?

    一智:中学3年生の頃に初めて投稿しました。それからずっと描き続けていて20歳でデビュー、それ以降は漫画の収入だけで食べてます。

    一智先生は漫画家としてデビューされていますが、今回お話をお聞かせ頂く「バーサスアース」では原作を担当されています。この作品が誕生した経緯をお聞かせ頂けますか?

    一智:元々は編集担当と2人で作っていました。「バーサスアース」のネームを初めて見せた時、その担当のウケがすごく良かったんです。それで連載に向けて動いてくれたのですが、結局編集長からはボツを喰らってしまい、連載にあたって変更プランを色々と提示されました。ただ、それ案を取り入れると初めに構想していた内容と変わってしまうな、という葛藤があって…。

    バーサスアース第一巻

    バーサスアース第一巻

    どういった案だったのでしょう?

    一智:具体的には、主人公のキャラをもっと立たせろ、という指示でした。 「バーサスアース」の主人公はどちらかというとフラットな、不特定多数の人が感情移入できるキャラとして描いていました。 ただ、最近の漫画の主人公って、例えば内向的なキャラであれば、目の前にあるコーヒーを飲むにしても「コーヒーをどうやって飲もうかな、砂糖を4つ入れたらおかしな人だと思われないかな?」というように、些細なことに対しても内面描写を非常に細かく入れる傾向にあるんですよね。逆に外交的なキャラであれば「お前は俺が守る!」と分かりやすく何度も叫ぶ、みたいな。 だけど、序盤にそういうことをたくさんやるとどうしても物語のページ数が多くなってしまって勢いが失われてしまう。僕は担当の編集さんに見せた時のファーストインプレッションを大事にしたいと考えていましたので、そこは変えたくないということで交渉しました。それで最終的に、「絵の上手い新人がいるのでその人を作画にする」ということで、渡辺(義彦)君を紹介されて連載に至りました。

    別に作画をつけるということには抵抗はなかった?

    一智:そうですね、渡辺君とはウマが合ったのか、僕が盛り上げて欲しい部分は何も言わなくても盛り上げてくれるような感じでした。なので作画については非常に満足しています。

    「バーサスアース」を作るにあたってのこだわりはどこでしたか?

    一智:僕はバトル漫画って最初に敵を作るべきだと考えているんです。バトル漫画って、どうしても主人公のカッコいい技や武器を最初に考えがちなんですが、その技や武器でやられる敵が絶対にいますよね。その敵を倒すために武器が作られる訳ですから、敵がイメージできていないと武器自体が説得力に欠けると思っていて。それで先に面白い敵を考えようと。「バーサスアース」の敵は、最初から”喋らない””動かない””分かりやすい見た目”ようにしよう、と考えていました。

    なるほど!それであの柱の形状になったわけですね。

    一智:そうです。要は陣地取りゲームのようなバトル漫画にしたかったんですよ。マス目の陣地上で突然柱が出現したり、それを主人公たちが予測して迎撃するようなね。実際にその展開は序盤で描いていますが、満足できたシーンの1つです。

    お話を聞いていると非常に合理的にストーリーを構築されるタイプの気がします。

    一智:本来の性格は全く違うんですけどね。だからこそ「どうしてこうなるんだよ」みたいなツッコミを受けないためにも考えてしまうところはあります。

    ≫連載終了、pixivで復活、そしてクラウドファンディングへ

  • 昨今でWEB漫画サイトが増えていますね。個人・企業問わず数多く存在するWEB漫画サイト、しかもその多くは無料で読めるため、毎日楽しませてもらっています。 漫画好きにはたまらない時代ですが、昔の自分に教えてあげても信じられないだろうな…。

    しかしタダ読みしてるだけでは申し訳ない!ので、少しでも多くの人に読んで欲しいという「おススメWEB漫画」をご紹介していきます。

    なお基本的には無料で読めますが、作品によっては1部無料公開になっていますのであしからず。

    それではどうぞ!

    今、編集部的に熱いWEB漫画5本を紹介!


    • 作品ページを見る

      1位しんそつ七不思議 / かふん

      「ワンパンマン」リメイク版や「ALL NEED IS KILL」といったビッグタイトルから 「黒」、「アナーキーインザJK」といった独自のフェティシズムを放つ良作を生み出している「となりのヤングジャンプ」に掲載。 さすがジャンプだけあり、作品レベルはどれも高いのですが、中でもイチオシが今作「しんそつ七不思議」です。

      田舎の食品容器メーカー会社に新卒入社したゆとり世代の3人が、おっとり系おじさん上司とセクシー系お姉さま上司の下で初めての社会人生活を送る、といういわゆる日常系WEB漫画。

      とにかくこの作者、絵が抜群に上手い!特にセクシー系の女の子を描かせると他に類を見ない不思議な魅力を持っています。

      かふんファンには知られる「かふん昔ばなし」の独特なギャグのキレは健在で、そのまま本誌掲載されてもまったく遜色ない完成度だと思います。今後にも期待ですね。


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      1位堕天作戦 / 山本章一

      「裏サンデー」にて開催された連載投票で1位を獲得、同サイトで華々しくスタートした今作。

      強烈なインパクトを持つ挑戦的な漫画が多く連載されている印象の「裏サンデー」ですが、本作も同様です。

      舞台は人間と魔軍の戦争が延々と続いている世界。主人公は「不死者」と呼ばれる不死身の体を持つ人間(?)です。主人公を捕らえた魔軍は、2ヵ月に及んで様々な処刑を試すも全く死ぬ気配がないため、ついに「気球に縛り付けて大気圏まで打ち上げる」という前代未聞の処刑を執行。

      1~2話目は、主人公と一緒に無理矢理打ち上げられた魔軍の少女・リコベルが、文字通り”死に向かって”大気圏へ上昇していくシーンで構成されています。高度が上がるにつれ衰弱・錯乱していくリコベルと不死が故に生きる意志を失った主人公の壮絶に切ない対比描写は、美しく圧巻の一言です。

      その後のストーリーにも重厚な謎や伏線が散りばめられており、とてもいい意味で「進撃の巨人」的な要素を持った作品ではないでしょうか。今後のブレイクに期待です。


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      1位俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。/ さかなこうじ

      月刊コミックゼノンなどを刊行する新潮社が運営する「くらげバンチ」にて掲載。ラノベっぽいタイトルとキャラクターデザインから「萌えプロレスかな?」とタカをくくっていたのですが…全くの大間違い。

      これはプロレスファンを十分に満足させる内容です!

      時代は90年代中期の闘魂三銃士全盛期、新日を愛する主人公が高校にプロレス同好会を作ろうと目論見ます。

      そして登場するメンバーが

      ・大仁田信者でデスマッチ好きの教師

      ・女子プロ派でルチャ使いの男の娘

      ・リングス派でデータ主義の腹黒女子

      ・全日(ハンセン)派でニワカのヒロイン

      と、プオタの性格を体現したキャラばかり。活動方針を巡って各々の理想がぶつかる様子は、同じプロレスファンでも全く異なるという複雑性を改めて実感させられました。

      最新話では、「おんどれはプロレスを線で結んだことがあるか!?」 「レスラーもそう見てほしいに決まってるんや!」 という、”めんどくさいプロレスファン”の極みのようなセリフまで飛び出してます。

      レスラーを描いた漫画は多々あれど、ファンの実態をここまで描いた漫画はなかったのでは?今ではすっかり月1回の更新を待ちわびています。


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      1位さいはて -Daydream Attractor-/ 小林銅蟲

      WEB漫画の文化遺産「ねぎ姉さん」や、世界初の巨大数漫画「寿司 虚空編」で知られる小林銅蟲の連載作品。「pixivコミックス」にて連載されています。

      作者の魅力でもある不条理・シュールさは今作でももちろん健在。完全に意味不明です!

      ただ「寿司~」の”理系的不条理さ”に比べると、「さいはて」はファンタジー的な物語要素が見え隠れしますので、小林銅蟲を初めて読む方には今作から読むことをおススメします。

      そして一度ハマればもう普通の漫画じゃ飽き足らなくなるかも!


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      1位Final Re:Quest -ファイナルリクエスト- / 日下一郎

      ニコニコ静画内にある「水曜日のシリウス」にて連載されている今作の特徴は、なんといっても全ページ「ビット」だけで描かれていることに尽きるでしょう。その半端じゃないクオリティのビット美と、ニコニコ静画だから活かせる「8bitサウンド」の効果が相まって、「俺はファミコンしているのか?漫画を読んでいるのか?」という錯覚に陥りそうになります。

      ストーリーのテーマは、「主人公がいなくなったRPGのその後の世界」。ここでの主人公とは当然、昔RPGをプレイしていた”僕たち”です。

      僕たちが遊び終えたゲームの中で不幸にも目覚めてしまった老戦士が、バグだらけの世界を旅しながら自分の存在する世界の真実へ近づいていく物語。 帰ってくるはずのない主人公を追い求める感情が、憧れから次第に呪いへと変化しつつある老戦士の姿は、かのジムキャリーの名作「トゥルーマンショー」を彷彿とさせます。

      全ての元勇者に捧ぐ、勇気と再出発の8bitファンタジー!!というキャッチコピーにまったく嘘偽りなし!


    • という訳でまんがstyle編集部おススメのWEB漫画でした。

      今後も面白い漫画があればどんどん紹介していきたいと思いますのでチェックして下さいね。

  • 夕希先生-プロフィール画像"

    「夕希実久」プロフィール


    漫画家。「リトル・マエストラ」(マーガレット)、「チャイルド・キャッスル」(マーガレット)など。

    Pixiv:ゆうき
    twitter:夕希実久@_Miku_Yuuki
    まんが王国配信ページ:チャイルド・キャッスル

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    手塚るみ子さんをホストに迎え、毎回ゲストから自分の分岐点となった局面を伺い、 創作の秘密を掘り下げていく対談企画・Crossroad。

    第三回目のゲストにお迎えしたのは、漫画家の松田奈緒子さん。現在『月刊!スピリッツ』誌上にて女性漫画編集者を主人公にした話題の作品『重版出来!』を連載されています。

    雑誌『コーラス』でデビュー以来、女性向け漫画を中心に発表し続けていた松田さんですが、近年青年誌へと発表の場を広げて以降、さらに多くの読者の目に触れる作品を執筆されています。

    松田さんの”自分の分岐点となった局面”とは?『重版出来!』の担当編集者、山内菜緒子さんも交えて、会話が始まりました。


    恋愛ものより「働く女の人」の少女漫画が好きだった

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    松田:この絵は、『はいからさんが通る』(大和和紀)を読んでいたときの絵です。私が小学校の四年生か五年生の頃ですね。当時は団地の五階に住んでいたんですけど、友だちが『はいからさんが通る』の単行本を貸してくれまして、母親が仕事から帰ってくるのが、だいたい夕方六時くらいなんですが、辺りが暗くなっても、漫画を読みふけって母親が帰ってきて「あんた、こんな暗いところで何しよってね」と言われて、我に帰ったりして(笑)。それで「どうして私はこの漫画の世界の中にいないんだろう…」と思っていました。 当時の出来事が、漫画家になろうと思ったきっかけになっている気がします。

    手塚:漫画っ子だったんですね。

    松田:今ならDVDとか観ていると思うんですけど、当時の長崎県(松田さんの出身地)にはレンタルDVDもないし、そもそもビデオデッキすらない。そんななかで楽しみといったら、友だちと遊ぶことと、TVを観ること、そして漫画を読むことぐらいだったんですよね。純粋に漫画で育ってきたことを考えると、幸福な子ども時代だったなと思っています。

    手塚:親御さんも、漫画読んでOKという感じだったんですか。

    松田:うちはもう超放任主義でした。何にも言われなかった。本自体がうちになかったんですけど、親と一緒に本屋さんへ行けば『なかよし』や『りぼん』とか、雑誌は買ってくれていたんですよね。だから漫画は何でも読ませてくれていました。

    手塚:大体の親は、「漫画ばっかり読んでないで、勉強しなさい」というか、「漫画も何でも好きに読んで、勝手に外で遊んでなさい」っていうかのどちらかだと思うんです。 ご両親も漫画は読んでいたんですか。

    松田:父親が『じゃりん子チエ』(はるき悦巳)を読んでいました。あとは、『ゴルゴ13』(さいとうたかを)とかかな。

    手塚:松田先生が一番印象に残っているのは、先ほどお話に出た『はいからさんが通る』なんですか?

    松田:“この漫画の世界の中に入りたい”と思ったのが、『はいからさんが通る』ですね。 後で気がついたんですけれど、私は「働く女の人」が好きみたいですね。『はいからさんが通る』も主人公の「紅緒さん」が働いていたんですね。 どうも自分が好きな少女漫画は“社会の中へ転がり出て働かなきゃならない”という境遇に放りこまれた少女たちが多くて、そういう傾向の作品がすごく好きでした。 『キャンディ・キャンディ』(水木杏子/いがらしゆみこ)も好きでしたが、あの作品も働いていますし。少女漫画の定番の「恋愛」とかはなぜか興味が持てずで(笑)

    手塚:「働く女の人が好き」、という意味では、松田先生が現在執筆中の作品(『重版出来!』)にもつながっている気がしますね。

    松田:そうなんですよ。自分が描いているものは、女性がみんな働いているんです。

    手塚:私は松田先生の漫画は『コーラス』で初めて読ませていただいたんです。 その作品の多くは、女性の活躍や自立を描かれている印象があったので、今のお話を聞いて「やっぱりそうだったんだ」と、すんなり納得しました。

    松田:自分ではずっと気がつかなくて、そういう話しをさせていただく機会があって、初めて気づきました。

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    漫画は“最後のプライド”だった

    手塚:漫画を描き始めたのも、この絵のときくらいですか。

    松田:紙に鉛筆で描いていたのは、小学校五、六年生の頃だったかな。

    手塚:その頃に漫画を読んで、以来、ずっと漫画家になりたいと思っていたんですか。

    松田:そうですね。“なりたい”というか、“なるもの”だと思っていました。歳を取ったらお婆ちゃんになるように、私は漫画家になるんだ、と。でもふつうは模写とかする思うんですが、私の場合は、ぜんぜん努力もせず、ただ漫画を読み、ノートに鉛筆でオリジナルの漫画を描いて、友だちに読ませたりしていたんです。 それから、中学二年生くらいだったかな…ペンで漫画を描いて、雑誌に投稿し始めたんです。

    手塚:友だちに漫画を描いている子はいたんですか。

    松田:いませんでした。私は友達に「似顔絵描いて」とか言われたりして、大人気でしたよ(笑) みんなから「なおちゃんは将来漫画家になるんだ」と言われてたんですが、志望した高校のデザイン科を受験したら、失敗したんです。それからは、みんな腫れ物に触るようになってしまって。「なおちゃんは漫画家になれないんだ…」という感じです。 自分でも、受験に落ちたことで、夢を否定されたような気がして。高校入学後は、友達もつくらず誰とも口をきかないで…そこから三年間、ひたすら小説を読んで、かなり暗い高校生活を過ごしました。漫画の投稿も続けていたんですが、ぜんぜん引っかからなかったですね。

    手塚:全部自分で抱え込んで、悶々としているわけですよね。周りに話してわかってくれる人はいたんですか。

    松田:私が行きたかった高校のデザイン科には、谷川史子さんがいらしていて。当時、谷川さんは学内の漫研で作品を描いてらして私も誘っていただいたんですが、参加しなかった。もし誰かが自分の漫画を否定したらと、どこかで怖かったんだとおもいます。 自分の実力を知るのが怖かった。当時の私にとっては、漫画が最後のプライドだったので。もしあれで、自分が漫画でもたいした人間ではないんだと思ってしまったら立ち直れなかったと思います。

    谷川さんはその後、高校在学中に漫画家デビューなさったんで、私が上京したあとも連絡をとって、いろいろアドバイスしていただいたりしていました。 谷川さんがいたので、漫画家になるという夢を捨てないでいられたというか、谷川さんのそばにいれば、「何とかなるんじゃないかな」みたいな気持ちがありました。

    手塚:唯一の救いみたいなものですね。松田先生はその後、一度OLになられてるんですよね。

    松田:東京に出たくて、寮がある会社を選んだんです。寮があれば親にお金のことで迷惑をかけないし、そこで一年八か月働いて、ひとり暮らしできるくらいお金を貯めまして、その時ちょうど木原敏江先生がアシスタントを探してらして、運良く拾っていただいて、そこから漫画の生活がスタートしました。 二十七歳のときに、デビューできて、自分の描きたいようにやっていたんですけれど、当時は周囲に対して「何で私の良さがわからないの?」 という風に、自分で努力を一切しないのに思っていました(笑)

  • 「オカオカハウス」をご存知だろうか。マンガ家であり、女社長でもある浜田ブリトニー先生が代々木上原に立ち上げたダイニングバーだ。そしてこのバーではなんと浜田先生自らが講師を努める「まんたま塾」というマンガの塾が開催されているらしい。

    バーで塾?一体どういうこと?という訳でMangaStyle編集部は「オカオカハウス」へ取材してみた。

    「オカオカハウス」は閑静な住宅街の中にある一見、普通の一軒家だった。だがよく見ると玄関にはマネキンが飾られており独特なムードが漂う…。

    勇気を出して足を踏み入れてみると…なんと壁一面にマンガのキャラクターイラストが!

    あ、天羽くん…!?

    あ、天羽くんやーーーー!!

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    ドーベルマン刑事に ブラックエンジェルズ!ド迫力!

    まつもと泉先生と藤原カムイ先生のイラストがならぶ!

    まつもと泉先生と藤原カムイ先生のイラストが並ぶ…奇跡のような光景だ

    壁中に描かれた馴染みあるマンガキャラクターを眺めていると、これだけで時間が経ってしまいそうだ。

    この日の「まんたま塾」はお昼12時から開講ということで、授業前にまんたま塾講師である浜田ブリトニー先生とのむらしんぼ先生にお話を訊くことができた。

    まんたま塾とは?

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    のむらしんぼ先生

    MangaStyle(以下M):「まんたま塾」とは一体どんな塾なのでしょうか?

    浜田ブリトニー先生(以下、浜田):「まんたま塾」は現役で活躍しているマンガ家さんが少人数に向けてマンガを教える教室です。マンガに触れたことがない人がすぐにできるようにあらかじめ教材も用意しています。

    M:なるほど。初心者向けということで生徒さんの年齢層も低めですか?

    浜田:今日もそうなんですけど子どもが多いですね。下は小学2年生くらいからかな?
    最初の授業の時は「自分のキャラクターを描いてみよう」っていうテーマで、私たちのことを描いてもいいし、キャラクターを描いてもOK。で、それぞれえびはら先生の「まいっちんぐ賞」、のむら先生の「つるセコ賞」、あと私の「パネエ賞」なんかを用意しました。2回目となる今日の授業では、途中の原稿を完成させようということでアシスタントの勉強をしよう、みたいなテーマです。あとこれはしんぼ先生が用意してくれた教材なんですが、吹き出しだけが抜かれていて、ここに好きなセリフを入れるようになっていますね。

    のむらしんぼ先生(以下、のむら):これ昔描いた原稿なんですが、自分でも忘れちゃってるんですよ (笑)。

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    M:実際に使用された原稿が教材に使われることは斬新ですね。

    浜田:すごいでしょ?で、授業は時間割がありまして、給食なんかもあります。

    M:(時間割を見て)ここの時間はニコニコ生放送って書いてますね。

    浜田:はい、授業の終わりに生徒さんも含めて作品講評という形で生放送をやってます。

    のむら:生徒さんもみんな一緒になって楽しんでくれるよね。

    浜田:そう!出たーいとか言って(笑)。

    のむら:そこが普通の塾だとか漫画学校と違うところだよね。やっぱりここはオカオカハウスっていうイベントスペースも兼ねてるので、いかに楽しんでもらうかっていうコンセプトだから。これでOK(笑)?

    浜田:いいこと言った!もうあとは酒を飲んで寝てください(笑)!

    一同:(笑)


    マンガ家になるために必要なこと

    M:この「まんたま塾」がきっかけでマンガ家を志す子もいると思うのですが、実際マンガ家になるためには何が必要だと思いますか?

    浜田:もう気合ですよね!

    のむら:気合(笑)。

    浜田:諦めない心とか。やる気っていうか勢いかな?

    のむら:今、塾長は気合って言ったけどね、もうちょっと深く言えば「魂」ですよね。

    浜田:そう、魂!マンガに魂を賭ける塾ですから。

    M:なるほど。お2人はマンガ家として週刊連載も経験されてきたと思いますが、実際になってみて大変だったことって何でしょう?

    のむら:私の場合、週刊雑誌での連載ってのはあまりなくて、月刊誌と隔月刊がメインで、あと北海道新聞では週刊で8ページ描いてましたけど、それでもちょっと気狂いそうでしたね。

    浜田:週刊連載は気狂うよ。あれやっちゃいけないよね?

    のむら:私は月刊誌の連載の合間をぬって週刊をやってたので、原稿をアシスタントに渡したら寝ないですぐデニーズとかに行って。次のネームやらないといけないから。

    浜田:原稿出した日にネームやるんだよね。

    のむら:だからファミレスの外の景色を見ながらため息ばっかりついてましたよ。

    浜田:分かる。病むよねー。私は今、WEBで週刊連載を2ページだけやってるんですけど、2ページでも過酷ですね。昔「パギャル!」の時は週刊で6ページやってて、その時の編集の人は藤子A不二雄先生とか浦沢直樹先生の担当で、私を世に出してくれたんだけど、新しい原稿を出したその日に次のネームを完成させるまで帰らせてくれなかったもん!

    のむら:あとギャグマンガだと一回ずつ完結させないといけないでしょ、毎回。全体で話を考えておいて今回は続くとかはいかないから。

    浜田:そう!しんどいです!

    M:マンガ家として生きていこうと決意したのはおいくつの時ですか?

    のむら:それこそ19くらいの時から目指してましたけど、年重ねるごとにね、これは才能だけじゃなくて運だなってよく分かりましたよね。

    浜田:そう、運が大きいよね。いい担当に会えるとかさあ。

    のむら:だから運を呼ぶ、運を育める才能っていうのかな。

    M:それは巡り合いだったりタイミングだったり?

    浜田:もう、たまたまこの漫画が今、ウチの雑誌で欲しかったみたいな。

    のむら:僕なんかがデビューした頃はマンガバブルでマンガが売れて売れてっていういい時代でしたから、僕の屁みたいなマンガでもいけましたけど(笑)

    M:いやいや何をおっしゃいますか!

    のむら:今はもう大変ですけどね、まあ好きでやってれば。

    M:タイミングが大切という話ですが、お2人は日頃から「今ならこういったテーマのマンガがいいんじゃないか」というようなアンテナを立てていらっしゃるんですか?

    浜田:売れてないマンガ家だと雑誌のね、犬ですよ(笑)。そういう意味では昔のマンガ家さんはいいですよね。どっちかっていうとこんなマンガ描きたい!っていう先生の意志の方が強かったでしょ?

    のむら:そこは人にもよるんでしょうけどね。今の子どもマンガはメディアミックスが当然でポケモンや妖怪ウォッチが人気ですが、20年近く前はコロコロもハゲ丸、おぼっちゃまくんってどっちかっていうとオリジナルが強い時代でしたから。だから新人でも編集の言いなりになる人もいれば、抵抗して1,2本オリジナルで当たればある程度自分の描きたいものを描けたってこともありますし。だけど自分の描きたいものばっかり描いてもね、当たんないのを10年も続けてると干されそうになりましたけど(笑)。

    浜田:今は雑誌が売れるものしか載せない時代だからね。

    のむら:ビジネスだからね。商売にならないと。だから企画出してもこれでどれくらいの利益が出版社に入るかっていうところで、今は販売が強いんだよね。

    M:ではマンガ家になってよかったということは何でしょう?

    浜田&のむら:…(しばらく沈黙)。アハハハ!

    のむら:よかったことかあ。

    浜田:先生はよかったんじゃないですか?アニメ化もされて。主題歌も私カラオケで歌うし。

    のむら:嫌々だったけど作詞もしてねえ。まあよかったんでしょうねえ。来年還暦だから全てはチャラみたいなね(笑)。でもファンがいてくれたり、自分の作品が本になったりすることはやっぱり嬉しいですよね。

    M:ありがとうございました。授業楽しみにしています。

    => いよいよまんたま塾開講!

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    世田谷文学館で開催中の「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」が大盛況だ。岡崎京子さんは1980~90年代にかけての日本のカルチャー史を代表するマンガ家。『pink』『リバーズ・エッジ』『ヘルタースケルター』などで知られ、少女たちの時代への閉塞感やそれと向き合う姿を鋭いまなざしでリアルに描いた。活動の舞台はマンガ誌にとどまらず、週刊誌やファッション誌等でも多くの作品やイラストを発表。1996年の不慮の事故により現在活動休止中ながら、今なお、多くのファンから熱狂的に支持されている。

     岡崎さんが下北沢(世田谷区)出身ということで実現した本展は、岡崎さん初の大規模個展だ。世田谷文学館のスタッフの中にも愛読者が多く、ずっと企画をあたためてきたというその想いがダイレクトに伝わってくる。300点を超える原画や岡崎さんが寄稿した雑誌など、展示は見ごたえ十分。

    読みだしてしまうと原画の前から離れがたくなる

    読みだしてしまうと原画の前から離れがたくなる

    また本展ではワークショップやトークショーなどの関連企画も豊富に用意されており、いずれも大盛況。3月7日に行われた、マンガ家・今日マチ子さんによるギャラリートークにも朝から整理券を求める長蛇の列ができた。整理券を手にした幸運な30名と共に、筆者もギャラリートークに参加してきた。

    ギャラリートークに出演したのは、多方面で活躍中のマンガ家・今日マチ子さん。マンガだけにとどまらず、多彩な表現で様々な領域に活動の場を広げていく姿は岡崎さんのそれとも重なる。

    ギャラリートークは参加者全員で会場の作品を見て回りながら、展示のテーマごとに、世田谷文学館の庭山貴裕さんが今日さんに質問をする形で進行した。

    熱心に耳を傾ける参加者たち。男性参加者も多い

    熱心に耳を傾ける参加者たち。男性参加者も多い

    今日さんが、最初に出会った岡崎作品は『リバーズ・エッジ』。一番好きな作品でもあるらしく、今日さんは本展のために『リバーズ・エッジ2015』というタイトルでトリビュート作品も描き下ろしている。(展覧会公式カタログに収録)

    「当時中高生だった私は川のそばに住んでいて、川のそばに住んでいるということは別段本人にとっては意味がなかったのだけれど、これを読んでから川のそばに住んでいるということにものすごく意味を感じるようになりました。」と、今日さん。

    以来、引っ越しをするときに必ず川に近い場所を選ぶほど、今日さんにとって川は特別な場所となったようだ。

    「川って半分公共で半分プライベートの場というすごく不思議な空間」と今日さんがいうように、確かに今日さんの作品には川の情景が頻繁に登場する。

    きっと、その場のいた参加者の中にも同じように、川の風景を思い描いた人がいたはずだ。『リバーズ・エッジ』に出てくる川と、わたしたちそれぞれの原風景としての川は繋がっているのかもしれない。『リバーズ・エッジ』の展示は、黒を基調とした小部屋風の空間で構成されているので、ぜひ、暗い川岸に立っている気分で、作品と向き合ってみてほしい。

    空間全体で世界を表現している『リバーズ・エッジ』の展示

    空間全体で世界を表現している『リバーズ・エッジ』の展示

    次にご紹介するのが、バブルまっただ中の1980年代末が舞台の『くちびるから散弾銃』。内容は東京在住の女の子3人が恋やファッションをはじめとするあれこれをひたすらとりとめなく散弾銃のようにおしゃべりし続けるというもの。ドラマチックな展開があるわけでも、ハッキリ、ここ!と分かる盛り上がりやオチがあるわけでもない。それなのに、読者は登場人物と同じ会話の輪の中にいる感覚を持ち、「わかるわかる」とうなずきながらどんどん読み進めていける。日常を描くマンガ作品は多いが、他に似た作品が思い浮かばないような独特な作品だ。この作品はなぜこれほどに唯一無二なのだろうか?

    「こういう何気ない女子同士の会話を毎回面白く読み切れるものに収めるのは実はとても高度な技。真似しようとすると、だらっとしたつまらないものになってしまう。」(今日さん)

    これは同じ描き手ならではのコメントだろう。鋭い観察眼ですくいとられた時代の片鱗を、テンポのいいコマ割りと厳選された言葉で表現したこの作品。読み手が安心しておしゃべりの内容にだけに集中し、すいすい読み進めることができるのは、岡崎さんの高度な技ゆえのものだったのだ。

    この作品を筆者が初めて読んだのは作品が発表されてしばらく経った、90年代末頃だった。その時は、過ぎた時代の風俗や文化を懐かしみつつも、ちょっぴり恥ずかしいような気持で読んでいた。つまり、この作品には発表された当時の「わかるわかる」が、恥ずかしくなるくらい、ぎゅうぎゅうに詰まっていたのだ。

    そして、時がたち2015年の今、この作品を読むとこれまでとはまた違った「わかるわかる」を体験できることにお気づきの方もいるだろう。80年代末~90年代のファッションやカルチャーが再注目され、「おしゃれ」なものとして盛り上がりを見せている昨今、「あの時代」が詰まったこの作品は「最新の」ファッション・カルチャーカタログとしても、新鮮な気持ちでワクワクしながら読めるのだ。

    会場では原画が数多く展示されているので、「わかるわかる」とうなずきながら、作中のガールズトークに参加してみてはいかがだろうか。

    展示全体を見渡すことで、岡崎京子の作風の変遷が良く分かる

    展示全体を見渡すことで、岡崎京子の作風の変遷が良く分かる

    ギャラリートーク全体を通じて、今日さんの言葉の中で特に印象的だったのが、「(岡崎さんは)きちんとわたしたちの事を描いてくれている」という言葉だ。このほかにも何度か「わたしたち」という言葉を耳にした。

    岡崎さんの作品について語るとき、「わたし」ではなく「わたしたち」のほうがしっくりくる。「わたしたち」という言葉の中にはわたしと誰かの関係が含まれているのだと思う。その関係を含めたまるごと全部を、岡崎さんは「描く」ことで肯定してくれているのかもしれない。そして、「わたしたち」が主語となって、岡崎さんの作品の力は伝播していく。

    去る2月に本展の関連企画として「“90年代”ZINEをつくろう」というワークショップが開催された。参加者は思い思いの90年代グッズ(雑誌やCD、マンガなど)を持ち寄り、そのグッズにまつわる思い出を語り合いながら、そのグッズのカタログ風小冊子(ZINE)をその場で作成し完成品をそれぞれが持ちかえるというものだった。

    ZINEは1Fロビーで閲覧可能

    ZINEは1Fロビーで閲覧可能

    完成したZINEはまさしく「わたしたちの」ZINEだ。「わたしたちの」ZINEは、わたし「たち」になったことで、不思議と「わたしたち」に含まれない、他の人が介入する余地を生んでいる。ワークショップに参加していなくても、完成したZINEを見た人は「私だったら何をグッズとして持っていったかな?」と思っているかもしれない。

    このように岡崎さんの作品がつなぐものはこれからも拡張し続けていくのだと思うと、胸が熱くなる。

    原画を見ていると、いつの間にか作品の展開に心を奪われ、続きが気になってついついじっくり読み込んでしまう。岡崎さんがイラストやコラムを寄せている懐かしい雑誌の数々も隅々まで読みたくなってしまうものばかりなので、これから行かれる方は時間に余裕を持って行くことをおすすめする。

    展覧会の公式カタログは会場だけでなく、書店でも購入可能だ。ちなみに筆者は2冊購入し、1冊を遠方に住む大切な友人にプレゼントした。「わたしたち」の「あの頃」を起点にして、楽しいおしゃべりは今後もきっと、ずっと続いていく。

    [構成・執筆=岩崎由美(マンガナイト) ]

    今日マチ子

    漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」が書籍化され注目を浴びる。4度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。戦争を描いた『cocoon』は劇団「マームとジプシー」によって舞台化。2014年には第18回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。2015年4月に最新刊『ニンフ』『吉野北高校図書委員会(1)』を刊行。

    juicyfruit.exblog.jp/


    ▼公式カタログ

    『岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ』

    [価格]2,300円+税

    http://www.heibonsha.co.jp/book/b193085.html

    ※売り切れの場合もございます

    ▼展覧会概要

    「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」

    http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

    [期間] 3月31日(火)まで

    [開館時間] 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)

    [会場] 世田谷文学館2階展示室

    [休館日]月曜日

    [料金] 一般=800(640)円 高校・大学生、65歳以上=600(480)円 小・中学生=300(240)円 障害者手帳をお持ちの方=400(320)円
    ※( )内は20名以上の団体料金

    「せたがやアーツカード」割引あり
    ※障害者手帳をお持ちの方の介添者(1名まで)は無料

  • 01

     

    「“愛”って… すごく不気味だね どこにでもゴロゴロしてて… それだけで何でも出来てしまえるなんて とても…気持ち悪くない?」

     なんとも胸に引っかかるセリフ。1970~80年代に活躍したマンガ家・三原順の作品「Sons」で、主人公の少年が放つ一言だ。5月31日まで米沢嘉博記念図書館で開催中の展覧会「没後20年展 三原順復活祭」のメインビジュアルには、このセリフが大きく描かれている。

     同展は1995年に三原順が亡くなってから20年の節目に、代表作の原画や遺品を通して彼女の才能を再確認しようという展覧会だ。1988年生まれの筆者は、恥ずかしながら同展が企画されるまで三原順という作家を知らなかった。それでも告知のメインビジュアルを見て、素晴らしいと謳われがちな“愛”の暗い一面を言い当てた冒頭のセリフに、強い共感を覚えた。

     三原順とはどのような作家なのだろう。そして、今どうして三原順に触れるべきなのか。展示会場に足を運んで展示担当者に話をうかがいながら、その魅力に迫ってきた。

    米沢嘉博記念図書館外観

    米沢嘉博記念図書館外観

    会場内

    会場内

     

    同展では三原順のプロフィールや全著作物、没後のファンたちによる復興活動の年表、全会期あわせて原画約250点を展示。それぞれに添えられた解説を通して、三原順という人物や作品の特徴を深く知ることができる。会期は4つに分かれており、第1期(2月6日~3月2日)では出世作「はみだしっ子」シリーズとその主人公のひとり、グレアムについて、第2期(3月6日~4月6日)では同作のほかの主人公・アンジーと初期短編集について、というように、一部展示を入れ替えて異なるテーマを展開する。筆者が行ったときは第1期だった。

    三原順の代表作の1つ「はみだしっ子」

    三原順の代表作の1つ「はみだしっ子」

     

    「はみだしっ子」シリーズは1975~1981年にマンガ誌「花とゆめ」で連載。それぞれ親元を離れた4人の少年グレアム、アンジー、サーニン、マックスが、親ではなく本当の愛をくれる人をもとめて一緒に放浪生活を続け、成長していく物語だ。少女マンガ誌らしいコミカルな描写を交えながら、「人は肉親のように本来親しいはずの人間とであっても、どうしても相容れないことがある」という世界観が描かれ、熱狂的な読者を獲得した。

    「別冊花とゆめ」創刊号のカラー口絵

    はみだしっ子の主人公の1人・グレアム。こちらは「別冊花とゆめ」創刊号のカラー口絵

     

    会場に置かれたトランク(三原順の私物)には「はみだしっ子」の付録やプレゼントなど関連グッズがぎっしり詰まっていて、当時の読者たちから大きな人気を得ていたことがわかる。原画の中には「別冊花とゆめ」の創刊号(1977年)で飾ったというカラー口絵が。同誌では「グレアム大特集」のようにキャラ単独の特集が何度も組まれていたそうだ。

    三原順私物のトランクに詰め込まれた、「はみだしっ子」や「ルーとソロモン」グッズ

    三原順私物のトランクに詰め込まれた、「はみだしっ子」や「ルーとソロモン」グッズ

    壁に掲げられた原画と、「三原順・復活の流れ」をまとめた年表

    壁に掲げられた原画と、「三原順・復活の流れ」をまとめた年表

     

    三原作品がどれだけ人の心を掴むものなのかは、年表「三原順・復活の流れ」で知ることができる。彼女は「はみだしっ子」以降も数々の名作を生み出したが、亡くなる直前はほとんどの単行本が入手困難という状況。1995年に42歳で病没した直後は出版界でさほど大きく取り上げられることもなく、世の中から忘れ去られるかのような存在にあった。

     しかしファンが訃報を知るや、三原順の同人誌を作るなどして追悼し、20年にわたって「三原順・復活」とも言うべき活動を続けてきた。公式サイトの開設、全集の発売や復刊を求める署名運動、展示会の実施など。2000年代には「復刊ドットコム」(当時「ブッキング」)の復刊第1号「かくれちゃったの だぁれだ」を皮切りに続々と単行本が復刊され、2002年にはとうとう未収録作品などをまとめた新刊まで出版。2011年には既刊の単行本がすべて文庫化された。年表を通し、作品を世に遺そうとするファンの意志と、それが今回の展示会まで結びついているのを確認すると、三原順という作家の影響力に感嘆せずにはいられない。

    没後に刊行された三原順の関連書籍の数々。三原順特集を行った雑誌や追悼同人誌、新刊の豪華版など

    没後に刊行された三原順の関連書籍の数々。三原順特集を行った雑誌や追悼同人誌、新刊の豪華版など

     

    2015年には次々と電子書籍化も行われて気軽に読めるようになった三原作品には、今の社会問題に通じるような題材が度々登場する。その先鋭性について主催の米沢嘉博記念図書館のスタッフ・ヤマダトモコさんは、「どの作品を読んでも“今”を考えさせられる」と舌を巻く。

     例えば「はみだしっ子」の4人の少年は、現代でこそよく扱われるような家庭問題をそれぞれ抱えている。グレアムは父から高圧的な教育を受け、アンジーは母から育児放棄され、サーニンは母を亡くして失語症になり、マックスは酒乱の父親から虐待のうえ殺されかけたという過去を持つ。彼らを外からの目線ではなく、内側から描きながら、深刻な問題と向き合っている。

    「大人になった今読み返すとびっくりする発見がいっぱいあります。また子どものころは子どもたちの目線で読んでいたけど、今は登場人物の大人たちの立場もわかる。大人でも悪人でも、それぞれの価値観がしっかりと描かれていて驚きます」(ヤマダ)

    「はみだしっ子」後半で4人は裁判に挑むことになるが、そこでは当時まだ日本になかった陪審員制(裁判員制)が描かれる

    「はみだしっ子」後半で4人は裁判に挑むことになるが、そこでは当時まだ日本になかった陪審員制(裁判員制)が描かれる

     

    ほかにも「Die Energie 5.2☆11.8」(1982年)は原子力発電所の幹部職員が主人公。「原発問題というのは、原発に勤める人と反対する人、どちらの立場も考えた上で、折り合いを付けなくてはならないことを教えてくれる」(ヤマダ)とのこと。「ムーン・ライティング」(1984年)は、狼男の祖父に憧れていた美しい少年が、なぜか豚男になってしまう悲喜劇を描いた作品だが、「今見ると、ストーリーの伏線に、技術の進化に着いていけなくなるプログラマーの苦悩を描いていて驚いた」(ヤマダ)とも。IT社会の現代において共感する人は多そうだ。

    「こうした問題は、描こうとすると紋切り型な結末になりそう。なのに、三原さんは早くから扱っている上、折れずにまじめに向きあい、作品に落としこんでいます。三原作品を読んでいると、考えなければならない社会問題について三原さんと一緒に考えることができるはずです」(ヤマダ)

    作中に登場する「愚者の祭り」について、2ページにわたってびっしり研究メモがと書かれている三原順のノート。思慮の深さがうかがえる

    作中に登場する「愚者の祭り」について、2ページにわたってびっしり研究メモがと書かれている三原順のノート。思慮の深さがうかがえる

     

     今年3月13日には白泉社から20冊目となる文庫「三原作品集 LAST PIECE」、4月には河出書房新社から総特集本も発売される予定で、三原順の世界はますます復活しつつある。全作品に触れられる状況を作るまで20年尽力してきたファンの方々へ敬意を払いつつ、三原作品を通してあらゆる現代の問題について考えたい。会場の米沢嘉博記念図書館の閲覧室(1日300円)には、文庫版全巻を始め三原順の関連書籍が設置されている。展示と一緒に観るのもオススメだ。

    会場の感想ノート

    会場の感想ノート。平成生まれだという人が、母が持っている三原作品を子どものころから読んでいてファンであると、グレアムの似顔絵付きで感想を書き込んでいた

    [執筆=黒木貴啓(マンガナイト)]


    ▼展覧会情報
    「~没後20年展~ 三原順 復活祭」公式サイト
    http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-miharajun.html

    ■会期 2015年2月6日(金)~5月31日(日)

    ◎第一期:2月6日(金)~3月2日(月)
     グレアムと「はみだしっ子」特集
    ◎第二期:3月6日(金)~4月6日(月)
     アンジーと初期短編特集
    ◎第三期:4月10日(金)~4月29日(水・祝)
     サーニンと「ルーとソロモン」「ムーン・ライティング」「Sons」
    ◎第四期:5月1日(金)~5月31日(日)
     マックスと「X Day」ほか後期作品特集

    ■ 営業時間 平日(月・金のみ)14:00~20:00、土・日・祝12:00~18:00
     休館日 火・水・木、年末年始、特別整理期間

    ■ 会場 米沢嘉博記念図書館 東京都千代田区猿楽町1-7-1

    ■ 入場料 無料

  • 麦わらの一味の世界を体験してみよう!

    pnepiece



     

    3月13日、東京タワー フットタウン内に大人気コミック『ONE PIECE』史上初となる大型テーマパーク、「東京ワンピースタワー」がオープンしました。『ONE PIECE』の世界がそのまま飛び出したかのような同施設では、ライブエンタテイメントやアトラクション、ゲーム、限定グッズが手に入るショップ、オリジナルメニューを楽しめるレストランなどさまざまなアミューズメントが用意されています。

    舞台は新世界に浮かぶ断崖絶壁の島「トンガリ島」。海賊に憧れる島民たちは麦わらの一味がこの島に向かっていることを知り、盛大に彼らを迎えた。感激したルフィらはこの島をナワバリにすると宣言し、島民と一緒になって遊び場を作った。麦わらの一味が去ったあともその功績を伝えるため、彼らの冒険を追体験できるアソビ装置を作ったのだった――。

    来場者はトンガリ島の島民になりきって、アソビ装置で存分に遊べるのです。
    さあ、麦わらの一味の世界を体験してみましょう!

    ルフィとチョッパー

    エントランスではルフィとチョッパーがお出迎え

    トンガリ港(ポート)へ続く洞窟

    3 Fいりぐちフロアの「出会いの洞窟」では、トンガリ港(ポート)へ続く洞窟を進みながら名シーンを振り返れます。近づくと音や光のギミックが動き出す

    好きなキャラ

    好きなキャラに触れるとフキダシが飛び出してきます

    トンガリ港では島民が迎えてくれるぞ〜! クルーのコスチュームは尾田栄一郎先生のデザイン

    トンガリ港では島民が迎えてくれるぞ〜! クルーのコスチュームは尾田栄一郎先生のデザイン

    酒場では全員集合

    酒場では全員集合。宴会中みたいです

    盛り上がってるゥ!!

    盛り上がってるゥ!!

    なりきりコーナー

    「なりきりコーナー」ではキャラクターになりきるグッズを販売。身につければテンションが上がること間違い無し

    4Fまんなかフロアへまいりま〜す

    4Fまんなかフロアへまいりま〜す

    ロビンの古代文字の謎を終え

    4Fでは「ロビンの古代文字の謎を終え」「ゾロの一刀両断」「ブルックのホラーハウス」など麦わらの一味のアソビ装置を楽しめます

    ナミのカジノハウス

    こちらは「ナミのカジノハウス」

    フランキーのコーラバー

    「フランキーのコーラバー」ではフランキーが大好きなコーラと、コーラにぴったりなスナックを用意しています。お姉さんたちもノリノリ!!

    フランキーのヘ・ン・タ・イボールコースター

    1回500円の「フランキーのヘ・ン・タ・イボールコースター」。ハズレなしでグッズが必ず手に入ります

    ウソップの目指せ狙撃王(そげキング)

    「ウソップの目指せ狙撃王(そげキング)」をバックに、島民の挨拶である「トンガリ〜!」をしてくれるお姉さん。こちらも元気良く「トンガリ〜!」で返しましょう

    チョッパーのサウザンド・サニー号体験

    「チョッパーのサウザンド・サニー号体験」は絶対に、絶対に見てくださいよ! サウザンド・サニー号の中に入れちゃうんですよ!

    キッチン

    キッチンへやってきた

    何かありそうな雰囲気……

    何かありそうな雰囲気……



     

    繧ッ繝ャ繧キ繧吶ャ繝育畑_縲三NE PIECE縲上Ο繧ウ繧吶・繝シ繧ッ
    (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
    (C)Amusequest Tokyo Tower LLP

    => ナミとロビン、女子2人のお部屋

  • 2 3月6日に発刊される小学館の新コミック誌「ヒバナ」の公式サイトがついに公開となりました。この公開に先駆けて、まんがStyle編集部はヒバナ編集部にお邪魔してきました!

    公式サイトでは、ただ今5作品の先行試し読みを公開中です。

    東村アキコ『雪花の虎』
    野田彩子『いかづち遠く海が鳴る』
    高木ユーナ『ドルメンX』
    柴本翔『コマさん?ハナビとキセキの時間?』
    長田亜弓『椿と罪ほろぼしのドア』

    「ヒバナ」公式サイト
    hi-bana.com

    コミック誌「ヒバナ」の魅力、そして5作品の見どころとは!? ヒバナ編集部さん、教えてください!

    ――「ヒバナ」のコンセプトは?
    まず、「ヒバナ」ではなによりもキャラクターが読者の心に残って欲しいと考えています。あらすじを読まなくても、絵をパッと見ただけで「いいな」と思えるキャッチーさ。そして、とにかくわくわくするような即効性のある楽しさ。「ヒバナ」ではそういうものをやりたいと思いました。

    ――創刊号の表紙は東村アキコ先生、と思ったら表4の裏表紙も表紙!? 東村先生と西尾雄太先生によるダブル表紙なんですね。
    カラーでたくさんのキャラクターを見せたいと、両面表紙にしてみました。「こんな作品が載っているんだ」と絵で伝える狙いがあります。豪華な作家陣が多彩な作品を描いているので、読めば必ずお気に入り作品&作家さんを見つけられると思います。

    「ヒバナ」公式サイトで今すぐチェックできる先行試し読み作品はこちら!

    『雪花の虎』東村アキコ

    越後の武将・上杉謙信は女だった!?

    3 東村さんはいつも楽しく明るくパワフルで、ぐんぐん頭に入ってくる作品を描く方。雑誌全体のコンセプトを引っ張ってくれるような存在です。そんな東村さんが上杉謙信の話を描くということで、これまで見たことのない東村さんの作家性も見られると思います。男の武将が実は女だった、けれど女だからヒロインなのではなく、女かつヒーローなんです。試し読みだけでも十分わくわくしてもらえるはず。(ヒバナ編集部)

    『いかづち遠く海が鳴る』野田彩子

    実力派作家が描く王道恋愛漫画

    5 黒髪の美女が出てきて、サラリーマンらしい男をナンパ……いや、あからさまに捕食するところから始まるという、ヒバナ第1号においては、エロチック度数ナンバーワン。で、さらにこの黒髪美女の正体がまた大変!という、ラブでエロスでかつ壮大な物語です!(ヒバナ編集部)

    『ドルメンX』高木ユーナ

    スポ根系アイドル男子(ドルメン)コメディ!!

    6 男4人に女1人という若者たち。実は彼らは宇宙人で、実は地球をふんわりと征服するという使命を果たすため、アイドルになることを目指すという物語。作者の高木ユーナさんと担当編集者(♀)の「アイドル愛」が炸裂していて、熱量とスピード感がすごい!!(ヒバナ編集部)

    『コマさん?ハナビとキセキの時間?』柴本翔

    コマさんが私の部屋にキタ!

    1 1号目に2話掲載される予定ですが、試し読みでは1話分をドンと公開しています! コマさんがハナビさんという女の子と出会うところから始まり、人々と交流するほのぼのした面もあればぐっと泣かせる要素も。雑誌ではモノクロで掲載されますが単行本はカラーになる予定で、大人も子供も楽しめます。(ヒバナ編集部)

    『椿と罪ほろぼしのドア』長田亜弓

    魔法使いと俺! とんだ組み合わせのおとぎ話

    4 椿くんという高校生男子がいまして、顔がいいのに性格がひねくれているという残念さ。そこに、言動がすこーしもっさりしている魔法使い青年(こちらも見た目よし)が、ある頼みごとをもって現れる。このコンビ、いったいどうなるの?という、新機軸のおとぎ話です!(ヒバナ編集部)

    東村アキコ先生が新境地!? 青年誌にコマさん!? ……など色々な「!?」が頭をぐるぐると駆け巡った人も多いのではないでしょうか。どの作品も向いている方向はバラバラなれど、読めばすぐに楽しめる作品ばかり。発売日である3月6日は「ヒバナ」第1号をチェックです!

    [構成・執筆=川俣綾加(マンガナイト)]]

    「ヒバナ」連載作家陣(敬称略)
    東村アキコ、鎌谷悠希、武富智、秀良子、高木ユーナ、永井三郎、有永イネ、トウテムポール、西尾雄太、細川貂々、漆原ミナ、たなと、野田彩子、長田亜弓、田中ててて、柴本翔、井田克一&吉田恵里香、伊藤静、とよ田みのる、荒井ママレ&渡辺俊美、林田球、オノ・ナツメ、青野春秋、松本剛ほか

    「ヒバナ」公式サイトhi-bana.com
    「ヒバナ」Twitter公式アカウント@hibanaofficial
  • 大今良時原画展


    東京・青山のギャラリー「GoFa」で、2月7日、「-聲の形-完結記念展 大今良時原画展」が始まった。大今良時氏の『聲の形』(講談社)の完結を記念したもので、3月8日の終了までに累計約130の原画が展示される。

    会期は2つに分かれ、『聲の形』の原画が入れ替わる予定だ。大今氏が作画を担当した『マルドゥック・スクランブル』(原作:冲方丁)の原画と合わせてみることで、マンガ表現の可能性を実感できる空間になっている。

    原画展には多くの人が詰めかけている

    原画展には多くの人が詰めかけている


    『聲の形』は聴覚の障害によっていじめを受けるようになった少女・西宮硝子と、そのいじめの中心にいた事で周囲に切り捨てられ孤独になってしまう少年・石田将也、2人の関係を中心に、人間の抱える孤独感や生きづらさを描く物語。読み切り作品として「別冊少年マガジン」などに掲載されて反響を呼び、連載が決まった。
    大今良時原画展

    冒頭エピソードなど印象的なシーンの原画が並ぶ

    読者に深く考えさせる重いテーマだが、全体的にやわらかく、描き直しの少ない迷いが見られない線で描かれていることで、うまく作品世界全体のバランスが取れているように感じられる。

    当初はそのテーマや物語展開が注目されたものの、原画展で改めて絵に注目すると、絵とその表現方法の完成度も高いことがわかる。絵と文字だけで構成され、音のないマンガというメディアは、音のない世界に住むろう者を描くのに向いているのではないか、とすら思わされた。

    大今良時原画展

    主人公、石田将也の意識外にあることを示すバツ印が外れたシーン。トーンと黒塗りを組み合わせて髪の毛を表現していることがわかりやすいのも原画ならでは。


    例えば、途中から石田以外のキャラクターの顔の上に貼り付けられることになるバツ印。物語のほとんどは石田の視点で進むため、彼の意識に入っているのかそうでないかはこのバツ印で表現される。

    ちょっとしたことがきっかけでこのバツ印がはがれたり、また貼り付けられたりするときの、擬音語も含めた表現は、読者が石田に感情移入しやすくしているように思える。(そして一度も顔にバツ印がつくことのない、ヒロイン、西宮硝子は常に石田の世界にいたことになるのだろうか?)

    また、モノクロの雑誌掲載を想定し、黒一色で描かれた原画。しかしその黒も、ボールペンやサインペンを使い分けているようで、同じ黒でも少し色味が違うのだ。このテクニックを具体的に知りたい方は、会場で上映している動画が参考になる。入場特典のイラストペーパーを描くところを撮影したもので、ペンを持ち替えて線を描いたり色を塗ったりしていることがわかる。

    大今氏の描き方をじっくり見ることのできる映像は貴重な機会_R

    大今氏の描き方をじっくり見ることのできる映像は貴重な機会_R


    =>「マルドゥック・スクランブル」の原画から見る魅力